気候変動による影響
スペイン、特にカタルーニャ地方では、従来のリンゴ品種において、赤く色づきにくい、日焼けする、果肉が柔らかくなる、貯蔵障害の発生率が高いといった問題が発生しました。気候変動の進展に伴い、他のリンゴやナシの産地でもこのような問題が発生し始めており、それぞれの環境に適した新品種の開発が求められています。
掲載日 | 2021年11月26日 |
---|---|
分野 | 農業・林業・水産業 |
地域名 | 海外 |
スペイン、特にカタルーニャ地方では、従来のリンゴ品種において、赤く色づきにくい、日焼けする、果肉が柔らかくなる、貯蔵障害の発生率が高いといった問題が発生しました。気候変動の進展に伴い、他のリンゴやナシの産地でもこのような問題が発生し始めており、それぞれの環境に適した新品種の開発が求められています。
欧州では、変化する気候に対応可能なリンゴの品種開発が進んでいます。
Plant & Food ResearchとInstitute of Agrifood Research and Technology (IRTA)、及びFruit Futur(注)によって、国際的な育種計画「Hot Climate Programme」が2002年に設立されました。このプログラムは、高温に適応したリンゴやナシの新品種を開発することを目的としています。
2019年には、T&G Global社を戦略的な商品化の協力機関として迎え、商品化される最初の品種として「HOT84A1」を公表しました(図2)。このリンゴは、気温40℃に達することのあるスペインでの試作に成功しており、優れた食味を維持しながらも、日焼けしにくいことが証明されています。また、赤く色づいた外見、みずみずしさや甘さ、歯ごたえの良さは、消費者へのアピールとなります。
2021年2月にスペインのイベリア半島で商業栽培を開始し、世界の他の地域での展開も視野に入れています。
この「Hot Climate Programme」により、南アフリカのような気温が高く、水の供給が少ない国でも、リンゴ生産を長期的に持続できる品種開発の可能性もあると考えられています。また、害虫や病気等への耐性を高めたことにより、温暖化に直面する国々の環境条件への適応も期待されています。
図1 高温に耐性を持つ新品種「HOT84A1」
(出典:T&G Globalウェブページ 「T&G Global commercialises first climate-change resistant apple variety」)
脚注
(注)カタルーニャ州の主要な果実生産者(Actel, Fruits de Ponent, Nufri, Poma de Girona)の団体