気候変動適応情報プラットフォーム(A-PLAT)
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水利用を最適化する気象等データの提供

掲載日 2021年1月20日
分野 水環境・水資源
地域名 海外(アメリカ合衆国ユタ州)

気候変動による影響

米国ユタ州モーガン郡はソルトレークシティの東側に隣接する都市です。モーガン郡は山岳の砂漠地帯に位置し、灌漑用貯水池に貯水する渓流がないため、農業や酪農の生産性はあまり高くありません。温暖化により降水量の大部分が雪ではなく雨になると、生産者が利用できる水量が、季節によって減少する可能性が懸念されています。

取り組み

近年、アメリカ合衆国農務省(USDA)は、生産農業へのリスクを軽減するために、気象や気候データの利用強化に取り組んでいます。USDAの自然資源保全局(NRCS)との長期的な協力者として、モーガン郡のある農家は、その農場に土壌気候分析ネットワーク(SCAN)施設を設置することに賛同しました。その農場では、地表面から2、4、8、20、40インチ下の1時間ごとの土壌水分量と土壌温度に加え、気温、日射量、相対湿度、風速、風向及び降水量のデータが収集され、記録計によって保存されます(図1、2)。そのデータは農場の所在地に応じて、商用のセルラーデータ伝送ネットワーク(図3、注1)や流星バースト通信(図4、注2)、そして人工衛星システム等によりデータベースに送信されます。生産者達はこのSCANのデータを即時に入手できることにより、最適な水利用の時間を決めることが出来ます。
NRCS国立水気候センターと国立土壌調査センターは、この10年間でNRCSの州事務所と協力し、ユタ州の38か所を含む全米400か所以上のSCAN施設を設置しました。なお、NRCSはSCAN施設の設置場所を地理情報システムの使用により特定しました。そして、地域のNRCS地区の保護活動家の協力のもと、設置可能な協力者とのコンタクトを経て、協力者の土地にSCAN施設を設置する合意が結ばれました。

効果/期待される効果等

SCANのデータは、かつての経験と推測により行われていた水利用の不確実性を低減し、最適化する効果があると期待されています。耕作始まって以来の素晴らしいトウモロコシの収穫を得た農家もありました。

図1 SCANの自動データ収集施設のイメージ図

図1 SCANの自動データ収集施設
(出典:National Water and Climate Center 「Automated Soil Climate Monitoring」)

図2 土壌水分量と土壌温度のセンサー

図2 土壌水分量と土壌温度のセンサー
(出典:National Water and Climate Center 「Automated Soil Climate Monitoring」)

図3 セルラーデータ伝送ネットワークのイメージ図

図3 セルラーデータ伝送ネットワーク
(出典:National Water and Climate Center「Data Acquisition Technology」)

図2 設置したICT機器

図4 流星バースト通信
(出典:National Water and Climate Center「Data Acquisition Technology」)

脚注
(注1)音声、テキスト、およびデジタルデータを伝送する信号が、送信機と受信機のグローバルネットワークを介して電波で送信される伝送技術をいう。
(注2)流星のため発生するイオン化電子による電波の反射を利用した、ほぼリアルタイムでデータの送受信を行う通信技術をいう。

出典・関連情報
U.S. Climate Resilience Toolkit「Precise Soil, Climate, and Weather Data Help Dairy Optimize Water Use」
https://toolkit.climate.gov/case-studies/precise-soil-climate-and-weather-data-help-dairy-optimize-water-use
National Water and Climate Center 「Data Acquisition Technology」
https://www.wcc.nrcs.usda.gov/about/data_acquisition.html
National Water and Climate Center 「Automated Soil Climate Monitoring」
https://www.wcc.nrcs.usda.gov/about/mon_scan.html

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