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地方公共団体による災害損失データの活用

掲載日 2021年12月16日
分野 自然災害・沿岸域
地域名 海外(ノルウェー)

気候変動による影響

ノルウェーでは2008年から2017年の間に、都市部や河川の洪水による建物被害に対する損害賠償金として年間約20億ノルウェー・クローネ(日本円で約250億円)が支払われました。ノルウェーの金融業界団体「ファイナンスノルウェー」の統計によると、内水氾濫に起因する損害賠償金の支払いは、河川洪水の3.5倍となっています。ノルウェーにおける将来気候予測では、降雨の頻発化と激化を予測しており、損害賠償額の増加が懸念されています。

取り組み

2009年以来、「ファイナンスノルウェー」では、気候変動リスクと適応は重要な課題として位置づけられています。2010年にはノルウェー政府より、予防策と研究を目的とした保険の災害損失データを集めた国家的な損害データベースの構築が提言されました。これは、当該分野では初めてとなる官民協働事業であり、「ファイナンスノルウェー」の損害保険部門、保険会社、西ノルウェー研究所、ノルウェー科学技術大学地理学部(NTNU) 、及び9つの地方公共団体が参加しました。地方公共団体は災害損失データにアクセスすることで、気候関連の損失を予防・削減する能力を強化できるかどうかの評価を行います。
「ファイナンスノルウェー」は、様々な保険会社から災害損失データを収集し、整理しました。西ノルウェー研究所とNTNUはこのデータを地方公共団体に送り、データの取り込みと分析方法に関する助言を行うとともに、ツールを地方公共団体の固有システムに実装しました。この事業に参加した各地方公共団体は、それぞれの管轄内で過去10年に発生した災害による保険の災害損失データをジオコーディングし(注)、空間計画(特に土地利用や水と衛生)に関する計画の策定に活用しています。

効果/期待される効果等

地方公共団体は、入手したデータに基づいて、被害が頻繁に発生する地域の管理、維持、復旧、再投資の優先順位付けを行うことができるようになりました。データに基づいて予防措置を実施した地域では、気候関連の損害の減少が確認されました。
本事業は、気候変動リスクへの認識を大幅に高め、気候変動リスクが社会に及ぼす影響についての知識も向上させました。その結果、リスクに関する要因、認識、管理、予防についての多くの研究プロジェクトが実施されるようになりました。これらの研究の一部は、ノルウェー環境庁の資金援助を受けています。

脚注
(注)ジオコーディングの定義(政府統計ポータルサイト https://www.e-stat.go.jp/classifications/terms/90/00/4439):
 (a) 住所に基づいて地点を測定する地理情報システム(GIS)の機能
 (b) ジオコードをデジタル・データベースの項目に割当てるプロセス

出典・関連情報
Climate-ADAPT 「Use of insurance loss data by local authorities in Norway」
https://climate-adapt.eea.europa.eu/metadata/case-studies/use-of-insurance-loss-data-by-local-authorities-in-norway
Deutsche Gesellschaft für Internationale Zusammenarbeit 「Insurance Loss Data Sharing Projects for Climate Resilient Municipalities」
https://cdn.indexinsuranceforum.org/sites/default/files/Factsheet_17%20UNEPFI%20Norway_LY04pdf.pdf

※著作権の関係により本記事に関する写真・図を掲載していません。

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