気候変動による影響
北海道上川郡に位置する大雪山国立公園では、近年、五色ヶ原における湿生お花畑(高山湿生草原に群生する植物)の消失とチシマザサの拡大が進行しています。湿生お花畑を代表するエゾノハクサンイチゲが消失したことの要因として、雪解けの早期化に伴う土壌乾燥化が考えられます。また、雪解けの早期化がチシマザサの分布拡大を促し、チシマザサ自身の蒸散作用によりさらに土壌乾燥化が加速します。
掲載日 | 2019年2月12日 |
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分野 | 水環境・水資源 / 自然災害・沿岸域 / 国民生活・都市生活 / 自然生態系 |
地域名 | 北海道 |
北海道上川郡に位置する大雪山国立公園では、近年、五色ヶ原における湿生お花畑(高山湿生草原に群生する植物)の消失とチシマザサの拡大が進行しています。湿生お花畑を代表するエゾノハクサンイチゲが消失したことの要因として、雪解けの早期化に伴う土壌乾燥化が考えられます。また、雪解けの早期化がチシマザサの分布拡大を促し、チシマザサ自身の蒸散作用によりさらに土壌乾燥化が加速します。
チシマザサ分布拡大による高山植生の種の多様性低下を軽減する手法として、2008年よりササ刈取り実験が行われています。この実験では、チシマザサ密生地に調査区を設定し、全てのチシマザサの地上部を根際より刈取りました(図)。その後、毎年1回新たに出芽したチシマザサを刈取る処理を繰り返しました。
ササ除去後にごくわずかだった高山植物は、5年後には10数種に達し、植被率も大きく向上しました。従来の原生自然公園における生態系保全では、基本的に極力人為的な影響を排除することに主眼が置かれてきました。しかし、この実験結果は、高山植生の衰退が人為的なササの除去によって回復する可能性を示すものです。気候変動に伴う生態系変化や生物多様性の低下に対して人為的な保全対策の有効性が確かめられました。