気候変動による影響
九州・山口県では年平均気温が100年あたり1.73℃の割合で上昇しており、これは日本の年平均気温上昇の割合(1.24℃/100 年)よりも大きい値です(注1)。また、真夏日(日最高気温が30℃以上の日)は10年あたりで1.6日、猛暑日(日最高気温が35℃以上の日)は0.6日の割合で増加しています(注2)。特に、猛暑日の年間日数は1990年代後半から増加傾向にあります。
掲載日 | 2021年2月25日 |
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分野 | 国民生活・都市生活 |
地域名 | 九州(熊本県・福岡市) |
九州・山口県では年平均気温が100年あたり1.73℃の割合で上昇しており、これは日本の年平均気温上昇の割合(1.24℃/100 年)よりも大きい値です(注1)。また、真夏日(日最高気温が30℃以上の日)は10年あたりで1.6日、猛暑日(日最高気温が35℃以上の日)は0.6日の割合で増加しています(注2)。特に、猛暑日の年間日数は1990年代後半から増加傾向にあります。
窓を植物で覆うことで夏の直射日光を遮り、部屋の気温を下げるグリーンカーテンは、東日本大震災後に節電対策として注目が高まっています。これは、学校などの公共施設だけでなく、家庭でも取り組まれるようになっています。環境省は2011年から「グリーンカーテンプロジェクト(注3)」の実施と普及推進に取り組んでいます。また、各自治体による取り組みも行われています。
熊本県では、2010年度から省エネ・地球温暖化防止対策の1つとして、県の施設におけるゴーヤ栽培の取り組みが行われています(図1)。また、地域でのグリーンカーテンの設置・普及も積極的に推進されています。2017年には、熊本地震による応急仮設住宅(合計639戸(図2))にグリーンカーテンを設置しました。2018年度からは、更に地域に根付いたグリーンカーテンの普及を図るため、温暖化防止活動推進員によりモデル的にグリーンカーテン設置を行い、2020年度は、県内5地域(熊本市、天草市、合志市、氷川町、球磨村)に設置されました。また、更なる普及のため、県内全域を対象とした 「グリーンカーテンコンテスト」も実施しており、家庭部門、企業・団体部門のそれぞれでカーテンの出来に加え、創意工夫や設置効果などが競われています。
福岡市でも市民や事業者等に向けた「緑のカーテン育て方講座」や「緑のカーテンコンテスト」の開催に加え、市内の小中学校や保育園等にアサガオやゴーヤの種の配布を通じた「緑のカーテンプロジェクト」が推進されています。
グリーンカーテンには、陽ざしを遮る効果や植物から蒸散される水分による冷却効果があります。熊本県の調査では、サーモグラフィーを用いて外壁の温度を測定したところ、日向とグリーンカーテンの陰になった部分では、約14℃の差が見られました。室内の温度においては、グリーンカーテンを設置した部屋は、設置しなかった部屋より最大2.2℃も涼しいことが分かりました(図3)。また、環境省によるアンケート調査では「植物の栽培を楽しめた」、「植物により癒やしを得た」、「直射日光を遮ることができた」等、精神的な満足感や生活面での効果も多く挙げられました。このように、グリーンカーテンは、比較的安価に誰もが取り組みやすい省エネ・地球温暖化防止対策の1つとして注目されています。
図1 熊本県庁のグリーンカーテン
(出典:熊本県ホームページ
「県庁グリーンカーテン日記 ~2018~」)
図2 熊本地震による応急仮説住宅へのグリーンカーテン設置(2017)
(出典:熊本県 「第12回 熊本県ストップ温暖化県民総ぐるみ運動推進会議」)
図3 グリーンカーテンの設置効果(調査期間:2017年9月7~21日)
(出典:熊本県 「第12回 熊本県ストップ温暖化県民総ぐるみ運動推進会議」)
脚注
(注1)統計期間:1898年〜2019年
(注2)統計期間:1927年〜2019年
(注3)環境省「グリーンカーテンプロジェクト」
https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/green/index.html