研究機関の適応に関する取組

国の研究機関が公表している情報の中から、地域での適応策推進、適応ビジネス展開に資すると思われる情報をピックアップしてお知らせします。

研究機関の適応に関する取組

※対象分野について
日本において気候変動への適応を推進するため、2015年に策定された「気候変動の影響への適応計画」に明示されている、気候変動の影響が既に生じている、もしくは影響の生じるおそれのある主要な7つの分野です。

  • 農業・林業・水産業
  • 水環境・水資源
  • 自然生態系
  • 自然災害・沿岸域
  • 健康
  • 産業・経済活動
  • 国民生活・都市生活
  • 適応全般

情報通信研究機構

水蒸気の流れを捉える差分吸収ライダーの開発に成功 〜水蒸気と風の同時観測を実現、豪雨発生場所の予測精度向上へ〜 あらゆる方向の大気中の水蒸気と風を同時観測可能な差分吸収ライダーを開発しました。水蒸気と風の同時観測値を天気予報の数値予想モデルに取り入れることで、線状降水帯などの発生位置の予測精度の更なる向上が期待されます。(2023年4月25日)
航空機から地表面を観測する合成開口レーダーの高分解能化と技術実証に成功 〜次世代レーダーにより従来比2倍、世界最高分解能15cmを達成〜 電波活用航空機搭載合成開口レーダーの地表面観測高分解能化・技術実証に成功し、分解能15cmは世界最高性能で従来比2倍の高精細観測が可能です。本技術は自然災害時等被災状況の詳細把握、効果的な救助・復旧活動への貢献が期待できます。(2022年1月25日)
ひまわり8号で夜光雲を観測する手法を開発 静止軌道からの高感度リアルタイムモニタリング、地球温暖化研究への貢献に期待 電気通信大学ほかの研究機関と共同で、高度80-85 km付近に発生する、「気候変動のカナリア」とも呼ばれる夜光雲の高感度観測手法を考案、静止衛星ひまわりデータに適用するシステムを構築しました。(2021年10月25日)
ゲリラ豪雨等の直前予測を屋外イベント運営等に活用する実証実験を実施~「Marunouchi Street Park 2021 Summer」の運営者・来街者へ情報提供~ 防災科学技術研究所ほか企業等と共同で「Marunouchi Street Park 2021 Summer」の運営者及び来街者に気象予測情報を提供する実証実験を実施しています。(2021年7月26日)
「富岳」を使ったゲリラ豪雨予報−首都圏で30秒ごとに更新するリアルタイム実証実験を開始− 理化学研究所ほかの研究機関と共同でスーパーコンピュータ「富岳」を使い、首都圏において30秒ごとに更新する30分後までの超高速高性能降水予報のリアルタイム実証実験を実施しています。(2021年7月13日) 

JICA緒方貞子平和開発研究所

エジプト向け円借款貸付契約の調印:地下鉄の整備を通じ交通渋滞と大気汚染の緩和に貢献 大カイロ都市圏おける交通需要への対応、交通渋滞の緩和および大気汚染の改善を目的としており、SDGsゴール13(気候変動に具体的な対策を)への貢献が期待されます。(2023年5月2日)
プロジェクト・ヒストリー『屋根もない、家もない、でも、希望を胸に フィリピン巨大台風ヨランダからの復興』の漫画版が公開 ただ単に災害前と同じ状態に戻すのではなく、災害に強いより良い復興を目指す「Build Back Better]という考え方に基づき、現地のニーズを拾いながら、フィリピンの人々とともに実施しました。(2023年4月7日)
ノーベル経済学賞受賞者のスティグリッツ教授、複合危機下の世界経済を語る—ナレッジフォーラム特別編 氏による講演を開催、質疑応答において、同氏は環境政策の公約と引き換えに開発途上国の債務を免除する自然保護債務スワップについて触れ、炭素排出の削減を外貨と交換する本スキームの有効性を強調しました。(2023年1月13日)
ワーキングペーパーNo. 230「Risk Management for Smallholder Farmers: An Empirical Study on the Adoption of Weather-Index Crop Insurance in Rural Kenya」を発刊 ケニア農村部の小規模農家495世帯を対象とした調査データを活用し、小規模農家の天候インデックス型保険の加入要因を分析しています。(2022年4月25日)
広田客員研究員が執筆したブログ「Why Do We Need to Invest in Quality Infrastructure?」が OECDウェブサイトに掲載されました 幸福や豊かさを測る際の重点を所得の伸びに置き過ぎていることに対し、国際的に見直しの動きがあることを紹介しています。こうしたトレンドは、SDGsやGDPを超えた新たな指標に関するOECDでの議論の背景にもなっています。(2022年12月20日)
灌漑プロジェクトでの気候変動適応策の便益を評価:佐藤上席研究員がCOP27で発表 サイドイベント「パリ協定達成に向けたJICAの気候変動対策 コベネフィット型気候変動対策の観点から持続可能な開発とのシナジーとトレードオフの理解を深める」でこのプロジェクトにおける気候変動適応策の便益を示しました。(2022年12月19日)
気候変動対策と開発援助の統合で持続可能な社会への新たな道を—ナレッジフォーラム第9回開催 「世界の異常気象に我々は何をなすべきか?~気候変動適応への取り組みの最新動向と高まる国際協力の重要性~」をウェビナー形式で共催、当日の発表資料や関連動画も公海されています(2022年1月13日)。
論文「Effectiveness of Investing in Flood Protection in Metropolitan Areas: Lessons From 2019 Typhoon Hagibis in Japan」ジャーナル掲載のお知らせ 研究プロジェクト「アジアのインフラ需要推計にかかる研究」研究成果として論文を発表、東京首都圏での治水投資の有用性について、2019年10月の記録的な豪雨を伴った台風19号による洪水被害を分析しながら考察しています。(2021/5/25)
コロナ対策からの学びを気候変動対策に生かしていくには? 「地球環境問題を通して考えるWithコロナの時代について—Future Earth Japanからの報告—」を開催、2名の研究者からの報告や意見交換が行われた。(2020年7月8日)

防災科学技術研究所

気象・地震のたった今を知るリアルタイムハザード・リスク情報 防災科技研のホームページでは、全国の浸水発生危険度、土砂災害危険度、内水氾濫リスクなどがリアルタイムで公開されています。(随時更新)
自然災害情報の利活用に基づく災害対策に関する研究プロジェクト 防災情報の効果的な生成・流通・利活用技術に関する研究及び災害過程の科学的解明と効果的な防災対策に関する研究が行われており、研究紹介、刊行物、発表、研修会等のイベント情報がまとめられています。(随時更新)
首都圏の局地的な激しい気象の発生状況をいつでも、誰でもチェックできるシステム「ソラチェク」を公開します! 首都圏のリアルタイム極端気象情報(雨・風・雷・ひょう)をまとめ、地図に重ねて閲覧できるシステム「ソラチェク」を開発し、公開します。(随時更新)
ユーザーの意思決定に役立つ情報プロダクツ YOU@RISKは、災害時のリスクに対して、何を知り、どのように行動するべきなのか、学びの機会を提供する情報プロダクツです。現在、シミュレーション「あなたのまちの直下型地震」を公開中。(随時更新)
最新ニュース 災害情報 日本各地の大雨、突風などによる自然災害における気象データの解析結果を発生数日以内に公開、随時更新しています。(随時更新)
自然災害情報室 自然災害、防災に関する資料を収集・発信しています。地域の災害脆弱性を把握し、今後の対策を立案するために災害事例データベースを構築しています。(随時更新)
防災を学ぶ ゲリラ豪雨や台風など、気候変動によって激甚化が懸念される気象災害を含む災害について、防災のために幅広い年齢層の一般向けに行われている公開イベント、科学実験教室などの情報がまとめられています。(随時更新)
国立研究開発法人国立環境研究所と国立研究開発法人防災科学技術研究所、包括的連携協力に関する協定を締結—気候変動適応と防災・減災の協働によるレジリエンスの高い社会づくり— 本協定の下、国環研と防災科研は、①環境と防災・減災、②生態系を活用した防災・減災、③効果的な情報共有及び情報発信、などについて連携・協力を促進します。 (2023年7月5日)
「テラヘルツ波を利用した雲・水蒸気分布観測二周波レーダーシステムの研究開発」が情報通信研究開発機構の委託研究に採択 従来の気象レーダーでは観測できなかった降水発生前の積雲(非降水雲)・水蒸気の観測を可能にします。このレーダーの活用により、豪雨の予測開始時刻を早めることが可能となり、豪雨発生前の対策・避難実現に貢献することが期待されます。(2023年3月28日)
日本初、つくば市でシャープのIoT家電の音声発話機能を用いた防災情報の伝達効果に関する実証実験を実施-日常的に使用する生活家電の防災利用効果を検証- 共同で気象警報や河川の氾濫、土砂災害などの防災情報の伝達媒体としてのIoT家電の活用、およびIoT家電から得られる情報を利用した公的機関の災害対応での活用について検討を重ね、このたび実証実験の実施に至りました。(2023年2月13日)
雪おろシグナルの紹介・使い方ページを公開しました 毎年多数の犠牲者を出す屋根雪処理中の事故を軽減するため、屋根雪おろしの判断材料に用いる「雪おろシグナル」を開発、わかりやすく動画等で紹介したページを公開しました。(2023年1月20日)
災害記念碑デジタルアーカイブマップのデータが国立国会図書館東日本大震災アーカイブ「ひなぎく」から検索可能になりました 災害記念碑をWeb-GIS上で探し、閲覧できるようにしたデジタルアーカイブマップのデータを国立国会図書館「ひなぎく」から検索可能にしました。風水害も含めた、地域に残る過去の自然災害の痕跡が集められています。(2022年7月1日)
線状降水帯の水蒸気観測網を展開— 短時間雨量予測の精度向上への挑戦 — 2022年6月から九州地方で線状降水帯の水蒸気観測を開始し、7月からはその観測体制をさらに強化して、九州の11の自治体との実証実験を通して線状降水帯予測の精度検証を実施中です。(2022年6月29日)
高感度地震計で河川流量を推定する手法を開発~局地的な大雨で突発的に発生する河川洪水の予測が可能に~ 本研究を発展させることで、上流域での局地的な大雨によって発生する急激な河川流量の増加を遠隔監視できるようになり、中・下流域で突発的に発生する洪水の予測精度向上につながることが期待されます。(2021年11月2日)
国立研究開発法人防災科学技術研究所と東京海上ホールディングス株式会社における合弁会社の設立について 科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律の施行に伴い、本年4月より、防災科研は、その研究開発成果を活用する事業者(防災科研発ベンチャー)への出資が可能となりました。(2021年11月1日)
ゲリラ豪雨等の直前予測を屋外イベント運営等に活用する実証実験を実施~「Marunouchi Street Park 2021 Summer」の運営者・来街者へ情報提供~ 「Marunouchi Street Park 2021 Summer」の期間中、運営者及び来街者に30分先までの直近の気象予測情報を提供する実証実験を行います。(2021年7月26日)
災害対策に小型SAR衛星コンステレーションを融合へSynspectiveと防災科研、共同実証を開始 小型SAR(合成開口レーダ)衛星の災害対応への活用に向けた共同実証を開始しました。 (2021年7月13日)
~官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)の研究成果を損害保険業務に展開~損害保険データと機械学習を活用した自然災害被害推定システムを開発 損害保険データと機械学習を活用し、災害発生時に精度高く被害を推定する自然災害被害推定システム(地震被害推定システム及び洪水被害推定システム)を開発しました。(2021年7月2日)
顕著な大雨をもたらす線状降水帯の自動検出技術を開発 大雨による災害発生の危険度が急激に高まっている中で、非常に激しい雨が同じ場所で降り続いている線状降水帯の検出条件を定め、自動的に検出する技術を開発しました。(2021年6月11日)
災害への備えや発生時の心得などをまとめたデジタルブック「そのときに備えて」 地震、台風・大雨、大雪、火山災害、生きるを支える科学技術、の5項目への備えについてまとめたデジタルブックが公開されています。(2019年8月26日)

