気候変動による影響
ドイツでは、1881年より1.3℃平均気温が上昇しており、2013年の深刻な洪水、2015年の極度に乾燥した夏、2016年春の鉄砲水等、近年は極端な気象現象が多くなっています。
掲載日 | 2020年2月28日 |
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分野 | 自然災害・沿岸域 |
地域名 | 海外(ドイツ) |
ドイツでは、1881年より1.3℃平均気温が上昇しており、2013年の深刻な洪水、2015年の極度に乾燥した夏、2016年春の鉄砲水等、近年は極端な気象現象が多くなっています。
ドイツ南部の河川流域の水収支への気候変動影響を明らかにし、政策提言を行うため、バーデン=ビュルテンベルク、バイエルン、ラインラント=プファルツの各州とドイツ気象庁によりKLIWA協同プロジェクトが1999年に立ち上げられました。3つの州の河川流域の水収支モデルに基づくシミュレーションでは、洪水流量(注1)レベルがほぼすべての地域、特に冬に増加し続けると予測されています。2000年代初期より、新しい洪水防御施設計画は、こうした影響を気候変動因数として従来の設計流量に掛け合わせて設計流量を算定しています。気候変動因数は地域別、洪水規模別設定されています(表)。例えばネッカー地域における因数は100年確率で1.15とされており、100年に一度の確率の洪水に備え現在よりも15%増加した流量を考慮することになります。堤防に関しては、計画通り整備したうえでその周囲を確保し、必要な時にかさ上げ・拡幅(図)が容易に行われるようにします。橋梁は気候変動因数を考慮した設計流量に対応して計画をし、擁壁は必要に応じて容易にかさ上げできるように設計します。
KLIWA協同プロジェクトでは、従来は洪水による問題に着目し、この対応策に取り組んできましたが、今日では低水流量(注2)や地下水、大雨の管理及び水生態学に及ぼす影響に重点が移行しています。また、極端な短期降水量の増加にも焦点をあてています。
脚注
(注1)洪水時にその地点を流下する河川水の流量のこと。
(注2)河川の流況を示すための指標の一つで、1年を通じ275日はこれより下らない流量のこと。
表 気候変動因数
(出典:国土技術政策総合研究所「気候変動適応策に関する研究(中間報告)」)
図 気候変動を考慮したかさ上げ
(出典:KLIWA「Climate Change in Southern Germany: challenges - Adaptation」)