気候変動による影響
アメリカのコロラド川水系は7つの州にまたがり、数百万の住民や観光客に生活用水や食料、レクリエーション、電気を供給しています。しかし、昨今の気候条件の変化により、水需要の増加に対する供給量不足が緊迫化していると専門家は指摘します。
掲載日 | 2020年2月10日 |
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分野 | 水環境・水資源 / 産業・経済活動 |
地域名 | 海外(アメリカ合衆国ネバダ州) |
アメリカのコロラド川水系は7つの州にまたがり、数百万の住民や観光客に生活用水や食料、レクリエーション、電気を供給しています。しかし、昨今の気候条件の変化により、水需要の増加に対する供給量不足が緊迫化していると専門家は指摘します。
2010年、アメリカ合衆国政府と関連州政府は、河川の流れとその利用法についての研究協力を通じて、地理的および社会的に複雑なコロラド川流域を対象に、今後50年間における不確実性のある影響に対処するための水需給シナリオの検討を実施しました。米国内務省開拓局が主導した調査では「コロラド川シミュレーションシステム(注)」が導入され、統計ソフトや可視化ツールを通じて10万を越えるシミュレーションが実施されました。政府の共同研究チームは、この結果を公表するとともに、リスクと脆弱性を減らすための多様なアイデアを模索するために、オンラインセミナーを開催し、そこでの見解に基づき30の方策に分類しました。例えば、供給増加、需要削減、貯水池運用の改善、または水利用に関する管理規定の変更といった方策が挙げられました。
南ネバダ水道公社は、温暖化や積雪量減少、コロラド川の水位低下が引き起こすリスクの削減に多額の投資をしています。2012年の米国内務省開拓局の研究に先立ち、南ネバダ水道公社はミード湖の水位が低い状態からでも水を汲み出せる新しい取水管の建設を決定しました(図)。共同研究チームは、既存のインフラや規則、水利用を管理するために南ネバダ水道公社のような積極的な対策が講じられれば、脆弱性は50%削減することができると評価しています。
広大なコロラド川流域における対策導入に関する複雑な意思決定について協働と対話を促進するため、米国内務省開拓局は2013年より「ムービング・フォワード」という活動を開始しました。これは、政策立案者にデータや情報を提供することで、流域全体の水供給のレジリエンスを支援するものです。定量的データと現実的な将来シナリオの情報提供は、政策立案者の関心を明日へのレジリエンス向上のための今日実行できる効果的な行動を促進するために非常に重要となります。
脚注
(注)河川の運用と予測される水需要と供給の潜在的な影響を調査する方法
図 ミード湖における新しい取水管
(出典:U.S. Climate Resilience Toolkit「A New Generation of Water Planners Confronts Change Along the Colorado River」)