科学技術振興機構

科学技術振興機構 低炭素社会戦略センター(LCS) LCSでは、明るく豊かなゼロエミッション社会像を描くとともに、その実現に向けたシナリオと戦略を検討しています。(随時更新)
双子葉植物のおしべの機能を簡単に取り除く方法を開発~多様な交配を実現し、気候変動に耐えうる作物の生産へ~ 気候変動下での食料生産の確保のためには作物の改良が必要ですが、交配のための除雄は多大な労力が必要です。水に溶かした試薬で簡便に除雄する方法を開発し、多様な交配と交雑後の様々な現象の解明への応用が期待されます。(2023年5月29日)
室温で駆動する新しい量子トンネル磁気抵抗効果の発見~ピコ秒帯域で駆動する超高速・高密度・低消費電力メモリーの開発へ大きな一歩~ 近年の情報技術、AI、IoTの発展により、データトラフィックは指数関数的に上昇し、データ処理・伝送に必要な消費電力の削減が大きな課題になっています。(2023年1月19日)
サンゴの白化感受性には細菌も関係する?~共生藻の細胞表面から光保護機能を持つ色素細菌を発見~ サンゴや貝の共生藻(褐虫藻)の細胞表面から光保護機能を持つ色素細菌を発見し、その存在量を操作することで褐虫藻の強光ストレス耐性向上に成功しました。新しいサンゴ・褐虫藻保護方法への貢献が期待されます。(2023年1月19日)
高分子鎖の新しい吸着機構を発見~接着剤で自動車を組み立て、カーボンニュートラルの実現へ~ 複数の軽量かつ高強度な材料を適材適所で組み合わせる“マルチマテリアル技術”が、グリーン成長戦略の切り札として注目されています。(2022/10/13)
「二酸化炭素の資源化」を実現する新たな反応系をデザイン〜非平衡プラズマでCO2転換効率を大幅に向上〜 「カーボンニュートラル社会」の実現に向け、再生可能エネルギーを用いて二酸化炭素(CO2)を一酸化炭素(CO)、メタン(CH4)、メタノール(CH3OH)といった有用物質に転換する技術の確立を目指しています。(2022年7月22日)
二酸化炭素をほとんど排出せず、天然ガスから有用化学品を直接合成~高性能・高耐久な鉄酸化物サブナノクラスター触媒を開発~ 本成果により、天然ガスを有用化学品に転換でき、現代社会が直面する石油依存という問題からの脱却や二酸化炭素排出の低減が可能になります。今後、さまざまな工業触媒プロセスへの応用が期待されます。(2022年5月23日)
木材由来、電気特性と3D構造をカスタマイズできるナノ半導体を創出~持続可能なエレクトロニクスの実現に道~ これにより、全て木材由来の電子デバイスを作製することも夢ではなくなります。持続可能なグリーン・エレクトロニクスの実現に向けた道を開く成果として期待されます。(2022年4月27日)
革新的水素液化技術への挑戦~実用的な磁気冷凍法による水素液化コスト削減に道~ 2050年脱炭素社会実現に向け、水素エネルギー利用が加速しています。水素社会の実現に必要なインフラのうち貯蔵や輸送は、エネルギー密度の観点から液体であることが有利です。(2022年4月11日)
日本初!「食べられる培養肉」 の作製に成功 肉本来の味や食感を持つ 「培養ステーキ肉」 の実用化に向けて前進 「培養肉」とは、畜肉の細胞を体外で組織培養することによって得られた肉のことで、家畜を飼育するのと比べて地球環境に与える負荷が低いほか、さまざまな利点があることから、食肉の新たな選択肢の一つとして期待されています。(2022年3月31日)
炭素電極を備えたペロブスカイト太陽電池の性能が光照射で回復~世界最長となる屋外環境20年相当の耐久性を実証~ 次世代型太陽電池として期待されるペロブスカイト太陽電池は寿命が短い(耐久性が低い)ことが最大の課題でした。低コストな次世代型太陽電池の実用化に大きく前進し、SDGsへの貢献が期待されます。(2021年11月13日)
プラスチックを肥料に変換するリサイクルシステムを開発~プラスチックの廃棄問題と食料問題の同時解決に向けて~ 植物を原料としたプラスチックをアンモニア水で分解し、肥料となる尿素に変換するリサイクルシステムを開発しました。プラスチックの廃棄問題と人口増加に伴う食料問題の同時解決も期待されます。(2021年10月28日)
室温廃熱を高効率で電気に変換 電子構造の精密制御により熱電性能を2倍増大~近未来のIoT社会に貢献する環境発電技術への応用に期待~ 室温付近で既存材料の最大2倍の熱電変換出力因子を示す材料開発に成功しました。廃熱総量が最も多い室温廃熱を利用した環境発電や省エネルギー社会への貢献が期待されます。(2021年8月12日)
研究開発の俯瞰報告書 統合版(2021年)~俯瞰と潮流~ 本報告書は、各分野別に発刊されている俯瞰報告書の内容を、そのポイントを集約しつつ、社会や政策等の動向を踏まえた上で分野を越えた全体像として捉えるべく作成されたものです。(2021年5月)

理化学研究所

総合防災・減災研究チーム 総合防災・減災研究チームは、科学と行政の橋渡しとなることを目指し、神戸市や兵庫県内の実際の都市を対象に地震・津波と集中豪雨といった災害の大規模数値シミュレーションを目的としています。(随時更新)
エタノールがトマトの高温耐性を高めることを発見ー農作物を高温ストレスに強くする技術の開発に貢献ー トマトの実験用モデル品種であるマイクロトムに対し、安価で入手しやすいエタノールの投与後に高温ストレス環境下に置いたところ、生存率の向上や果実の生育ダメージの低減が確認されました。作物の生産現場への応用が期待されます。(2024年2月19日)
温暖化対策プロバイオティクスとしての有胞子性乳酸菌-腸内細菌叢の制御が寒冷感受性に関わる因果構造の一端を解明- 暑熱条件下の畜産業を守るための方法論が必要とされる中、有胞子性乳酸菌プロバイオティクス(健康に良い影響を及ぼす微生物)を鶏に投与することで、暑熱ストレス下での鶏の成長阻害が引き起こされにくいことが明らかになりました。(2024年1月26日)
植物の長期高温ストレス耐性には正確なmRNAスプライシングの維持が重要 シロイヌナズナでは長期・短期高温ストレスでの耐性メカニズムが違うことが示唆されました。植物の高温へのレジリエンス機構の理解、「短期的で極端な暑さ」のみならず「連続する高温」に適応した作物育種への貢献が期待されます。(2023年11月15日)
干ばつがパンコムギ種子に及ぼす分子的影響の解明-乾燥被害による減収、小麦粉品質の低下を食い止める- 干ばつ下でも品質を維持できるパンコムギ系統の開発の育種目標となる形質が明らかとなりました。気候変動に対応できる系統開発への貢献が期待されます。(2023年9月26日)
植物細胞の小胞体をストレスから守る新たな因子の働き-気候変動下で農作物の生産性を保つ技術への応用に期待- シロイヌナズナに存在する特定のタンパク質が根で小胞体ストレスに応答し、気温上昇や塩害を土中から感知する際に重要な役割を果たす可能性が示されました。気候変動下での小胞体の脂質合成・蓄積機能の安定化はバイオものづくりにも貢献します。(2023年8月25日)
地球温暖化に伴う超高層大気の収縮をX線天文衛星で解明 地球温暖化に伴い、高度20km以上の上空大気は寒冷化し、その結果収縮すると考えられています。高度70-115kmの大気の密度低下ペースは、温室効果ガスの増加を考慮した最先端の大気シミュレーションの予測と整合していました。(2023年2月22日)
ブルーカーボンのための海草底泥の共生環境を予測-海草繁茂に関わる共生細菌群の因果関係を「見える化」- 海草による温室効果ガスの抑制効果は、森林土壌の約40倍に上るといわれています。さらに海草は海洋酸性化の抑制などにも関わっていることから、生態系の健全性と地球環境全体の保全の観点から重要視されています。(2023年1月12日)
圧力駆動型ガラス発電機-微細ガラスフィルターを用いた小型環境発電機の開発- IoTの普及に伴う膨大な数の情報端末やセンサーへの給電手段として、熱や光、圧力などから電力を得る環境発電技術が注目されています。人間の歩行などのゆっくりした動きを用いた環境発電に利用することができます。(2022年10月20日)
エタノールが植物の乾燥耐性を高めることを発見-農作物を乾燥に強くする肥料や技術の開発に期待- 地球温暖化などによる干ばつの発生や砂漠化の進行は、作物の成長・収量の低下をもたらします。乾燥などの環境ストレスに強い植物を創出する技術を開発し、作物に応用することが課題を解決する有効な手段の一つです。(2022年8月25日)
反強磁性体における垂直2値状態の電流制御に成功~不揮発性メモリーの超高速化・超低消費電力化への大きな一歩~ 世界のデータ通信量は2030年に現在の数十倍、2050年には数千倍に達すると予想され、データセンターのサーバーなどで用いられる情報処理技術の低消費電力化が求められています。(2022年7月21日)
エタノールが植物の高温耐性を高めることを発見-農作物を高温に強くする肥料や技術の開発に期待- この技術は、圃場で栽培されたレタスでも同様の効果を示しました。従って本技術は、レタスなどの葉物野菜をはじめとする作物の生産現場へ応用できると期待できます。(2022年6月22日)
海藻養殖場の炭素固定能力の定量化に道を拓く成果-CO2削減に向けたブルーカーボン効果の評価精度向上に期待- 自然環境下における溶存酸素量の連続記録から、純生態系生産量を計算し、炭素固定能力をこれまでの報告よりも高い精度で推定することに成功しました。将来的なカーボンクレジット時代に向けた新産業創出への活用が期待できます。(2022年5月25日)
炭素・窒素循環を担う昆虫共生細菌系の因果構造-カブトムシ幼虫の共生細菌群と森林の腐植連鎖物質循環の推察- 昆虫と共生する微生物群の理解にとどまらず、自然環境における共生微生物群のグループとしての多様性と機能性を理解するための足掛かりとして有用な視点を提供しています。(2022年5月18日)
水を超高速で通すにもかかわらず塩を通さないフッ素ナノチューブを開発-次世代超高効率水処理膜の実現に向けて- これまでにない圧倒的なスピードでの塩水の脱塩が実現されました。この成果は、地球規模の飲料水不足に対応するための超高速水処理膜の開発につながると期待されます。(2022年5月13日)
高CO2条件での植物の成長促進に関連する遺伝子を発見-同一種内の遺伝的変異の解析から- 大気CO2濃度の上昇は、短期的には植物の光合成速度を増加させますが、その増加が長続きしないことが多くの植物で観察されています。地球の人口増に対する食糧不足への対応策の一つが、高CO2環境に適応した作物の育種です。(2022年4月19日)
窒素分子と二酸化炭素から有機物を合成-チタンヒドリドで不活性結合の切断・形成を温和な条件で実現- 含窒素有機物の合成法として一般的なハーバーボッシュ法では多くのエネルギーが必要とされます。本法は環境資源の有効利用、また省資源・省エネの観点からも重要です。(2022年4月8日)
好熱菌を黒毛和種仔牛に投与!-仔牛の生産性の向上と環境負荷の低減の実現- 好熱菌のC.hisashiiを給与した仔牛では、メタン産生菌の一種の構成割合が減少しました。メタンは強力な温室効果ガスであることから、地球温暖化の防止にもつながる可能性があります。(2022年3月25日)
シミュレーションで線状降水帯の豪雨予測精度を改善-もしも最新鋭気象レーダで九州全土を覆えたら- 2020年7月に豪雨をもたらした線状降水帯の予測に対し、最新鋭のフェーズドアレイ気象レーダを仮想的に九州全土に展開した場合の有用性を評価し、豪雨発生の予測精度を大きく改善できることを示しました。(2022年3月7日)
カビから見つけた抗マラリア化合物-新たな制御薬剤の開発に期待- マラリアを制御する薬は、耐性菌の出現の問題があり、新たな制御薬剤の開発が望まれています。本研究成果は、気候変動に伴い今後深刻化すると懸念されるマラリアの蔓延防止に貢献すると期待できます。(2022年3月4日)
昆虫ホルモンの生合成を撹乱する蚊の発育阻害剤の発見-環境に優しい農薬の開発に向けて- 現在、マラリアやデング熱など、蚊が媒介する重篤な感染症による死者は、世界中で年間70万人にも上ります。これらの感染症に対する防衛策として、蚊を殺したり、あるいは蚊の成長を阻害する薬剤の使用は欠かせません。(2022年2月17日)
常温・常圧で二酸化炭素の多孔性材料への変換に成功-カーボンニュートラルを目指す新たな手法- CO2を有用な燃料や材料に変換することができれば、環境問題解決の糸口となるとともに、持続的な社会の発展に大きく貢献できます。(2021年10月8日)
植物の乾燥耐性とバイオマス生産性を高める化合物を発見-農作物を乾燥に強くする肥料や技術の開発に貢献- 「ニコチン酸」が植物の乾燥ストレス耐性とバイオマス生産性を高めることを発見しました。本研究成果は、農作物の乾燥耐性を強化する肥料や技術の開発に貢献すると期待できます。(2021年9月3日)
台風の強風予測を改善-もしも静止気象レーダ衛星があったら- 仮想的に30メートル四方のレーダアンテナを静止衛星に搭載して常時観測した場合の有用性を評価し、台風による強風の予報が改善されることを新たに示しました。(2021年7月7日)
温室効果・オゾン層破壊の原因である亜酸化窒素の生物的発生機構の解明 地球環境のN2Oの75%以上は土壌中のカビや細菌などの微生物が産生します。しかし、そのN2O発生の分子機構は、20年以上未解明なままでした。(2021年5月18日)

