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ネットワーク対応による「熱中症対策」モニタリングシステム

掲載日 2021年6月15日
分野 健康
地域名 東北(青森県)

気候変動による影響

近年の気候変動により子どもを取り巻く暑熱環境は悪化し、全国的に熱中症の発生が急増しています。過去5年間の全国の学校の管理下における熱中症発生件数は年々増加し、2019年度は5,000件を超過しており、児童生徒が死亡する事案も生じています(注1)。

取り組み

青森県の弘前大学教育学部附属学校園(以下、附属学校園)では、猛暑に見舞われた2012年の保健室利用者の急増をきっかけに、ネットワーク対応の温熱・空気環境のモニタリングシステムが開発されました。このシステムでは、校舎内外の複数箇所に設置したモニタリング用センサ端末で計測された情報がLAN経由でサーバに記録され、保健室や職員室等のパソコンで「暑さ指数(WBGT)(注2)」、「温度」、「相対湿度」、「CO2濃度」の変化を観測することが出来ます(図1)。
暑さ指数(WBGT)を表示するモニタリング画面では、場所ごとに色別された折れ線グラフから、それぞれの場所が「ほぼ安全(青色)」、「注意(緑色)」、「警戒(黄色)」、「厳重警戒(橙色)」、「危険(赤色)」のどこに区分されるかを把握することが出来ます(図2)。
また、教室に設置されている一部のモニタリング用センサ端末に、WBGTとCO2濃度のインジケータ(LED表示)を増設しています。WBGTが「警戒(黄色)」と表示されたら冷房を入れる、CO2濃度が「教室の基準超過1500ppm以上」と表示されたら空気の換気を行うなど、対応が一目で分かるようになっています。
なお、校種(附属幼稚園・小学校・中学校)ごとに熱中症予防に関するガイドラインが作成されており、各校の実情や児童生徒等の発達段階に合わせた熱中症対策を取れるよう工夫されています。

効果/期待される効果等

附属幼稚園では、気温が上昇する時期は、職員朝会や打ち合わせ時にモニタリングシステムで園のWBGT値を確認し、「厳重警戒」に達した日は、外遊びを中断して屋内遊びに切り替える対応を行いました。
附属小学校では、9月上旬の運動会で気温上昇の予報があり、WBGT値の上昇も予測されたため、前日には午前中に終了できるようプログラムを縮小して実施することを決定しました。さらに、当日は朝の時点でWBGT値が「警戒」を指していたため、応援合戦や閉会式をテントの中で行う等の措置をとりました。
附属中学校においても、部活動や文化祭等においてWBGT値を参照した熱中症対策が取られたため、2019年6~9月における熱中症疑いの発生件数は29件で減少傾向になりました(2018年44件)。
これらのモニタリングシステムの活用と熱中症予防に関するガイドラインによる熱中症対策の取り組みを継続することで、教職員や児童生徒等の熱中症予防に対する意識が高まり、予防行動の形成が期待されています。

図1 熱中症予防声かけプロジェクトのロゴマークとキャンペーンキャラクター「涼太郎(すずたろう)」

図1 モニタリングシステムの概要
(出典:弘前大学教育学部附属学校園の保健室 「暑さ指数・CO₂モニタリングシステム」)

図2熱中症予防声かけプロジェクトの運営体制

図2 「暑さ指数(WBGT)」のモニタリング画面
(出典:弘前大学教育学部附属学校園の保健室 「暑さ指数・CO₂モニタリングシステム」)

脚注
(注1)独立行政法人日本スポーツ振興センター調べによる。
(注2)WBGTの推定値は温度と相対湿度から日本生気象学会の指針に基づいて算出。

出典・関連情報
大髙景子、森菜穂子、丹代菜々、高橋千晶 「弘前大学教育学部附属学校園における熱中症予防のための暑さ指数モニタリングシステムの活用と校種別ガイドラインの提案」弘前大学教育学部研究紀要クロスロード 第24号(2020年 3 月):79―88
https://home.hirosaki-u.ac.jp/fuzoku-g-yogo/wp-content/uploads/sites/52/Crossroads_24_79-12020.3.pdf
弘前大学教育学部附属学校園の保健室ホームページ 「暑さ指数・CO₂モニタリングシステム」
https://home.hirosaki-u.ac.jp/fuzoku-g-yogo/暑さ指数・co₂モニタリングシステム/
文部科学省 「熱中症事故の防止について(依頼)」(令和2年5月27日 2教参学第1号)
https://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/anzen/1417343.htm

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