不動産所有者による雨水管理の促進

掲載日 2021年1月20日
分野 水環境・水資源
地域名 海外(アメリカ合衆国ミシガン州)

気候変動による影響

米国ミシガン州南東部のヒューロン川が通るアナーバー市では、平均降水量の増加や極端な暴風雨の勢力の拡大が、市民の健康と環境に脅威を与えています。ヒューロン川は飲料水の85%を供給しています。なお、降雨時には都市からの雨水のほぼ100%がヒューロン川に流れ込みます。流出雨水による汚染は、生活用水の水質を低下させ、下流の水生態系や湿地生態系に悪影響を及ぼします。アナーバー市の年間平均降水量はこの60年間で25%増加しており、健全な河川システムを維持するために雨水管理の必要性が高まっています。

取り組み

アナーバー市は不動産所有者による雨水管理を促進するために、流出雨水処理の料金構成を2006年に変更しました。この料金は、屋根や舗装道路、歩道、中庭、砂利や石の舗装等、不浸透面のエリアサイズに基づいて設定されました。この事業によって得られた毎年500万ドル以上の資金は、雨水システムの運営管理事業や水質向上事業、雨水に関する教育、環境規制や自然回復計画の実施、及び雨水システムの負担を軽減するためのグリーンインフラ事業に充てられています。商業施設と居住施設の両方の所有者は、流出雨水を削減する取り組みを実施すれば処理料金の割引を受けることができます(図)。
このような経済的なインセンティブに加え、アナーバー市は五大湖統合科学評価センター(GLISA)プログラムとの連携を整えました。連携による活動として、気候変動への取り組みに対するコミュニティのサポートを構築し、住民向けの気候変動とその影響についての啓蒙に努めました。

効果/期待される効果等

降雨と水質の関係について住民の理解を深める啓蒙活動から始めることは、雨水問題を解決する上で重要だと考えられています。また、現場の雨水管理により利益を得た住民が、周囲の住民へ取り組みを普及する効果も期待されています。

図 割引制度が受けられる対策の例(左から雨庭(レインガーデン)、ドライウェル、貯水槽)

図 割引制度が受けられる対策の例(左から雨庭(レインガーデン)、ドライウェル、貯水槽)
(出典:City of Ann Arbor 「Stormwater」)

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