宇宙航空研究開発機構

今”の世界の雨分布がわかる「GSMaP」 世界の雨分布リアルタイム(GSMaP_NOW)では日本と世界の複数の地球観測衛星のデータを利用し、世界の雨分布の状況を作成、可視化して30分毎にリアルタイムで公開しています。(随時更新)
気候変動2023特設サイト 人工衛星で観測した気候変動に関係する地球の今の状態や過去からの変化を3回の記事で紹介しています。
(動画)【桝さんと学ぶ!】CONSEOワクワクスクール 自然災害編 衛星地球観測コンソーシアム(CONSEO)(事務局:JAXA)では、衛星地球観測の役割を紹介するためのコンテンツを公開しています。第1弾テーマ「自然災害」について学ぶ、ワクワクスクール(自然災害編)の動画です。(2023年4月21日)
(動画)【桝さん x 専門家】CONSEOワクワクトーク!自然災害編 衛星地球観測コンソーシアム(CONSEO)(事務局:JAXA)では、衛星地球観測の役割を紹介するためのコンテンツを公開しています。第1弾テーマ「自然災害」に関する専門家対談、ワクワクトーク(自然災害編)の動画です。(2023年4月21日)
(動画)【桝さんと学ぶ!】CONSEOワクワクスクール!海編 衛星地球観測コンソーシアム(CONSEO)(事務局:JAXA)では、衛星地球観測の役割を紹介するためのコンテンツを公開しています。第2弾テーマ「海」について学ぶ、ワクワクスクール(海編)の動画です。(2023年4月21日)
(動画)【桝さん x 専門家】CONSEOワクワクトーク! 海編 衛星地球観測コンソーシアム(CONSEO)(事務局:JAXA)では、衛星地球観測の役割を紹介するためのコンテンツを公開しています。第2弾テーマ「海」に関する専門家対談、ワクワクトーク(海編)の動画です。(2023年4月21日)
グリーンパワーインベストメントとJAXAが洋上風力発電分野利用の検討に関する協定を締結~日本初、宇宙からの観測により「風の地図」の作成を目指す~ 超広帯域電波デジタル干渉計(SAMRAI)による海上風速データを「風の地図」として可視化し、洋上風力発電事業における適地選定の効率化に向けた検証を実施します。 (2023年3月13日)
衛星データの自治体での防災利用を目指し、佐賀豪雨を対象に実証実験で成果を創出 従来は高精度での浸水状況検出が困難であった農地エリアの解析アルゴリズムの改良により検出精度の向上を実現するとともに、復旧・復興時の被災状況データ蓄積への活用等の新たなユースケースを得ることができました。(2022年5月24日)
JAXAとパルコがSDGsの取組み等において広報・情報発信に関する連携・協力協定を締結~渋谷パルコGAKUで10代とともに考える地球環境問題ワークショップを開催~ 本協定では、地球環境問題という大きな課題を、生活者視点で共に考え、課題解決に向けた具体的な行動が人々のライフスタイルとして定着するように、業種を超えた新たな情報発信、普及啓発活動に取り組みます。(2021年10月29日)
JAXAとSynspective、小型SAR衛星コンステレーション技術を利用した災害状況把握サービスの社会実装に向けた実証を開始 今回は、Synspective、佐賀県庁、株式会社島内エンジニアおよびJAXAの連携により、小型SAR衛星コンステレーションの活用による、豪雨による浸水被害の解析精度の向上を実証します。(2021年7月27日)
大気汚染物質(NO2)との同時観測により⼆酸化炭素の排出量を精度良く評価する新⼿法を開発 航空機を用いた二酸化炭素(CO2)と二酸化窒素(NO2)の分光学的な同時観測を世界で初めて行い、NO2観測データを用いて高精度なCO2の排出量推定手法を開発、実証しました。(2021年7月21日)
株式会社天地人とJAXA、宇宙ビッグデータ米の栽培における気候変動観測衛星「しきさい」由来の水田環境プロダクトの開発を目指した共創活動を開始 人工衛星からの客観的なデータを用いて稲の栽培環境のモニタリングをすることで、農家の負担軽減と、タイムリーな水量管理を目指します。(2021年7月12日)
小型SAR衛星群による新たなサービス創出等に向けた共同実証を開始 株式会社QPS研究所、九州電力、JAXAはSARデータ提供サービスの実現並びに同データを活用したインフラ管理業務の高度化・効率化や新たなサービス創出に向け、共同実証を開始しました。(2021年6月23日)
JAXA・ANAHDの「GOBLEUプロジェクト」が福岡市「実証実験フルサポート事業」に採択~福岡市と協力し、温室効果ガスを測定します~ JAXA及びANAホールディングスは、福岡市から交通量などの実測データの提供を受けます。これにより発生源別排出量の推定が可能となり、都市域における温室効果ガス排出量検出手法構築の飛躍的な進展が期待されます。(2021年6月22日)
日本中の河川をモニタリング!『Today’s Earth – Japan』氾濫の危険を30時間以上前に予測 現在、国が行っている洪水予報は、正確である分、洪水発生予測時刻の6時間前に公表となっています。洪水前の避難だけではない様々な防災ニーズに合わせた情報提供の可能性があります。(2021年6月18日)

海洋研究開発機構

JAMSTEC×SDGsの取り組みについて 海洋プラスチックごみ、MSSGによる臨海都市域の暑熱環境シミュレーションなど、JAMSTECによる研究を通したSDGsへの取り組み例がまとめられたサイトです。(随時更新)
マイクロX線CTを用いた海洋微小プランクトンの殻密度を精密に計測する手法を開発~海洋酸性化による影響の実態解明と将来予測に向けたブレークスルー~ 海洋酸性化の影響が危惧される石灰化生物について、いわば「骨密度計測」が可能となり、高確度かつ定量的に酸性化の影響を見積もれるようになりました。多様な海洋石灰化生物への本手法の適用が期待されます。(2023年12月21日)
猛暑発生時の地上高温に対する地球温暖化の寄与を初めて評価―2022年初夏の猛暑に対する温暖化影響には地域差があった― 当該時期の日本国内の記録的な高温(地上付近)を対象にイベントアトリビューションを実施しました。熱中症等のリスクにも関わる地上気温について、温暖化影響の現れ方が地域間で一様ではないことが示されました。(2023年12月1日)
環境DNAによるホッキョクダラ分布域の推定~生態系にやさしい手法で、北極海生態系に対する地球温暖化の影響のモニタリングに貢献~ 種特異的な環境DNA解析手法により、北極海生態系の鍵種であるホッキョクダラの分布が低水温の水塊と密接に関係していることが実証されました。温暖化と海氷減少に伴う北極生態系の変化の解明に貢献します。(2023年8月30日)
黒潮・メキシコ湾流の渦・流れの長期予測に成功―海流の年々変動による影響予測の基盤的成果― 強い流れやそれに伴う渦の構造を精緻に表現する高解像度準全球海洋予測システム「JCOPE-FGO」を新たに開発しました。海流が与える気象・気候、水産業や海運業などへの影響の長期予測に繋がります。(2023年8月9日)
ロックダウンによる人為起源エアロゾル減少が気候に与える影響を全球規模で解明―衛星観測に基づく原料物質の排出量変化から現実的な評価を可能に― ロックダウン期間の二酸化炭素排出減による冷却効果が、同期間の人為起源エアロゾルの減少による昇温効果によって打ち消されていたことが明らかとなりました。気候変動緩和策の最適化や気候変動予測に重要な示唆を与えます。(2023年7月29日)
短周期渦が世界一高温になるインドネシア多島海の性質を左右することを発見-太平洋とインド洋をつなぐ海流の実態に迫る- 高解像度海洋大循環モデルによる調査で、短周期渦がインドネシア多島海域にて、冷たい中層水の表層への湧昇を促進していることを発見しました。海洋熱波などの気候変動現象の手がかりとなる、本海域の海水温変動のメカニズム解明に貢献します。(2023年5月26日)
天文学的要因が左右する気候と氷床変動―150万年前頃の氷床変動メカニズムを解明― 気候モデルを用いた大規模な数値シミュレーションにより、天文学的外力が、従来の認識よりもはるかに精妙に地球の気候に影響を与えていたことが明らかになりました。地球の歴史や将来の変化をよりよく把握できることが期待されます。(2023年5月15日)
南半球の大気汚染対策不足が南大洋を富栄養化させている可能性―鉱物資源開発に伴う意図しない海洋施肥と健康被害とのジレンマ― 既存の大気・海洋生態系間の相互作用を考慮に入れた地球システムモデルの生物地球化学と気候の相互作用における改善を迫る重要な成果となります。(2023年3月1日)
ボルネオ熱帯多雨林の一斉開花現象を世界で初めて衛星観測により広範囲にとらえた! この成果は熱帯多雨林を対象とした植物季節観測の高精度化、光合成や蒸発散など植生機能の理解の深化、さらには樹種判別の高精度化や開花季節の同調性のメカニズムの理解の深化を促進することが期待されます。(2023年2月8日)
北極海の植物プランクトンの新たな大増殖現象を発見――温暖化によって北極全体で起こる現象に 近年海氷減少が顕著な北極海の陸だな域では、海底ブルームが起こる海域が広がり、これまで推定されていたより植物生産量(二酸化炭素吸収量)が多い可能性があります。またこれを起点とする新規の生態系の発達が示唆されました。(2022年10月3日)
北極海氷の減少を説明する新たなメカニズムを提唱―メキシコ湾流の温暖化による遠隔効果― 冬季にバレンツ-カラ海で海氷が減少すると、海洋から大気へ大きな熱量が放出されることに起因して、北極域だけでなく日本を含む北半球中緯度域の異常気象に関わることが指摘されています。(2022年7月15日)
人間活動に伴う海洋への窒素と鉄の排出が引き起こす地球規模の海洋環境の変化―地球温暖化の影響を相殺/増幅していることが明らかに― 化石燃料の燃焼や農業用肥料の利用などの人間活動により、大気や河川を介して海洋へ流入する栄養塩(窒素•鉄)は産業革命前と比べて、地球全体で倍増したと推定されています。(2022年7月2日)
海洋予測が日本の夏季豪雨予測の精度を向上させる―2020年7月豪雨の事例から― 海洋研究開発機構で開発した大気・海洋領域結合モデルと積雲対流スキームを用いて、2020年7月に発生した豪雨の再予測実験を行い、豪雨の予測精度が向上するか検証しました。(2022年5月17日)
画像分類AIを用いた潜在植生を予測する新手法を開発 本手法は要求される技術や計算機環境が比較的低いため、気候変動に伴った感染症リスクや農業スキームの変化といった事象などを高精度かつ簡便にモデリングする手法として、様々な応用が期待されます。(2022年4月18日)
熱帯西部太平洋で大気中のヨウ素濃度が極めて高い海域“ヨウ素の泉”を発見―気候変動予測評価に向けた新たな知見― この海域において、大気中の一酸化ヨウ素濃度と温室効果ガスである大気中のオゾン濃度が負の相関関係にあることが明らかになりました。(2022年3月31日)
温室効果ガス排出量を削減したシナリオにおいても北極温暖化増幅への考慮が必要 北極域の温度上昇は全球平均ほど抑制されない可能性があることが示されました。今後温室効果ガス排出削減に向けた気候変動対策を検討する上で、考慮すべき知見となり得ることから、引き続き研究を行っていくことが重要です。(2022年2月25日)
中国から排出されるブラックカーボンの主要起源は「家庭」COVID-19・パンデミック期の排出バランス変化を利用した観測データ解析から ブラックカーボン(BC)粒子は、「すす」とも呼ばれる地球温暖化に寄与する物質です。中国の家庭において、調理や暖房器具を石炭からガスベースの代替品へ置き換えて排出を低減することが、温暖化対策として有効と考えられます。(2021年12月16日)
温暖化に伴う熱帯上層雲の高度の変化が上層雲を減らして温暖化を弱める―マイクロスケールの物理が温暖化予測に与える影響― 温暖化予測の不確実性は特に熱帯上層雲に関する不確実性の寄与が大きいと指摘されています。スーパーコンピュータ「地球シミュレータ」等を用いて全球雲解像モデルによる高解像度数値シミュレーションを実施・解析しました。(2021年9月22日)
極端気象をもたらす寒冷渦を捉える新指標を開発-大気の状態を不安定にする陰の立役者の尻尾を捉えた!- 豪雨・豪雪や竜巻・突風等の極端気象を発現させる「寒冷渦」を捉える新指標(寒冷渦指標)の開発と、自動数値計算スキームの構築に成功しました。数日~1週間後の極端気象発現予測の精度向上を目指していきます。(2021年9月15日)
北海道沿岸域の温暖化・酸性化・貧酸素化影響が明らかに~水産対象種に対する深刻な影響回避には具体的な対策が必要~ 地域における施策も海洋酸性化・貧酸素化影響を軽減する上で有効であると提言しています。(2021年6月15日)
世界規模のロックダウンによる大気汚染物質の減少量と気候システムへの影響を算出 これまで検証が難しかった大気汚染物質と気候システムとの相関関係について、定量的に評価できるものであり、今後の大気汚染物質削減と気候変動への適切な対応の両立を目指す環境政策に重要な参考情報となります。(2021年6月10日)

