沖縄県の風土に根ざした住まいづくり

掲載日 2021年1月5日
分野 国民生活・都市生活
地域名 九州(沖縄県)

気候変動による影響

沖縄地方の年平均気温は100年あたり1.19℃の割合で上昇しています(注1)。また、熱帯夜(夜間の最低気温が25℃以上)の日数も10年あたり5.7日の割合で増加しています(注2)。将来、地球温暖化の進行に伴い、世界的に台風を含む熱帯低気圧の強度が増大し、最大風速が増加する可能性が高くなると予測されています。

取り組み

沖縄県では、度重なる台風の襲来などにより、既存の木造住宅から補強コンクリートブロック造や、鉄筋コンクリート造住宅へ移行してきました。現在では県内住宅の約8割を鉄筋コンクリート造住宅が占めています。亜熱帯気候の下、独自の家づくりが求められおり、このための施策として平成9年より「風土に根ざした家づくり手引書」を策定し、普及啓発を促進しています。また、平成27年6月には「これからの省エネルギー住宅と沖縄の風土をどう折り合わせるか」をメインテーマとして新しい制度や環境共生手法等を取り入れることにより手引書の改定が行われました。
沖縄の住宅には暑さ対策がとりわけ重要であり、手引書には心掛けるべき4点が挙げられています(図1)。
1つ目は自然風の利用で、自然風を有効に活用して、建物内に涼しい風を取り込むことです。沖縄の伝統的な木造住宅のように、住宅前面の開口部を広くとり、南からの風を室内に迎え入れる通風スペースや風の通り道の確保などが必要となります。
2つ目は日射への対策で、太陽高度が高く、日射熱の強い太陽の南中時の日射を防ぐには、伝統的な手法であるアマハジ(雨端)(図2)や庇などで影を作り、直射光の侵入を遮ることで建物内を涼しく保つことです。また、アマハジや庇は、くつろげる空間も同時に生み出します。一方、朝方及び夕方の低い日射を防ぐには、沖縄の特徴的な建築材料である花ブロック(図2)が日射緩和とデザイン性を兼ねた材料として有効です。
3つ目は外壁・屋根などの遮熱で、外壁や屋根を遮熱することでコンクリート等への蓄熱を低減し、冷房使用料を削減することです。日射熱を防ぐ手法として、遮熱塗装や断熱ブロック、屋上緑化などが挙げられます。また、沖縄の特徴的な屋根材である赤瓦は放射性能が高く、日没とともに表面温度が急に下がるという効果があるため日射熱の影響を低減する効果があります。
4つ目は開口部の遮熱・断熱で、開口部の熱の透過性を抑えることで、建物内の温度上昇を防ぐことです。室内に一度熱を入れてしまうと室外に排出することが難しいため、サッシを木製や樹脂製にした上での複層ガラスの設置や、二重窓が提案されています。

効果/期待される効果等

伝統的な集落や住宅の持つ様々な工夫と知恵を学び、郷土の自然環境を理解することで、沖縄の風土に見合う住まいづくりが可能となります。また、沖縄らしい外観は建物や強い日差しと雨風から暮らしを守るだけでなく、地域の景観の一部として潤いある表情をもたらします。

図1 沖縄の風土に適した住まいの4つのポイントのイメージ画像

図1 沖縄の風土に適した住まいの4つのポイント
(出典:沖縄県土木建築部住宅課「風土に根ざした家づくり手引書」)

図2 アマハジ(左)と花ブロックのイメージ画像

図2 アマハジ(左)と花ブロック
(出典:沖縄県土木建築部住宅課「風土に根ざした家づくり手引書」)

脚注
(注1)統計期間:1897〜2019年
(注2)統計期間:1931〜2019年

出典・関連情報
沖縄気象台「沖縄の気候変動監視レポート2020」(令和4年3月)
https://www.jma-net.go.jp/okinawa/data/kiko/report/2022_all.pdf
沖縄県土木建築部住宅課「風土に根ざした家づくり手引書」(平成27年6月)
https://www.pref.okinawa.jp/jutaku/hudo/hudo_top.files/tebikisyo36p.pdf

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