気候変動による影響
冷涼な気候を好むわさびの栽培には水温が極めて重要で、水温が上昇するとわさびの生育に悪影響を与えます。生育適温を超えた水温では、根茎の肥大が抑制されることに加え、病害虫の発生も多くなると考えられています。近年、水源から距離があって水温の変動が激しい下等田※1では、株の腐敗(図1)や軟腐病※2(なんぷびょう)などが発生しています。また、標高が低く気温が高いわさび田でも、軟腐病などの発生による被害が増加しています。
掲載日 | 2019年12月26日 |
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分野 | 農業・林業・水産業 |
地域名 | 関東(静岡県) |
冷涼な気候を好むわさびの栽培には水温が極めて重要で、水温が上昇するとわさびの生育に悪影響を与えます。生育適温を超えた水温では、根茎の肥大が抑制されることに加え、病害虫の発生も多くなると考えられています。近年、水源から距離があって水温の変動が激しい下等田※1では、株の腐敗(図1)や軟腐病※2(なんぷびょう)などが発生しています。また、標高が低く気温が高いわさび田でも、軟腐病などの発生による被害が増加しています。
静岡県では、耐暑性を持ち、渇水などの不良環境に適応できるわさび品種を育成しています(図2)。新品種は、生産性が低下している下等田(産地全体の30%)を中心に普及促進していきます。
耐暑性を持ち、渇水などの不良環境に適応できるわさび品種の育成・普及により、わさび栽培への気温上昇による影響を低減できることが期待されます。
※1 わさび田において、湧水に近く水温が安定する上流を「上等田」と呼び、水温が安定しない下流を「下等田」と呼ぶ。
※2 主として根茎に発生し、暗色、水浸状の病斑ができ、急速に広がって、灰白色~淡灰褐色となり、軟化腐敗する。水温が上昇するにしたがって発病が増加し、18~19℃以上になると激発する。
図1 株の腐敗が発生したわさび田
(出典:東京管区気象台(2016)気象変化レポート2015)
図2 耐暑性・不良環境適応品種の育成
(出典:静岡県の気候変動影響と適応取組方針 2019年3月)