国立極地研究所

ヘリコプターを用いた東南極域の大規模海洋観測に初成功~東南極で最も融解しているトッテン氷河・棚氷への高温水塊の流入経路を特定~ 海中に投下したセンサーから送られるデータをヘリコプターで取得し、砕氷船の入れない海域を含む67地点の海中の温度・塩分を調査しました。当該海域への高温水塊の流入の全容を捉えることにも成功し、今後の海洋観測計画や数値モデル開発への貢献が期待されます。(2023年9月12日)
グリーンランド氷床南東部高地の夏季融解量の増加を復元~グリーンランド南東ドームアイスコアの高精度年代の構築~ 高精度の年代スケールが開発され、北極域の温暖化に伴い過去221年間の夏季積雪融解量が増加したことを復元しました。観測点の少ない内陸高地の温暖化メカニズムの解明への貢献が期待されます。(2023年10月18日)
東南極最大級の氷河へ向かう暖かい海水のルートを解明〜トッテン氷河を底から融かす海からの熱供給〜 トッテン氷河近傍海域での大規模観測により、当該海域における“暖水の循環像”を明らかにしました。氷床損失の包括的理解のみならず、温暖化が進行する現在から近未来における海面水位予測の精度向上に資することが期待されます。(2023年8月22日)
北極域から放出されるダストが北極下層雲での氷晶形成において重要な役割を果たすことを発見 ~地球温暖化や気候変動の予測精度向上に期待~ 全球気候モデルによるシミュレーションにより明らかとなったこの結果は、北極域の急速な温暖化(地球全体の温暖化や気候変動とも関連)に対し大きな影響を与えている北極域の下層雲の分布や寿命を理解する手がかりとなります。(2023年4月26日)
温暖化環境下において東南極氷床が融解し得ることを発見 ~海面が将来大幅に上昇するリスクへの警鐘~ 過去の温暖期における東南極氷床の著しい縮小が、当時の海面上昇に影響していたことが解明されました。南極氷床と海面変動の将来予測の高精度化への貢献が期待されます。(2023年4月21日)
海洋深層大循環に激変の兆しを検出~低密度化により南極大陸縁辺の沈めぬ冷水が大量に中深層へ~ 海鷹丸によってオーストラリア南方の南極海で2010年度以降の連続的な観測に成功しました。今回の結果から深層大循環に付随する地球規模の熱や物質の輸送についてもこれまでに想定されていない変化が生じていることが予想されます。(2022年5月24日)
気候変動は菌類の生息場所も奪う~北極・氷河域の菌類の調査から判明 菌類は有機物の分解者として生態系の中で重要な役割を果たしていることから、菌類相の変化は極地における生物群集の遷移や物質循環に大きな影響を及ぼします。(2022年4月22日)
南極域の海氷面積が観測史上最小を記録 2022年2月20日、1978年の衛星観測開始以来の最小値を更新したことが明らかになりました。(2022年4月28日)
20世紀中頃の北極寒冷化は人間活動による大気中の微粒子の増大と気候の自然変動が複合的に影響~北極温暖化の将来予測の信頼性向上に貢献~ 気象研究所で開発した気候モデルを含む、世界の最新の気候モデル群によるシミュレーションデータを結集させ分析しました。本成果は北極温暖化の将来予測の信頼性向上に貢献することが期待されます。(2022年4月7日)
国連海洋法条約でペンギンを守る!〜国の管轄を超えた海洋生物多様性保護の必要性を科学的に証明~ 激化する人間の活動は、汚染、漁業、気候変動などとして海洋生物の脅威になることが報告されています。特異的な長距離移動に対しては、「国家管轄権を越える区域」の該当地域を該当時期のみ柔軟に保護する必要性が示されました。(2022年3月22日)
北極域のブラックカーボン濃度測定の標準化に成功 —北極温暖化に与える影響を高精度で推定可能に— 化石燃料やバイオ燃料の燃焼で放出されるブラックカーボン(黒色の炭素微粒子)は、太陽放射を強く吸収することで大気を加熱し雪解けを促進するため、急速に進む北極温暖化において、少なからぬ影響を持つと考えられています。(2022年2月9日)
森林火災が北極大気を加熱する黒色炭素粒子の重要な発生源であることを実証~北極温暖化の将来予測に貢献~ 本研究で得られた観測結果は、BC(黒色炭素エアロゾル)の気候影響を評価するさまざまな数値モデルの検証と改良に役立てられ、より正確な気候影響の推定に結びつくことが期待されます。(2021年11月5日)
SO2排出削減にもかかわらず硫酸エアロゾル減少が鈍化する要因を特定-硫酸の三酸素同位体組成に基づいたフィードバック機構の解明- 規制対象ではなかったアルカリ性物質の排出が、硫酸エアロゾルの減少鈍化の原因であったという本研究の結果は、今後の効果的な大気汚染の緩和策の策定や、正しい将来の気候変動予測に役立つことが期待されます。(2021年5月6日)

国立保健医療科学院

H・CRISIS 災害時にそなえるための健康危機事例の蓄積、提供、及び、災害時保健医療活動支援システムの提供を行っています。(随時更新)
保健医療科学 2020 Vol.69 No.5 特集:気候変動による日常生活や健康への影響を考える 国立保健医療科学院によるこれまでの適応の取組、および様々な観点(公衆衛生、熱関連疾病・死亡、感染症、水道システム、建築と室内環境、暑熱環境対策)に基づく総説が掲載されています。(2020年12月)

国立感染症研究所

災害と感染症ポータル 多様な災害により発生しうる感染症や、避難者(避難所)の集団としての特性により発生しうる感染症の状況について、人の健康に対するリスクを解説し、必要な備えについて記載しています。(随時更新)
節足動物媒介感染症(昆虫やダニが病原体を媒介してヒトが罹患する感染症) 蚊媒介感染症を含む節足動物媒介感染症について、情報が集約されています。(随時更新)
日本の輸入デング熱症例の動向について 感染症発生動向調査により収集されている日本のデング熱の輸入例のデータを、渡航者のリスク評価のために、適時に還元することを目的として定期的に更新されています。(随時更新)
デング熱トップ デング熱はネッタイシマカなどの蚊によって媒介されるデングウイルスの感染症です。温暖化によって国内でも感染が広がることが懸念されています。国内感染状況、ガイドライン等が掲載されており、随時更新されています。
IASR 44(2)、2023【特集】動物由来感染症 注視するべき動物由来感染症として、気候変動にともなう洪水や降雨量の増加により, 感染機会が増えていると考えられるレプトスピラ症が報告されています。(2023年2月28日)
蚊媒介感染症、2012年1月~2022年3月 津波、台風、洪水等の自然災害により滞水環境が増えると、 それが蚊の発生源となることがあります。気候変動にともなう世界的な蚊の生息域拡大による、 蚊媒介感染症の増加が懸念されます。(2022年6月22日)

