概要
2021年10月31日から11月13日にかけて、英国・グラスゴーにおいて、国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)、京都議定書第16回締約国会合(CMP16)、パリ協定第3回締約国会合(CMA3)が開催されました。
日本からは、岸田総理が11月1日および2日に開催された世界リーダーズ・サミットに出席し、2030年までの期間を「勝負の10年」と位置づけ、全ての締約国に野心的な気候変動対策を呼びかけるとともに、気候変動適応については資金支援の倍増を表明しました。また、山口環境大臣が2週目の閣僚級交渉に出席したほか、外務省、環境省、経済産業省、財務省、文部科学省、農林水産省、国土交通省、金融庁、林野庁、気象庁の関係者が参加しました。
2週間にわたる交渉の結果、COP24からの継続議題となっていたパリ協定6条(市場メカニズム)の実施指針、第13条(透明性枠組み)の報告様式、自国が決定する貢献(NDC)実施の共通の期間(共通時間枠)等の重要議題で合意に至り、パリルールブックが完成しました。
適応に関する結果
※会合全体の交渉結果の詳細は出典をご参照ください。
COP・CMP・CMA全体決定
COP決定(1/CP.26)、CMP(1/CMP.16)及びCMA決定(1/CMA.3)では、科学的知見、適応、適応資金、緩和、資金支援、技術移転、キャパシティ・ビルディング、ロス&ダメージ(気候変動の影響に伴う損失及び損害)、取組の実施、関連主体等との連携を含む内容が合意されました。同決定文書は、最新の科学的知見に依拠しつつ、今世紀半ばでの温室効果ガス実質排出ゼロ及びその経過点である2030年に向けて野心的な緩和策、適応策を締約国に求める内容となっています。
適応・損失と被害(ロス&ダメージ)
適応については、適応に関する世界全体の目標(GGA:Global Goal on Adaptation)の実施に向けた取組についての議論が行われ、今後はGGAについて議題を設定して議論していくこと、今後2年間の作業計画「GGAに関するグラスゴー・シャルム・エル・シェイク作業計画」を開始することが決定されました。
ロス&ダメージについては、サンティアゴ・ネットワークの機能及び技術支援を目的とする資金の提供について議論が行われ、来年春の補助機関会合において、グラスゴー対話を立ち上げ、議論を継続することが決定されました。
気候資金
今次会合では特に適応支援の重要性が提起され、先進国全体で2025年までに適応支援を2019年の水準から倍増することを求める旨の文言が決定文書に記載されました。
議長国プログラム
議長国・英国の主導で実施された各種テーマ別の「議長国プログラム」では、野心的な気候変動対策、イノベーション、森林・土地利用、資金、エネルギー、ユース・エンパワーメント、自然環境、適応・ロス&ダメージ、ジェンダー、科学、運輸、都市・地域等のテーマが日ごとに設定され、関係イベントが開催されました。
日本からは、それぞれの分野における取組の発信や実施枠組みへの参加等の対応を行いました。適応イベントでは、閣僚級セッションにおいて、適応コミュニケーションの提出、資金支援、AP-PLAT(アジア太平洋気候変動適応情報プラットフォーム)を通じた支援や人材育成等について発信しました。