ミカンの高温に対応できる品種・技術の開発

掲載日 2019年12月26日
分野 農業・林業・水産業
地域名 関東(静岡県)

気候変動による影響

温州みかんは、地球温暖化の影響により、果実の着色遅れや果皮と実の間に空間ができる浮き皮の発生、貯蔵性の低下などが問題になっています。近年、温暖化の影響で出荷が前進したことで、12月に一部出荷がみられた一方で、3月の出荷量が不足したことから、市場からは出荷量の確保を要望されるようになりました。しかし、前述のとおり3月の出荷は、貯蔵中の果実の腐敗など貯蔵性の低下が問題となっています。

取り組み

静岡県農林技術研究所では、これらの問題を解決すべく新品種「S1200」を選抜し、生産現場からは本品種の普及が大いに期待されています。新品種「S1200」は着色や収穫時期が従来の「青島温州」に比べて約1ヶ月遅い超晩生で、浮き皮が少ないのが特徴です(図1)。新品種「S1200」は、収穫時期が12月後半であることから、通常のみかん貯蔵庫で4月まで貯蔵が可能なことが、これまでの試験から明らかになっています。また、クエン酸含量はやや高めであることから貯蔵向きです。この新品種については、生産者、農協、実需者、県等関係機関が一体となって普及を推進しています。また、貯蔵性向上技術として、青かび病菌の果実病斑部の拡大抑制や貯蔵中の腐敗果率推移低下が確認されている青色LED光や紫外光の開発・普及に取り組んでいます(図2)。

効果/期待される効果等

高温に対応できる品種や技術の開発・普及により、ミカン栽培への気温上昇による影響の低減が期待されます。

図1 開発中の貯蔵性が高い超晩生温州みかん系統
(出典:静岡県「静岡県の気候変動影響と適応取組方針」2019年3月策定)

図2 LED 光や紫外光を活用した貯蔵性向上技術
(出典:静岡県「静岡県の気候変動影響と適応取組方針」2019年3月策定)

出典
静岡県農林技術研究所「研究所ニュースNo.58」2019年8月
https://www.agri-exp.pref.shizuoka.jp/news00053.html
静岡県「静岡県の気候変動影響と適応取組方針」2019年3月策定
https://www.pref.shizuoka.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/016/103/tekiouhousin.pdf
関連情報
地球温暖化と農林水産業
https://www.naro.affrc.go.jp/org/niaes/ccaff/

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