農業・食品産業技術総合研究機構

スマート農業実証プロジェクトWebサイト スマート農業とはロボット・AI・IoT等先端技術を活用し、省力化・精密化・高品質生産を実現する農業です。「見られる・試せる・体験できる」スマート農業技術情報発信サイトとして、各地の情報等を随時掲載します。(随時更新)
Society5.0 農業・食品版の実現とSDGs フィジカル(現実)空間とサイバー(仮想)空間を高度に融合して農業・食品産業に高い価値を創造すること等を目指し開発が進められています。気候変動に対応した育種や栽培方法、生産基盤対策等も紹介されています。(随時更新)
刊行物 農研機構による農作物の品種紹介、技術紹介パンフレット、標準作業手順書などがまとめて掲載されています。品種、技術別の検索、資料ダウンロード可能です。(随時更新)
標準作業手順書(SOP) 農研機構で開発された技術の活用のため、農業従事者、都道府県の普及担当者・指導者や研究者向けに総合的な技術解説書「標準作業手順書(SOP)」が公開されています。気候変動適応につながる技術が多数掲載されています。 (随時更新)
(研究成果) ニホングリの栽培化の歴史を遺伝的解析から明らかに-クリの栽培と選抜は縄文時代以前から始まった- ニホングリが九州、西日本、東北の3地方の野生グリと、栽培グリの4つのグループに遺伝的に分かれることが明らかになりました。九州の野生グリ集団は現在の栽培グリより温暖な気候に適応して生存おり、気候変動に対応する有用な素材になると考えられます。(2023年12月22日)
(研究成果) 画像解析AIを利用して植物の環境応答解析システムを開発~牧野富太郎の命名した植物の頑健性を解明~(外部リンク:横浜市立大学) AI技術を利用し植物の野外画像解析システム(PlantServation)を独自開発し、進化学的に重要な4種について大規模画像データの解析により環境応答パターンを読み解きました。気候変動に対応する品種開発への貢献が期待されます。(2023年9月22日)
(研究成果) ため池の管理状況に関するデータを共有するデジタルプラットフォームの構築- ため池の遠隔監視体制および管理状況の集約化に活用 - 全国のため池の写真、日常点検結果、監視カメラの画像、水位データなど各種データを格納し閲覧できる「ため池デジタルプラットフォーム」を構築しました。ため池の被災時には、前後のため池の写真との比較により、被災状況を迅速に把握することができます。(2023年8月25日)
(研究成果) 営農活動による地域への経済波及効果と環境影響を同時に評価できるWEBツール 営農活動で使用した種苗や肥料などの資材や燃料の経費を対話形式に従ってブラウザに入力することで、地域経済の構造に即した経済波及効果と直接・間接に生じる環境影響を推計できるツールを開発し、ウェブサイトにて公開しました。(2023年7月18日)
農業研究開発投資による開発途上国の将来のトウモロコシ収量増加を維持するには気候変動の緩和が不可避 開発途上国のうち特に低所得国では増収技術の普及により収量の大きな増加が見込める一方、気候変動が進行した場合には投資に対するリターンが減少することが示されました。(2023年6月2日)
複雑な地形における日最低気温をピンポイントに推定-作物の凍霜害対策等に期待- 夜間の放射冷却に伴う冷気流の動きから5mメッシュで日最低気温を推定する手法を開発し、傾斜地や丘陵地など冷気流が発生しやすい場所に立地する農地に対してピンポイントな気象データを提供することが可能となりました。(2023年5月29日)
(研究成果)ドローンデータの補正による 新たな水稲生育診断・追肥量算出システムを開発- 簡易かつ精確な生育診断で米の収量等の安定化に貢献 – 気候変動等により米の収量や品質の不安定化が懸念される中、本研究にて、ドローンで得た生育診断データ等を地上数か所で得たデータで補正し、広範囲の圃場で適切な追肥量を算出することが可能となりました。(2023年4月27日)
(刊行物)気象情報とICTを活用した水稲、小麦、大豆の栽培管理支援API標準作業手順書 気象データを用いた作物の栽培管理情報(発育予測等)を提供するWeb-API「栽培管理支援API」を開発しました。農業の気候変動対応と栽培管理の効率化や大規模化への貢献等が期待されます。(2023年4月27日)
(お知らせ) 農研機構がアジア生産性機構のCenter of Excellenceに日本で初めて認定されました- 加盟国における農業の生産性向上、温室効果ガス削減に貢献します – これまで開発した水田の水管理技術などをアジア生産性機構(APO)加盟国に展開・移転し、APO加盟国の農業部門における生産性向上と温室効果ガス削減の両立に貢献します。(2023年3月27日)
(研究成果)周年親子放牧導入標準作業手順書「山陰地方版」を公開-牧草種の組み合わせを工夫し、放牧期間を延長- 近年の温暖化により夏枯れを起こしやすい寒地型牧草に、夏季高温に強い暖地型牧草を組み合わせることで、放牧期間の延長を可能にする技術を新たに開発しました。(2023年3月22日)
地域別の青果市場価格及び小売価格の予測技術を確立―農業データ連携基盤(WAGRI)を利用したサービス公開を予定― 天候や青果の市場価格などのビッグデータを自動収集し、AIで機械学習させて解析し、市場価格を高精度に予測する仕組みを開発しました。収穫や販売計画の立案に役立ち、機会ロスや廃棄ロスを減らすことに貢献します。(2023年3月16日)
(お知らせ)漁獲情報を収集・活用するアプリケーション「おきそこ君」 導入により下関漁港では、ニーズのある魚を漁獲し、効率良く市場に水揚げすることが可能となり、令和3年度は、水揚量は減少したにもかかわらず、1航海当たりの水揚金額は過去最高を記録しました。(2023年3月16日)
(研究成果)農業用ダムの事前放流によって洪水を軽減する効果の 簡易推定手法を開発 本手法は、行政部局が策定する農業用ダムを活用した流域治水の計画立案において参考となることが期待され、流域の洪水被害の軽減に貢献します。 (2023年3月16日)
「田んぼダム」に用いる器具の特徴を整理しました- 雨の規模と効果の関係を実験と計算で評価 – 近年、気候変動の影響等により、洪水などによる水災害の頻発化、激甚化が懸念される中で、水田の排水口に取り付ける簡単な器具によって下流側の洪水の被害を軽減する「田んぼダム」の取組が注目されています。(2023年3月2日)
(研究成果)イチゴのジャストインタイム生産に向けた収穫日の精密予測・制御技術を開発 収穫時期を正確かつ精密に調整し、需要期に合わせることができれば、生産・食品ロスの削減、安定的なサプライチェーンの構築による持続可能な農業の推進に寄与できます。(2023年2月13日)
干ばつを生き抜く イネの 戦略 ~RIイメージング技術 で初めて 捉えた根の水分に対する応答~ 根の中で起きている栄養の動きを可視化する技術を開発し、イネが干ばつ状況に応じて栄養を送る根を素早く切り替えていることを発見しました。本成果は干ばつに強い作物、特にイネの開発に貢献することが期待されます。(2023年1月18日)
「農業副産物を活用した高機能バイオ炭の製造・施用体系の確立」がNEDOグリーンイノベーション基金事業に採択(外部リンク:株式会社ぐるなび、NEDO) 民間各社、全国農協連合会とともに、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、「NEDO」)の「グリーンイノベーション基金事業/食料・農林水産業のCO2等削減・吸収技術の開発」に応募し、採択されました。(2022年12月19日)
(研究成果)大豆への灌水かんすい適期を伝える「大豆灌水支援システム」の一般利用がスタート- 国産大豆の安定多収に資する乾燥害対策向けWebシステム – 本システムがアラートを発出するタイミングで適期に灌水することで、大豆の収量が10%増収することを実証しています。本システムで大豆の乾燥ストレスを「見える化」し、適期灌水の普及とこれに伴う収量増が期待されます。(2022年11月17日)
(お知らせ)「無花粉スギの苗を短期間で大量に生産する技術」を題材とした「成果事例こぼれ話」の公表について 花粉を全くつけない無花粉スギを植林し、花粉の飛散量を抑えることで花粉症を減らす取組が行われています。このため、無花粉スギの苗を大量に生産・供給する技術の開発が求められています。 (2022年10月31日)
(研究成果) バイオマス植物として有用なオギススキ新品種の開発- 株の広がりが速く、草地造成が簡単に – 本品種は、1バイオマス燃料として利用することでカーボンニュートラルに貢献できる、 2耕作放棄地に導入することで耕地の省力管理に活用できる、3産業用の有用産物の原料など様々な利用方法がある、など多くの利点を有しています。(2022年10月18日)
(研究成果)植物の隠れた能力を見える化できる栽培計測プラットフォームの構築-多様な気候条件下での未利用遺伝子発掘により、新しい作物開発が可能に – 野生植物の持つこれまで見つかっていなかったストレス耐性遺伝子などの発見が可能であり、将来の劣悪な地球環境を想定した作物開発などへの活用が期待できます。(2022年10月6日)
(研究成果)取水堰などの洪水被災を防ぐネット工法-強靱なインフラを低コストで実現し維持し続ける技術の開発 – 取水堰は、低平地の田畑へ低コストで自然送水するため、全体の85%程度が標高の比較的高い河川中上流域にあります。したがって、堰直下流の洗掘が必然的に起きやすいため、多くの堰でネット工法の需要が見込まれます。(2022年9月29日)
(研究成果) 水稲の高温不稔を引き起こす穂の温度上昇には 湿度が強く影響- 高温不稔の実態を国際的観測ネットワークで解明 – 高温で湿潤な気候の地域では蒸散に伴う気化冷却効果が小さく穂温が高くなりやすいため、高温不稔リスクが高いと推定されました。(2022年9月6日)
(研究成果) ロボティクス人工気象室の構築と運用開始 作物の栽培環境データおよび画像等の形質データをAI解析することにより、任意の環境における作物の性能(収穫時期、収量、品質等)を精密に推定することが可能になります。また、民間企業等の外部機関からも遠隔利用が可能です。(2022年9月2日)
バイオ炭を活用した茶園土壌の炭素貯留に関する実証試験の開始 ~静岡のお茶畑で「CO2排出量の削減」と「茶葉の品質向上」の両立を目指します~ 植物性廃棄物はバイオ炭と呼ばれる炭化状態にすることで、土壌に混ぜ合わせても微生物に分解されにくくなり、二酸化炭素の放出が抑制されることが知られています。また、農地土壌の環境を改良する効果があります。(2022年7月12日)
イネが被害を受けやすい時期と害虫の発生時期が重なることが斑点米の発生を助長することを長期データとシミュレーションから解明 この成果はイネの脆弱期間とカメムシの攻撃期間が重ならないように作付け時期や防除時期をコントロールする等、気候変動下における農業の適応策につながることが期待されます。(2022年7月7日)
カキの受粉に野生のコマルハナバチが大きく貢献- 野生の花粉媒介昆虫を活用した省力的な栽培に向けて – 受粉が必要な果樹・果菜類の栽培で、野生の花粉媒介昆虫が役立っていることは知られていますが、その実態には不明な点が多くありました。(2022年7月1日)
ワックス量を調整して植物の乾燥・塩・高温耐性を増強させる仕組みを発見(2 報同時掲載)~幅広い環境変動に適応する作物育種に期待~ 植物の乾燥・塩・高温耐性に必須の遺伝子としてワックス合成遺伝子を発見し、耐性を向上させることに成功しました。温暖化によって頻発する干ばつや温度上昇など幅広い環境変動に適応する作物育種が期待できます。(2022年6月23日)
(研究成果)牧草新品種「夏ごしペレ」の種子販売開始- 夏の暑さに強く嗜好性が高いペレニアルライグラス) – 越夏性を向上させた新品種「夏越しペレ」を使うことで、東北地域及び中部地域の中高標高地帯などの 寒冷地における飼料の高品質化が期待されます。(2022年6月15日)
(研究成果) 再生可能資源で道路を丈夫に!- でんぷんから作った新たなアスファルト改質剤 – 本技術は、夏期の路面温度下でもわだち掘れができにくくなるため、道路の寿命を延ばすとともに、道路施工に関わる温室効果ガス排出量の削減や作業環境の改善など、諸問題の解決に貢献できると期待されます。(2022年6月13日)
(研究成果)「東北農業気象『見える化』システム」を公開- 様々な気象の「見える化」で栽培管理や適地適作をサポート – 東北地方6県を対象に、日々の気象を地図やグラフなど画像として提供します。過去の値や平年値などと比較したり、平均値、積算値として集計するなど、意思決定に使いやすい形で可視化していることが特徴です。(2022年6月8日)
(研究成果)水稲品種「にじのきらめき」の暑さ対策-高温条件下でも外観品質低下が少ないメカニズム – 穂が葉の中に隠れていることが要因であると考えられます。本研究の成果は、高温登熟性を持つ水稲品種の栽培と育種戦略の両面に貴重な基盤的情報を与えるとともに、深刻化する地球温暖化の中での玄米外観品質の高位安定化に貢献します。(2022年6月2日)
(研究成果)山口県の野生イノシシの豚熱の感染源は約500km離れていた可能性-豚熱は近隣の野生イノシシだけではなく、距離を隔てて伝播する可能性にも注意が必要 – このような長距離伝播がイノシシの移動やイノシシ間の接触等による感染のみによって起こる可能性は低いと考えられるため、豚熱ウイルスが何らかの人の活動を介して遠隔地に持ち込まれた可能性が懸念されます。(2022年5月16日)
【研究発表】気候変動は東南アジアの熱帯雨林樹木の開花・結実頻度を減少させる 本研究により得られた知見および開発されたモデルと方法論は、気候変動に対する熱帯雨林樹木のフェノロジー応答の理解を促進し、地球規模での植物繁殖フェノロジー予測に貢献することが期待されます。(2022年4月22日)
(研究成果) 農地の炭素量増加による3つの相乗効果を世界規模で定量的に推定- 作物増収、温暖化緩和、窒素投入量の節減 – 土壌中の有機物を増やすと、土壌の肥沃度や保水力が改善し、作物の増収効果や干ばつ被害の軽減効果があることが知られています。また、大気中の二酸化炭素(CO2)濃度の減少として換算され、温暖化緩和に貢献します。(2022年3月29日)
2021年夏季の農業気象 (高温に関する指標) 水稲の生育に影響を与える 2021 年夏季の農業気象の概況を整理しました。猛暑日と熱帯夜、ならびに水稲の登熟期間の平均気温の地域的な特徴を示し、気象データに基づく穂温の推定結果についても紹介します。2022年3月22日)
(研究成果) ため池の豪雨対策の効果を評価する – 水位の上昇を防ぐ対策の評価 – ため池は豪雨時の流入で水位が上昇しすぎると決壊のおそれが生じます。ため池水位上昇を防ぐ対策効果可視化手法を開発し、ため池毎に豪雨前の貯水放流や日頃の水位抑制策実施の豪雨時水位上昇抑制効果を可視化し、最適な対策選択を可能にしました。(2022年3月16日)
(研究成果) 「わい化栽培リンゴ『ふじ』における着色向上のための 窒素施肥」の標準作業手順書を公開 リンゴ「ふじ」の果実は、着色期高温や窒素施肥量増加により着色不良発生が知られており、近年の温暖化進行により着色不良果増加が懸念されています。果皮着色も考慮した窒素施肥基準と解説を記載した標準作業手順書を作成し公開しています。(2022年3月2日)
(研究成果) ブドウ収穫後の着色改善方法の標準作業手順書を公開 収穫後ブドウの着色を光と温度を用い効果的に改善する方法を記載した標準作業手順書を公開しました。収穫時に糖度が十分に高く食味良好であるにもかかわらず、温暖化等の影響で着色不良になったブドウ果皮色を改善する処理条件等を記載しています。(2022年2月17日)
(研究成果) 冷涼な地域でも収量がとれるホクホクおいしいサツマイモ新品種「ゆきこまち」- サツマイモの生産拡大のために – 高収量・品質良好で冷涼地でも安定栽培可能なサツマイモ新品種「ゆきこまち」を開発しました。近年の需要増加と品不足の打開策として、サツマイモの経済栽培が困難とされた冷涼地域での新産地形成に役立つことが期待できます。(2022年1月27日)
カンキツの高品質果実安定生産技術シールディング・マルチ栽培(NARO S.マルチ)標準作業手順書 甘くて美味なカンキツ類の安定生産に有用なシールディング・マルチ栽培(NARO S.マルチ)を開発しました。専用シートを園内埋設するシートマルチ栽培技術で、低コストで温暖化対応や大規模化にも適しています。(2022年1月25日)
(研究成果) 猛暑年に国内水稲の高温不稔の実態を調査、モデル化で将来予測も可能に 猛暑年の水稲不稔割合と気象の関係を調べ、水田での不稔割合推定モデルを開発しました。推定では猛暑と出穂時期条件により現気候下でも高温不稔発生可能性が示唆されました。水稲生産予測精度向上、高温不稔対策検討の重要な基礎資料です。(2022年1月18日)
(研究成果) イネ害虫の発生調査で、専門家の目を持つAIがウンカ類を自動カウント- 目視では1時間以上の調査時間を3~4分に短縮 – イネ害虫発生調査にて調査板画像からウンカ類を自動認識するAIを開発、ウンカ類を90%以上の精度で認識・計数でき、目視で1時間超に及びうる調査を3~4分に短縮します。本成果は的確な害虫防除や被害発生予測に役立ちます。(2022年1月13日)
(研究成果) 北海道内主要産地の小麦収量は開花期の晴天で増加、曇天・雨天で減少する- 最大で35%増減、開花を早めるのが生産安定のカギ – 近年の北海道主要産地小麦収量には、開花期周辺の5日間の天気が影響することを解明しました。晴天時と比較し曇天・雨天時は減収となり、最大35%の差が出ると試算されました。本成果は小麦収量安定化技術の開発に役立ちます。(2021年12月20日)
「令和3年度気候変動アクション環境大臣表彰」開発・製品化部門(適応分野)大賞を受賞しました 温暖化の影響でハダニの発生が激増し、果樹生産における被害拡大が懸念されるが、本取組では薬剤への依存をできるだけ少なくした防除法として、土着天敵と天敵製剤を用いた防除体系を構築し、表記の大賞を受賞しました。(2021年12月17日)
生物系特定産業技術研究支援センター《こぼれ話30》リンゴやブドウの着色を促す「果実発色促進装置」が誕生 着色不良のリンゴやブドウに青色LED光を照射し果皮の着色を促す「果実発色促進装置」を紹介しています。産地では高温による着色不良現象も起きており、商品価値を高める武器として普及が期待されています。(2021年11月30日)
(研究成果) 自然環境の干ばつを再現した自動潅水制御システムを開発- 地球環境変動時代の迅速な作物開発を強力にサポート – 自然界の干ばつ状態を屋内環境にて再現し、1ポット毎に土壌水分を任意制御し、温湿度、照度、地温等を常時監視する世界初の自動潅水システムが開発されました。将来の地球環境を見越した作物開発への貢献が期待できます。(2021年10月27日)
(研究成果) 排水機場や排水路の水位をリアルタイムで予測するモデルを開発- 水利施設操作の支援と洪水被害・排水管理労力の軽減 – 低平地の排水機場・排水路水位予測が可能な人工知能モデルと水理モデルが開発されました。直近観測値と気象予報データを基に数時間先の水位をリアルタイムで予測でき、水利施設操作支援や洪水被害・排水管理労力軽減に役立ちます。(2021年9月9日)
(研究成果) 無人航空機による施設点検手法の手引きを作成- 農業水利施設及び海岸保全施設の点検労力を2割削減 – 国際航業(株)と共同で、農業水利施設や海岸保全施設の点検を効率的に行う、ドローン等の無人航空機を活用した点検手法を開発しています。現場技術者が無人航空機を活用して点検を行うための手引きを作成・公開しています。(2021年8月26日)
(研究成果) 農業用水路の摩耗量測定システムをアップグレード- 操作性一新、扱いやすく – 2013年開発の農業用水路表面摩耗量高精度測定装置をコンパクトにして現場作業を効率化し、摩耗量計算を簡略化した解析プログラムを作成しました。本技術の活用で、より多くの水路にて合理的維持管理が進むと期待されます。(2021年8月24日)
(研究成果) 日本の2000年から2015年の窒素収支を解明- 持続可能な窒素利用の実現に向け基礎情報を提供 – 北海道大学他の研究機関と共同で、日本の人間活動と環境を対象に2000~2015年の窒素収支、大気や水域への窒素排出実態を解明しました。本成果は窒素の持続可能な活用、環境の窒素汚染防止技術開発や政策立案に役立ちます。(2021年8月24日)
(研究成果) 全世界を対象とした穀物の収量予測情報を提供- サービスの速報性と予測の精度を確認し本格運用へ前進 – トウモロコシ、コムギ、コメ、ダイズの全世界収量予測手法を開発し、各国食糧機関等への提供サービスを試験運用してきました。他国類似サービスと予測精度を比較検証し、2023年までにWEB収量予測情報提供を開始予定です。(2021年8月19日)
(研究成果) 干ばつによりイネの根が貧弱になる仕組みを解明- 干ばつに強いイネ品種の開発に期待 – 世界の代表的なイネ品種の断続的な干ばつ下における根の形態と全遺伝子の働きを比較し、根が細くなる原因と考えられる複数遺伝子を発見しました。本成果は、干ばつに対して頑健なイネ品種開発への活用が期待されます。(2021年8月17日)
(研究成果)将来の不確実性を考慮に入れた飢餓リスクとその対応策の算定 京都大学他と共同で、作物モデルと将来気候の不確実性を考慮に入れ、極端気象現象が将来食料安全保障に与える影響を推定しました。本研究は今後の温室効果ガス削減の重要性と共に、温暖化時に備える適応策の重要性も示しています。(2021年8月10日)
土層改良と部分不耕起帯による土壌流亡対策標準作業手順書 主に大規模畑作地帯で集中豪雨等により表土が流出する土壌流亡に対し、農業者が実施可能な営農作業による対策技術を策定し、標準作業手順書として取りまとめています。(2021年7月21日)
(研究成果) カリウムの施肥量を抑えた水稲の栽培方法により土壌中に難分解性炭素が蓄積することを発見- 農業が可能にする新たな地球温暖化対策 – カリウム施肥量を抑えて多収イネを栽培すると難分解性炭素が土壌に蓄積することを発見しました。カリウム施肥の制御で土壌への難分解性炭素蓄積を促進できる可能性があり、新たな地球温暖化対策開発につながることが期待されます。(2021年7月20日)
(研究成果) 気候変動による水稲(コメ)の収量や外観品質への影響は従来の予測以上に深刻である- 高温と高CO2の複合影響を組み込んだ最新のモデルによる予測 – 屋外栽培実験結果を基に高温・高CO2の複合的影響を考慮した水稲生育収量予測モデルを構築し、国内水稲収量・外観品質への影響を予測しました。高温耐性品種や栽培管理技術導入、国・自治体の適応計画策定・更新の重要な基礎情報となります。(2021年7月19日)
(お知らせ) 特集「防ぐI」- 農研機構技報 – 地球規模で起こる病害虫、自然災害、気候変動による農業被害や農作業事故を「防ぐ」ための技術開発の取組として、農作物病害虫防除技術、気候変動による農作物被害軽減対策や自然災害防災支援システム等の研究成果を紹介しています。(2021年7月14日)
ため池管理アプリ- ため池管理者がため池の被害状況を点検報告 – 農家等が災害・日常時のため池点検報告ができるスマホ用「ため池管理アプリ」を開発しました。国が運用の「ため池防災支援システム」と連携し、ため池被害等を簡単に報告・共有でき、迅速な災害支援に役立ちます。 (2021年6月24日)
生物系特定産業技術研究支援センター《こぼれ話24》炭酸ガス施用でハウス作物が増収 日本の施設園芸は高齢化や暖房用燃料の価格高騰等の影響で縮小傾向にありますが、高知県の施設園芸では植物の光合成を促す炭酸ガス発生装置導入農家が増え、ナスやピーマン等多くの作物で増収が実現しています。(2021年5月21日)
(お知らせ) 特集「気候変動」-農研機構技報- 農研機構は「気候変動」を特集した農研機構技報 第4号を刊行しました。気候変動影響予測、適応対策、緩和技術について、コメ、果樹、畜産分野などの事例を紹介しています。(2020年3月3日)
簡易な園芸施設における正確な気温の遠隔測定システム標準作業手順書 中山間地等の商用電源の確保が困難な簡易な園芸施設において、正確な温度環境をインターネット上で遠隔モニタリングできるシステム構築についての手順書を公開しています。(2021年4月16日)

