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イラストで分かりやすい適応策
気候変動の影響と適応策

自然生態系分野における適応策の考え方

自然生態系への影響の特徴*1

気候変動によって、生物の生存の基盤となる気温や降水量等の環境条件が変化すれば、生態系もそれに応じて全体として変化していきます。その影響の程度や現れる時期は、地域、生態系、種、遺伝的形質によって異なります。

このような様々な条件を考えて予測される気候変動の生態系への影響は不確実性が高く、それに伴う生態系サービスへの影響についても、知見が不足しており不確実性があります。そのため、自然生態系分野において、気候変動の影響を評価したり適応策を検討したりする際には、これらの不確実性を考慮する必要があります。

気候変動への適応の基本的考え方*1

①気候変動に対して、生態系は全体として変化するため、これを人為的な対策によって広範に抑制することは不可能である。

②気候変動以外の要因による生態系へのストレスの低減や生態系ネットワークの構築によって、気候変動に対する順応性の高い健全な生態系の保全と回復を図る。

③モニタリングを行って、気候変動による生態系と種の変化を把握する。

用語の解説
  • |順応的管理|

    その時点で最良と思われる仮説に基づいて管理計画を立案し、管理を実験として実施し、適切なモニタリングの結果に基づいて仮説を検証するとともに、それ以降の管理には新たに得られた知見を反映させた改善を施すという、仮説-検証型の科学に倣った過程で進められる。生態系や野生生物個体群のように、不確実性を伴うとともに予測に必要な知見が不足している対象を管理する際に、より良い意思決定を行う上で有効な手法とされる*2

  • |予防原則|

    環境に脅威を与える物質または活動を、その物質や活動と環境への損害とを結びつける科学的証明が不確実であっても、環境に悪影響をおよぼさないようにすべきであるとするもの。*4

2021年7月初版

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