「学校における熱中症対策ガイドライン作成の手引き」の作成

掲載日 2021年7月7日
分野 健康
地域名 全国

気候変動による影響

近年、大都市部を中心に気温が 30℃を超える状況の長時間化と範囲の拡大、熱帯夜の出現日数の増加といった高温化により、熱中症が問題となっています。
学校の管理下における熱中症事故は、小学校・中学校・高等学校等を合わせると毎年 5,000 件程度発生しています(注1)。気候変動の影響を考慮すると、更なる熱中症事故の増加が危惧されます。

取り組み

環境省・文部科学省は、2021年2月及び3月に「学校現場における熱中症対策の推進に関する検討会」を開催し、学校における実際の熱中症対策や判断の参考となる事項について検討のうえ、「学校における熱中症対策ガイドライン作成の手引き」を作成しました。本手引きは、各学校において危機管理マニュアルの見直しや改善等を行う際に参考となるよう、推奨する構成例に基づいて記載されています(図1)。

本手引きでは、学校における熱中症対策を進める上で必要な事項を大きく2つに分けて「基礎編」と「実践編」として記載しています。

基礎編: 熱中症を引き起こす要因、症状、予防策及び発生時の対応に関する基本的な情報がまとめられています。また、熱中症の危険度を判断する暑さ指数(WBGT)に関する解説や、令和3年度から全国で本格運用を開始した熱中症警戒アラート(注2)の活用方法についても紹介しています。

実践編: 具体的な予防措置と発生時の対応に関して、各地の教育委員会による事例と併せて記載されています。予防措置については、WBGTに基づく運動等の指針を中心とした熱中症予防の体制整備(図2)に加え、体育や各種行事、教室内の授業、登下校時といった活動別の対策が挙げられています。また、地域や各学校の実情に応じた熱中症警戒アラートへの対応方法の調整を推奨しています。熱中症発生時の対応については、迅速かつ的確に応急処置を講じるための体制づくりが説明されています。

手引きの最後では、ガイドラインの作成時に参考となる事故事例からの教訓がまとめられています。また、事故後の対応として、引き渡しと待機(注3)、心のケア、調査・検証・報告・再発防止等の項目に関する行動指針を予め設定することも推奨されています。

効果/期待される効果等

各学校における危機管理マニュアル(注4)の見直し・改善を行う際、また、教育委員会等の各学校設置者等においては、独自の熱中症対策のガイドラインの作成・改訂とともに、学校の危機管理マニュアルの見直し・改善に向けた指導・助言等を行う際に、熱中症対策に係る最新の情報や優良事例を掲載している本手引きの内容が参考となることが期待されます。

熱中症対策ガイドライン構成例のイメージ画像

図1 熱中症対策ガイドライン構成例
(出典:環境省・文部科学省 「学校における熱中症対策ガイドライン作成の手引き」)

熱中症予防の体制整備のフロー画像

図2 熱中症予防の体制整備のフロー
(出典:環境省・文部科学省 「学校における熱中症対策ガイドライン作成の手引き(概要版)」)

脚注
(注1)独立行政法人日本スポーツ振興センターの「災害共済給付制度」による医療費を支給した件数
(注2)熱中症の危険性が極めて高い暑熱環境が予測される際に、環境省・気象庁で新たに暑さへの「気づき」を呼びかけ、国民の熱中症予防行動を効果的に促すための情報提供
(注3)児童生徒等の保護者への引き渡し、病院への搬送、引き渡しまでの待機の判断や方法等
(注4)「学校安全計画の策定及び危険等発生時対処要領(危機管理マニュアル)の作成」(学校保健安全法 平成21年4月1日施行)

出典・関連情報
環境省・文部科学省 「学校における熱中症対策ガイドライン作成の手引き」(令和3年5月発行)
https://www.wbgt.env.go.jp/pdf/sg_sef/20210528_guideline_book.pdf
環境省・文部科学省 「学校における熱中症対策ガイドライン作成の手引き(概要版)」
https://www.wbgt.env.go.jp/pdf/sg_sef/20210528_guideline_book_ov.pdf

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