国際農林水産業研究センター

「みどりの食料システム戦略」を踏まえたアジアモンスーン地域向けの技術カタログに「林業・水産」分野の技術を追加―各国と技術を共有し、持続可能な食料システムの構築を推進―(随時更新) 当該地域の行政官、研究者、普及担当者、農林漁業者等を利用者に想定した本技術カタログに「林業・水産」分野が追加され、Webデータベースとして公開されました。分野や品目等を選択することで、閲覧したい技術を参照することができます。(随時更新)
西アフリカ半乾燥地域の重要作物ササゲに対する気候変動の影響を収量予測モデルにより推定―干ばつとともに過湿への対策が必要になることを示唆― ササゲの圃場栽培データを活用し、乾燥・過湿条件下での収量予測モデルの精度改善を行いました。当該地域では気候変動による降雨頻度の増加により、多雨年ではササゲ収量が低下することが推定されました。(2023年11月22日)
植物の新たな干ばつストレス応答機構を発見―「見えない干ばつ」を克服し、作物の大幅増収への道を切り拓く― 畝を利用した干ばつ再現の実験系の開発により、葉が萎れない軽度の初期干ばつ(見えない干ばつ)への植物応答の定量的な検知が可能になりました。作物収量が干ばつによる影響を受ける前に、灌漑を最適化する技術への貢献が期待されます。(2023年10月3日)
水稲施肥技術「リン浸漬処理」は冠水害の回避にも有効~サブサハラアフリカの安定的かつ持続的なコメの生産に貢献~ 少量のリン肥料を混ぜた泥をイネの苗の根に付着させて移植する本技術(P-dipping)の効果は生育初期の冠水害の回避にも有効であることが明らかになりました。サブサハラアフリカでの安定的かつ持続的な稲作への貢献が期待されます。(2023年7月24日)
熱帯島嶼河川の栄養塩濃度を機械学習で予測―沿岸生態系の保全対策への活用に期待― 石垣島の河川にて栄養塩濃度を高精度で予測するモデルを作成しました。サンゴ礁の衰退や赤潮発生のリスク評価に活用することで、熱帯島嶼における健全な沿岸生態系を保全するための政策立案への活用が期待されます。(2023年6月5日)
高CO2環境でイネを増収させる「コシヒカリ」由来の遺伝子を発見―気候変動下での持続可能な稲作に貢献― 世界的な気候変動が進行する中で、持続可能な作物生産を実現するための技術開発が喫緊の課題となっています。MP3はその技術の1つとして、将来の高CO2環境でのイネの安定生産に貢献することが期待されます。(2023年3月31日)
みどりの食料システム戦略 アジアモンスーン地域向けの技術カタログを公開―技術の実装を促進し持続的食料システム構築へ貢献― アジアモンスーン地域の行政官、研究者、普及担当者、農業者、民間セクターを含む多様な関係者に利用されることを想定しています。これらの技術が各地で実装されることにより、持続的な食料システム構築の一助になることが期待されます。(2023年3月27日)
シカ個体数を減らすにはメスの捕獲が効果的 過剰に増加したシカ類を減らすために世界各地で捕獲が実施されており、より効率的に個体数(密度)を減らす手法の開発は急務となっています。(2023年2月20日)
リン制限により熱帯林の総生産量は従来の予測より36%減少―陸域の炭素収支モデルの予測精度向上に貢献― 大気中のCO2濃度の増加は樹木の光合成を促進し、木材生産量を増加させる可能性があるとされていますが、リン制限が強い場合、予測値を大きく下方修正する必要があります。(2022年11月24日)
国際農研発 第2号ベンチャーが誕生!―オイルパームバイオマスの原料マルチ化プロセス特許等成果を活用― 国内外の農林水産業の持続可能性を高め、環境と調和した持続可能なオイルパーム油産業の形成により、みどりの食料システム戦略にも繋がる環境負荷を軽減した油脂の調達を可能とし、地球環境の保全に貢献します。(2022年11月9日)
国際共同研究プロジェクトの発足記念式典をインドネシアで開催―熱帯林のレジリエンスを高め、持続的な産業への改善を目指す― 気候変動適応型の林木品種を開発するとともに、種苗生産技術を確立、温室効果ガス吸収や非木材資源量などをもとに、地域社会や地域経済の観点から、既存熱帯林業への気候変動適応型品種の導入効果を評価します。
多収で病害にも強い耐塩性ダイズ新品種を開発―塩害農地におけるダイズの安定生産に貢献― 国際農研では、世界の不良環境地域における農業生産の安定化を目指した研究の一環として、中国やベトナム、インドを対象に、耐塩性遺伝子を応用する作物開発を進めています。(2022年9月8日)
年間を通じた間断かんがいで農家の利益向上と温室効果ガスの削減が可能に―メコンデルタにおける間断かんがい技術のメリットをLCAで評価― 湛水と落水を繰り返す間断かんがいは農家の増益と農業からの環境負荷軽減を両立するコベネフィットな農業システムであり、アジアモンスーン地域における気候変動の有望な緩和策および適応策として期待されます。(2022年6月23日)
(研究成果) 新たな牛のメタン排出量算出式を開発しマニュアル化- 牛のゲップ由来メタン削減技術開発の加速化に期待 – 牛のルーメン1)発酵由来メタンは農業分野における主要な温室効果ガス排出源の一つであり、あい気(ゲップ)とともに大気中に排出されます。(2022年6月9日)
微生物の培養だけでセルロースを糖化する技術を開発「―微生物糖化法で糖化酵素に要するコストをゼロに― 本研究成果は安価で効率的な次世代の糖化技術として、農林水産省が進める「みどりの食料システム戦略」の「(1)資源・エネルギー調達における脱輸入・脱炭素化・環境負荷低減の促進」に貢献します。(2022年6月2日)
CCFS研究会ワークショップ 開催報告 「気候変動とコロナ禍の食料需給への影響―不確実性下のフードセキュリティ―」 気候変動とコロナ禍が食料と栄養の供給に与える影響に焦点を当て、これまで国際農研および科研費で実施されてきたプロジェクトを通して得られた成果が報告されました。(2022年1月13日)
稲作農家を対象とした天候インデックス保険の設計 ‐東南アジア・デルタ地域農家の気候変動適応力向上を目指して 国際農研やイエジン農大を含む学際的プロジェクトチームは、災害を受けやすいミャンマー沿岸部の稲作農家を対象とした天候インデックス保険(WII)の開発に向けて、サイクロンの上陸および塩害の頻度の計測、災害別の保険への需要の把握、持続可能な農業経営のための保険の設計を行いました(2021年6月30日)。
国際農研提案の2課題がSATREPS(地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム)に条件付き採択されました 採択された課題は「気候変動適応へ向けた森林遺伝資源の利用と管理による熱帯林強靭性の創出」及び「生物的硝化抑制(BNI)技術を用いたヒンドゥスタン平原における窒素利用効率に優れた小麦栽培体系の確立(生物資源分野)」となります(2021年5月21日)。

