気候変動による影響
鶏は汗腺を持たず、全身を羽毛に覆われているため、夏の暑さに非常に弱い動物です。暑熱によるストレスは産卵率の低下や卵質の悪化、へい死数の増加など生産性に大きな影響を及ぼし、養鶏農家の収益の悪化に繋がる深刻な問題です。
掲載日 | 2018年12月18日 |
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分野 | 農業・林業・水産業 |
地域名 | 近畿 (和歌山県) |
鶏は汗腺を持たず、全身を羽毛に覆われているため、夏の暑さに非常に弱い動物です。暑熱によるストレスは産卵率の低下や卵質の悪化、へい死数の増加など生産性に大きな影響を及ぼし、養鶏農家の収益の悪化に繋がる深刻な問題です。
和歌山県の畜産試験場養鶏研究所では、採卵鶏の暑熱ストレスを緩和するため、和歌山県の特産品である梅酢加工物質を混ぜた餌の研究を行いました。梅酢は梅干しを加工する時に産出される副産物で、クエン酸等の有効成分が含まれています。梅酢から塩分を取り除いた脱塩濃縮梅酢(BX70)を開発し、給与試験が行われました(図1)。
採卵鶏では産卵率や卵質、免疫機能の向上、ブロイラーでは飼料消費量及び出荷時体重の増加、代謝性の向上、産肉性の向上、むね肉冷蔵時の保水性向上、鶏肉の食味性の向上など様々な効果が得られました。現在はBX70添加飼料の給与による鶏の飼養技術が確立され、これにより生産された鶏肉および鶏卵がそれぞれ「紀州うめどり」および「紀州うめたまご」と名付けられて商品化されています(図2)。「普段食べるもので少しよいもの」と位置付けたブランド化が推進されており、農家の収益の向上に繋がっています。
図2 紀州うめたまご
(出典:農畜産業振興機構「地域産業とはぐくみ合うエコフィード型循環養鶏」)