気候変動による影響
気候変動の影響によって夏の熱ストレスが増加し、熱中症リスクが増加しています。暑熱に対する適応策(暑さ対策)の推進が求められています。
掲載日 | 2020年4月30日 |
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分野 | 健康 |
地域名 | 全国 |
気候変動の影響によって夏の熱ストレスが増加し、熱中症リスクが増加しています。暑熱に対する適応策(暑さ対策)の推進が求められています。
環境省は、通常日傘、遮熱日傘(注1)の暑さ対策効果を定量的に明らかにするために、人の生理・心理反応に及ぼす効果の検証に取り組みました。検証実験は、人工太陽が装備された人工気象室で行われ、帽子をかぶった状態と通常日傘、及び遮熱日傘をさした状態で、生理反応(心拍数、体重減少量、皮膚温及び耳内温)と主観申告(温冷感、快適感、湿度感、発汗感、気流感、満足感、許容度、日射感、運動強度)を測定しました(図1)。
その結果、生理反応と主観申告の両方において、3つの対策の中で遮熱日傘の効果が最も高く、次に通常日傘の効果が高いことが分かりました。例えば、体重減少量(発汗量と不感蒸泄(注2)が含まれる)の測定において、帽子のみとくらべて通常日傘、及び遮熱日傘では体重減少量が統計学的に有意に低下しました。帽子のみにくらべて遮熱日傘で17.3%、通常日傘にくらべて遮熱日傘で12.1%減少しました。
さらに、検証実験の定量的データを用いて啓発資料(図2)を作成し、実際に百貨店や量販店の傘売り場に掲示し、その効果をヒアリングで確認しました。ヒアリングでは、「汗の量が17%減るという表現やサーモグラフィーの写真は効果が伝わりやすい」等のコメントが得られました。
定量的検証結果によって、より効果的な暑さ対策として遮熱日傘の利用を推進及び普及啓発できるようになりました。また、検証結果を用いた啓発資料によって、より効果的な普及啓発が期待されます。
(注1)遮熱日傘とは、日射を99%以上カットする日傘。
(注2)不感蒸泄とは、発汗以外の皮膚および呼気からの水分喪失をいう。
図1 検証実験時の様子と熱画像(サーモグラフィー)
(出典:環境省「平成31年度 暑熱環境に対する適応策検討調査業務報告書」)
図2 普及啓発用資料(POP)
(出典:環境省「平成31年度 暑熱環境に対する適応策検討調査業務報告書」)