森林研究・整備機構

バイカル地域での現生人類の拡散時期と要因を解明—温暖化は森林ステップの拡大と人の移動定着をもたらした— バイカル湖の湖底堆積物の花粉と周辺地域の遺跡の年代データ(炭化物や骨片)の比較により、約4.5-4万年前の温暖化が森林ステップを拡大させ、同時期に現生人類が拡散したことが解明されました。気候変動に対する人類の適応を示す具体的かつ重要な成果です。(2023年11月29日)
大雪による倒木の危険性評価のための着雪モデルを開発—比較的温暖な積雪地での着雪量の推定精度が向上— スギを用いた着雪の野外実験で得られた知見をもとに、樹木への着雪量を気象データから推定するモデルが開発されました。温暖化により雪の降り方が急速に変化する中で、大雪による倒木の危険性を”見える化”するツールへの活用が期待されます。(2023年8月31日)
遮断蒸発が下流に及ぼす影響を評価—森林に特徴的な現象が洪水を大きく左右する— 森林に降った雨が樹木に遮られ地面到達前に蒸発する遮断蒸発という現象が、洪水流出を減らすことが示唆されました。流域ごとの森林の洪水緩和機能の評価をより実情に合わせることに貢献します。(2023年7月5日)
スギの根が山腹の表層崩壊を防止する機能の評価手法を開発—皆伐から10年で大幅に低減するが再造林を行えば回復も早い— スギ根系が有する山腹の表層崩壊防止機能の経年変動の評価手法を開発しました。機能を最大に発揮するための効果的かつ経済的な森林管理計画の策定や、適切な森林施業に活用できます。ヒノキや広葉樹でも同様の評価技術の開発が必要です。(2023年6月15日)
ニホンジカの過去10万年の個体数増減を解明—人間の捕獲による管理が増減を決める— 増加の要因は、気候変動や上位捕食者の絶滅よりも、人間による捕獲圧が低下したことによる可能性が⾼いと考えられました。この結果は、シカによる影響を許容範囲に収めるためには、⼈間による継続的な管理が必要であることを⽰唆するものです。(2023年4月4日)
ニホンジカの⽣息個体数を⾼い空間解像度で推定 モニタリングデータの量・質にフィットした適切な統計モデルの構築によりローカルスケールにおける個体数変動の違いを検出 5km2単位という⾼い空間解像度で個体数を推定することに成功しました。空間解像度の⾼いニホンジカ⽣息個体数推定結果を活⽤することにより、市町村といった地域単位で適切かつ効率的な捕獲や防除等の対応を検討していくことが可能となります。(2023年4月3日)
シカは川沿いにやってきた!?100年ぶりに茨城県南西部に出現したシカの由来推定 本研究で用いた遺伝的手法などで得られる科学的情報を用いて野生動物出没を理解することは、複数の自治体の連携体制を促し、より効率の良い野生動物管理に貢献できると考えられます。(2023年2月21日)
過去60年で世界の森林面積は日本列島2つ分消失—熱帯産林産物への依存の低減と低所得国の能力強化が重要— 調査結果と考察に基づき、次の3点を提案します。(1)世界の違法木材取引の監視と森林認証政策を強化すること、(2)高所得国は輸入熱帯林産物への依存を減らすこと、(3)世界が協力して熱帯地域の低所得国の能力を強化すること、です。(2023年2月21日)
わずかな広葉樹の大きな役割—人工林内の広葉樹の保持は効率的に鳥類を保全する— 人工林が世界的に拡大し、木材生産上重要な役割を担うようになった現在、人工林で木材を生産しながらいかに生物多様性を保全するかは重要な社会的課題です。(2023年2月13日)
シカの増加がツシマヤマネコのマダニ媒介感染症リスクを高める?—シカが多い場所にはマダニが豊富— 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)はマダニ類が媒介するウイルスによる人獣共通感染症で、中国南部、韓国、日本、ベトナムなどで感染が確認されています。これまで人やネコ科動物では高い致死率が報告されています。(2023年1月12日)
地球温暖化による雪崩への影響を広域で推定 地球温暖化が進むと全体的には雪崩の発生する頻度は減少するものの、一部の地域では、一度発生すると広範囲に被害をもたらす大きな規模の雪崩になる可能性を示す予測結果が得られました。(2022年12月22日)
マダニリスクが高い森林の特徴が明らかに—シカの密度と植生が鍵となる— マダニに刺咬されるリスクの低減には、シカを中心としてマダニの宿主として重要な野生動物の密度管理が重要です。この結果は、マダニによるリスクを避け、安全に野外活動を行うための重要な知見です。(2022年11月8日)
林野土壌図とCS立体図を現地で同時閲覧可能に—より防災に配慮した施業計画の作成が可能に— オフィスあるいは現地において、簡単にこれらの地図を参照することが可能となりました。例えば路網作設の危険地域予測が簡単にできるようになり、スマート林業の推進にも寄与するシステムとなります。(2022年9月28日)
シカを捕獲した地域では確かに林業被害が減少する—地域ごとに捕獲の効果を正しく評価し、捕獲数を決める— 熊本県全域を対象にシカの捕獲数、密度、林業被害の程度を解析したところ、林業被害の増減傾向には地域差がみられ、多く捕獲した地域ほど生息密度が減少し、それに伴って被害が減少していました。(2022年9月6日)
スマート林業の実現に向けて、電動四足歩行ロボットを荷物の運搬などに活用するための実証実験を実施 国内の人工林は、林業従事者の高齢化や担い手不足、少ない伐採収益のために森林の再造林が進んでいません。この状況は、二酸化炭素の吸収量の低下や森林の荒廃による災害の増加などの懸念にもつながります。(2022年6月28日)
誰でも簡単、スマホで樹木測定―木の直径を測るアプリがリリースされました― iPhoneやiPadに搭載された3Dレーザースキャナを使って、木の直径を瞬時に測定するアプリを開発しました。林業や自然環境モニタリングにおける調査の省力化に役立つと期待されます。(2022年6月9日)
シカの増減でクマの食生活はどう変わる?~個体で異なるツキノワグマのお食事変遷~ 生態系管理の一環として、シカの生息数(生息密度)の管理を行うだけでなく、シカの生息数の減少に対する他の生物種の反応も、生態系のバランスをモニタリングしていくうえで欠かせない視点となると考えられます。(2022年4月26日)
気候変動により森林が拡大する地域、縮小する地域を高解像度で推定―気候ストレスの影響を地球規模で評価するモデルを開発― 気候が変化することで森林分布が拡大・縮小する地域を、約1km2の高解像度で推定することが可能になりました。森林の二酸化炭素吸収能力が今後も維持されるのかを知る上で重要な情報となります。(2022年4月21日)
保護区外での生物の保全の考え方を提示―農林業をしながら生物多様性を効果的に保全するために― 保護区、改善された周辺環境、改善されていない周辺環境を含む地域内で、生物集団の増減を効率的にモデル化する方法を世界で初めて開発しました。(2022年4月12日)
小規模な木質バイオマスエネルギー利用の採算性を評価するツールを開発 ― 循環型社会の実現に向けて ・原料の種類・消費量・購入単価、熱利用の条件、設備導入費、発電効率などを入力することにより事業の採算性を評価できます。
・地域の原料・熱利用事情に合わせた、小中規模の事業検討などに活用いただけます。(2022年4月7日)
衛星画像から過去35年間の国内全域の伐採・植栽箇所を可視化 ⽇本では近年針葉樹人工林を中心に伐採活動が活発になっています。しかし、いつ・どこで伐採が行われ、伐採後に植栽されたのかを把握するには伐採者や森林所有者の⾃⼰申告等による情報に頼らざるをえませんでした。(2022年4月5日)
土砂災害が発生する危険性の高い雨の降り方を判定する ・雨の降り方と土砂災害が発生したタイミングの関係を明らかにしました
・1時間当たりの平均雨量がおよそ100年に一度の値に達した際に土砂災害が発生する危険性が高いことがわかりました 等(2021年10月28日)
気候変動の影響を評価、スギ生産力の減少をシミュレーション 高度なスギの生産力推定モデルを開発 スギ人工林の生産力を推定するモデルを構築し、将来の気候変動の影響を全国で評価しました。特に強い気候変動が進行した場合、全国の約半分の地域で生産力が減少する可能性もあります。(2021年9月)
生物多様性が気候変動問題の解決の鍵となる 地球温暖化を防ぐことで生物多様性を保全できれば、生物多様性による炭素吸収が進み、気候の安定化をさらに促進できることが分かりました。この気候安定化と多様性保全の両者促進の利益の経済評価も実施し、今後の国際政策における両者間の良い関係性(安定化フィードバック)に注視することの重要性を強調しました。(2021年6月10日)
マツ枯れ被害対策に役立つ高解像度リスクマップの作成 全国のマツ枯れ被害リスクマップをメッシュサイズ1km×1kmの高解像度で作成しました。被害先端地域でのマツ保全対策や国内各地の重要マツ林の管理計画、森林病害虫被害リスクに対する適応策の立案等に活用できます。(2021年4月14日)

