災害用井戸の活用

掲載日 2021年1月5日
分野 国民生活・都市生活
地域名 九州(熊本県熊本市)

気候変動による影響

熊本地域では夏場の降水量が増加傾向にあり、年間降水量の約40%を超える降水量が梅雨時期に集中するという特徴があります。特に梅雨末期には集中豪雨が発生することから、短時間強雨による土砂崩れや浸水、河川の氾濫のリスクにともない、家屋への被害等が懸念されています。

取り組み

熊本市(人口約74万人)の水道水源の全ては、地下水で賄われている世界でも稀な都市です。熊本市には、他都市のようなダムや浄水場はなく、井戸から汲み上げた清冽な地下水に、法律で定められた最低量の塩素を加える処理をした水道水が配水池や調整池に集められ、そこから各家庭に配水されています。
熊本市では、災害により広域的な断水が発生した場合、上水道が復旧するまでの間、これを補完するものとして民間事業者が管理する市内にある井戸の水を、応急用の飲料水又は生活用水として地域住民に、提供しています。熊本市は、この災害時における井戸水の提供に関して、協力する民間事業者と協定を締結しており、2020年3月9日時点で市内92箇所の井戸が災害用井戸として登録されています。また、熊本市地図情報サービスでは、災害用井戸の位置が確認できます(図1)。
井戸水を利用できる場所には、生活用水、飲用水それぞれのプレートが設置されています(図2)。生活用水として利用する場合は、市の水保全課と民間事業者が相互に連絡を取り合い、様々な条件が揃えば水の利用が可能となります。一方、飲料水の場合は、まず市の水保全課が対象井戸の水を採水し、環境総合センターに水質検査を依頼します。検査結果に異常がないことが確認されれば、その結果はウェブページに掲載され、飲料水としての提供が開始されます。なお、民間事業者の判断により水質検査前でも生活用水としての利用が可能になる場合もあります。ただし、民間事業者は、市民に対して飲用不可であることを周知させることが義務付けられています。(図3)。

効果/期待される効果等

民間事業者による災害用井戸の提供は、災害発生時における多くの市民の給水拠点としての有用性が期待されています。

図1 災害用井戸の位置のイメージ画像

図1 災害用井戸の位置
(出典:熊本市 「災害時における井戸水の提供について」)

図2 生活用水を提供する災害用井戸のプレート(左図)と飲用水を提供する災害用井戸のプレート(右図)

図2 生活用水を提供する災害用井戸のプレート(左図)と飲用水を提供する災害用井戸のプレート(右図)
(出典:熊本市ウェブページ「災害時における井戸水の提供について」)

図3 災害時井戸水提供における体制のイメージ画像

図3 災害時井戸水提供における体制
(出典:熊本市「災害時井戸水提供における体制」)

出典・関連情報
熊本市「熊本市低炭素都市づくり戦略計画-改訂版-~みんなで実現!ストップ温暖化プラン~」(平成27年3月)」
https://www.city.kumamoto.jp/common/UploadFileDsp.aspx?c_id=5&id=1839&sub_id=4&flid=252550
熊本市役所環境局「世界に誇る地下水都市・熊本」(最終更新日:2016年3月17日)
https://www.city.kumamoto.jp/kankyo/hpKiji/pub/detail.aspx?c_id=5&id=20463&class_set_id=20&class_id=2725
熊本市ウェブページ「災害時における井戸水の提供について」(最終更新日:2020年3月25日)
https://www.city.kumamoto.jp/hpKiji/pub/detail.aspx?c_id=5&id=15906&class_set_id=2&class_id=122
熊本市「災害時井戸水提供における体制」
https://www.city.kumamoto.jp/common/UploadFileDsp.aspx?c_id=5&id=15906&sub_id=8&flid=126924
熊本学園大学の公式Webサイト「熊本市と災害時における井戸水の提供に関する協定を締結しました」(掲載日:2017/05/18)
https://www.kumagaku.ac.jp/news/archives/1606

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