水産研究・教育機構

水産資源に関する情報 沿岸沖合資源(192魚種)、国際漁業資源(まぐろ、さけ・ます、鯨類)、漁協予報、調査結果などがまとめて掲載されています。(随時更新)
海洋環境に関する情報 海況予測システムによる我が国周辺の予測情報、各地モニタリング海域における海洋環境データ、海況予報などがまとめて掲載されています。(随時更新)
日本沿岸域の酸性化進行状況に関するモニタリング結果を公表 国内5つの沿岸海域を対象としたpH等の通年観測により、降雨後の塩分低下に伴ってpHが短期的に低下する現象が頻発していることが判明しました。この短期的なイベントの抑制には、陸域からの栄養塩流入のコントロールが重要であることが示唆されました。(2024年1月15日)
マガキ養殖海域の温暖化・酸性化の詳細な観測・予測に成功ー深刻な影響を回避するためには様々な対策が必要ー 日本沿岸のマガキ養殖海域での観測により、場所や時期によって、海洋酸性化がマガキ生育に影響を及ぼす水準に達していることが分かりました。河川からの淡水および有機物の流入抑制などの対策を講じる際の科学的指針となることが期待されます。(2023年11月24日)
海草・海藻藻場のCO2貯留量算定に向けたガイドブックの公開について ブルーカーボン生態系の活用と実践に必要な情報がガイドブックとして公開されました。気候変動対策技術としてのブルーカーボンの理解促進と、漁業関係者や地方自治体等での活用が期待されます。(2023年11月1日)
音を用いて水面近くのサケ稚魚を見つける!(水産工学部) サケの稚魚の鰾(うきぶくろ)の形状等に基づいた音響調査の検証等により、周波数38kHzを用いることが有利であることが判明しました。サケ稚魚のモニタリングの高度化に資する結果であり、効率的な放流に寄与することが期待されています。(2023年8月7日)
あなたが食べているイカはどこから来たか?最新の国際研究によれば管理されていない海域の可能性が最も高い 太平洋、大西洋、インド洋におけるイカ釣漁業について3年間にわたって調査しました。イカ釣漁業の持続性や公正な資源利用に対する懸念と、公海での漁業の管理や地域漁業管理機関間での連携強化の必要性が指摘されています。(2023年3月13日)
水産研究・教育機構の気候変動適応研究計画 政府の第2次気候変動影響評価報告書、農林水産省気候変動適応計画、みどりの食料システム戦略、水産基本計画と整合し、気候変動による影響への対応を的確かつ効果的に実施するための研究開発に関する計画を策定します。(2023年3月3日)
水産資源,水産業への気候変動影響と適応,緩和―第四期中長期以降の水産研究・教育機構の研究成果― 海洋環境モニタリングと海況予測、日本周辺水域の海洋環境変化、水産資源等に及ぼす影響、養殖への影響と適応、海洋酸性化、温暖化対策等について最新の研究成果がレビューされています。(2023年3月3日)
ソロモン諸島におけるココナツ繊維を用いたナマコの天然採苗-熱帯域で初の事例、保全手法としての活用に期待(沿岸生態システム部) 熱帯域で日常的に消費されるココナツの廃材を用いて安価に作成でき、設置も容易であることから、地域コミュニティ主体でのナマコの保全手法としての活用が期待されます。(2022年12月16日)
おさかな瓦版107号「ブルーカーボン」を掲載しました。 海洋生物が吸収した炭素を「ブルーカーボン」と呼びます。水産業や沿岸環境を守るために大事にされてきた藻場も温暖化対策として貢献する主要なブルーカーボン生態系の一つです。(2022年6月13日)
日本周辺の海況を一体的に予測する新たなシステムの運用開始-水産資源の変動要因などの研究に活用- 太平洋、日本海及び東シナ海の海況(海水温や海流の向きや速さなど)の一体的な予測を可能としたシステムです。当機構のホームページで公開し、都道府県水産試験研究機関等には、詳細なデータの提供も行います。(2022年6月8日)
日本海南部沿岸域における溶存酸素濃度の減少傾向の検出 (海洋環境部) 酸素濃度の減少は底魚類の生息深度を浅い方に押し上げる可能性があります。(2022年1月13日)
北海道沿岸域の 温暖化 ・酸性貧素影響が明らかに~水産対象種にする深刻な影響回避は具体的策が必要~ ・地球温暖化・海洋酸性化・貧酸素化が将来、北海道沿岸域の水産対象種に与える影響を及ぼす可能性を指摘しています
・深刻な影響を回避するためには、人為期限CO2排出の大幅な削減が不可欠であることを示唆しています・陸域からの物質流入調整等、地域での対策に必要な定量的な科学的根拠として期待されます。(2021年6月15日)

産業技術総合研究所

海洋の酸性化と貧酸素化の複合的な要素がシロギスの卵に及ぼす影響を明らかに-気候変動が水産資源に及ぼす影響評価- 重要な水産資源の魚種であるシロギスは、特に、貧酸素条件下にて解糖系の遺伝子発現が上昇し、環境変化に対応していることが分かりました。他の海洋生物種を対象とした類似実験を通じ、気候変動の海洋生態系への影響が明らかになることが期待されます。(2024年2月1日)
気候変動に伴う暑熱関連死亡の将来予測-エアコン利用の重要性と人工排熱低減対策の必要性が明らかに- エアコン保有率0%に対し、適切なエアコン利用により36%(現在・過去気候条件下)と47%(+3.0℃シナリオ)の暑熱関連死亡数の減少が予測された一方、人口排熱による都市気温の上昇による死亡数増加が予測されました。暑熱対策検討における重要な知見です。(2023年12月28日)
西太平洋のサンゴの分析により、過去237年間の海水温変動を復元!-20世紀の温暖化による夏の海水温上昇が明らかに- 黒潮の出発点でもある西太平洋熱帯域で100年以上成長を続けるハマサンゴを試料として、過去200年以上の連続的な海水温の復元を行いました。気候モデルなどの精度上昇への貢献が期待されます。(2023年11月30日)
ゼロ・エネルギー・ビルの普及で温暖化による将来の電力需要増加が約半分に-電力消費ビッグデータと都市気候モデルによる脱炭素技術の導入効果の推定- 気候変動に伴う電力消費量の将来変化を推計したところ、特に都市部のオフィス街区で電力消費量が大幅増加する可能性が示されました。暑熱対策としてのヒートアイランド対策技術の評価への貢献が期待されます。(2023年11月29日)
日本周辺海域の宝石サンゴの成長速度が明らかに-宝石サンゴの保全に貢献- 宝石サンゴとも呼ばれ経済的・文化的価値の高いアカサンゴ(準絶滅危惧種)等の成長速度が非常に遅いことが明らかになりました。海水温上昇や貧酸素化等の気候変動の影響が懸念される中、長期的な絶滅リスクの評価への貢献が期待されます。(2023年6月28日)
テラワットスケールの太陽光発電: 持続可能な社会への挑戦と展望-世界の太陽光発電研究者からの提言、Science誌に論文掲載- 太陽光発電は気候変動対策手段の中でも比較的低コストかつ短期間で普及が可能とされ、ますますの需要拡大が見込まれています。今後、世界が持続的な社会に向かう際に必要な太陽光発電の普及速度や課題を提示しています。(2023年5月30日)
温度によらず必要な時に力を加えて熱を取り出せる新規合金を開発-日中に蓄えた熱を夜間に効率的に放出する等、蓄熱システムの中核技術に- 例えば電気自動車において、動作ピーク時には高温に加熱するモーター等の排熱を蓄えておき、停止時などの低温環境下で、電池の始動など熱が必要とされる部分に、蓄えていた熱を小さい力で放出して供給できることにつながります。(2023年3月8日)
プラスチックの劣化状態を非破壊分析するシステムを開発-結晶の厚みと結晶中の高分子らせんの数を同時計測- 循環型社会の実現には、まずプラスチックの劣化の仕組みを詳細に解明して劣化を防ぎ、徹底して再生利用することが不可欠です。プラスチックの製品や再生品の長寿命化は、製造や焼却処理時の二酸化炭素の排出の抑制にも直結します。(2023年2月28日)
希薄なCO2を高い選択率で分離回収する膜を開発-大気中CO2を直接回収・利用するカーボンリサイクルの実現に貢献- 大気中からCO2を分離回収する技術では、分離材料に吸収もしくは吸着させたCO2の回収に多量の熱を消費することが欠点のひとつです。そこで、原理的に熱エネルギーを必要としない膜分離法に着目しました。(2022年11月11日)
日本の2050年カーボンニュートラル実現に向けたシナリオ分析-数理モデルを用いてバックキャストにより日本の脱炭素化をシミュレーション- 本研究により、2050年までにエネルギー起源CO2排出を全体としてゼロにするためには、発電時にCO2を排出しないゼロエミッション電源とネガティブエミッション技術の導入が必須であることが明らかになりました。(2022年10月5日)
100℃以下の温度でリチウムイオン二次電池を充電できる有機熱電素子を開発-手のひらに収まるわずか5 gの薄膜積層素子- 利用できる熱源としては、自動車や工場内の配管、加熱調理機や給湯器、夏の農業用ハウス表面や太陽電池パネル、冬の暖房機器などが考えられます。また、温度差があればよいので、建物の内外の温度差を利用することも考えられます。(2022年9月28日)
変動する水素供給条件下でも安定してアンモニア合成が可能な触媒を開発-再生可能エネルギー由来の水素を原料とするアンモニア合成を効率化- アンモニアは分子内に炭素原子を含まず、燃焼してもCO2を排出しないため、化石資源に代わる燃料として利用する技術が注目されています。(2022年7月22日)
行動変容が都心の気温や電力消費量に与える影響が明らかに-都市気候モデルと社会ビッグデータの融合による新推定- 新型コロナウイルス感染拡大に伴う2020年4〜5月の緊急事態宣言期間における大規模な外出自粛が、都市の気温・人工排熱量・電力消費量(電力由来CO2排出量)へ及ぼす影響を日本全国の都市を対象に推定しました。(2022年6月3日)
遷移金属不使用の触媒を用いて大気濃度CO2から合成ガスを製造する技術を開発-CO2を原料とした液体燃料や化学品製造の実現に前進- この技術を既存の合成ガス利用プロセスと組み合わせることにより、排ガスや大気中のCO2を出発原料として液体燃料や化学品を製造することが可能となり、カーボンニュートラル社会の構築に大きく貢献できます。(2022年5月13日)

気象研究所

地球温暖化・海のページ 気象研究所が、学生をはじめ多くの方に気象研究所の研究を学んでもらう目的で運営する「学びのページ」内には「地球温暖化・海のページ」もあります。
【文部科学省との共同プレスリリース】令和5年夏の大雨および記録的な高温に地球温暖化が与えた影響に関する研究に取り組んでいます。―イベント・アトリビューションによる速報― 文部科学省気候変動予測先端研究プログラムの取組の一つとして、令和5年夏の記録的高温を対象とした研究を実施しています。地球温暖化の影響が大きく寄与していたことの検出に成功したことに関する速報です。(2023年9月19日)
【共同プレスリリース】地球温暖化がさらに進行した場合、線状降水帯を含む極端降水は増加すると想定されます 地球温暖化の進行により、温候期の極端な大雨が更に増加する可能性が高いことが明らかになりました。シミュレーション結果はデータ統合・解析システム(DIAS)にて公開予定で、各地の防災、気候変動適応計画の策定等への活用が期待されます。(2023年9月19日)
気象衛星ひまわりの超高頻度観測により台風の目の変化を検出~台風の強度推定と予報の向上への貢献に期待~ 気象衛星「ひまわり8号」による30秒間隔の特別観測により、台風の目の中の風速の分布を高頻度・高密度に検出することに成功しました。台風の変動過程に関する科学的な理解の更なる深化に貢献します。(2023年6月15日)
線状降水帯予測精度向上に向けた技術開発・研究の成果について 線状降水帯の発生しやすい条件及び線状降水帯の内部構造の理解が進展するとともに、高解像度化した数値予報モデルでは線状降水帯の予測が向上する傾向が確認されるなどの成果を得ました。(2022年12月27日)
豪雪をもたらす線状の降雪帯,JPCZの構造とメカニズムを日本海洋上観測により明らかにした JPCZは,「大気の川」のような構造を持ちます.気流がJPCZに収束することに伴い,周囲の海面から蒸発した水蒸気がJPCZに集中し,強い雪雲となり豪雪となります.(2022年12月26日)
令和 4 年 6 月下旬から 7 月初めの記録的な高温に地球温暖化が与えた影響に関する研究に取り組んでいます。―イベント・アトリビューションによる速報― 令和4年6月下旬から7月初めの記録的な高温を対象として研究を実施した結果、地球温暖化の影響が大きく寄与していたことの検出に掛かる時間を大幅に短縮することに初めて成功しました。(2022年9月6日)
線状降水帯予測精度向上に向けた技術開発・研究をオールジャパンで実施します 線状降水帯予測精度向上に向けた技術開発・研究のため、全国の大学等の研究機関と連携して、6月よりメカニズム解明に向けた高密度な集中観測や、スーパーコンピュータ「富岳」を活用したリアルタイムシミュレーション実験を実施します。(2022年5月31日)
集中豪雨の発生頻度がこの45年間で増加している~特に梅雨期で増加傾向が顕著~ アメダス3時間積算降水量を用いて、経年変化を調べました。年間の集中豪雨事例の発生頻度は約2.2倍になり、月別では7月の発生頻度が約3.8倍となり、梅雨期の集中豪雨事例の増加傾向が顕著でした。(2022年5月20日)

国土技術政策総合研究所

国土交通省国土技術政策総合研究所 気候変動適応研究本部webページ 気候変動適応研究本部による研究プロジェクトや、論文・発表資料、海外事例などの研究情報、本部スタッフなどが紹介されています。(随時更新)
下水道研究部 下水処理研究室 下水道革新的技術実証事業(B-DASHプロジェクト) 下水道事業における創エネルギー、省エネルギー、浸水対策、老朽化対策等を推進し、併せて、本邦企業による水ビジネスの海外展開を支援するため、下水道革新的技術実証事業(B-DASHプロジェクト)を実施しています。(随時更新)
防災カードゲーム「このつぎなにがおきるかな?」 災害が発生したときに起こる危険な状況等が学べるカードゲームです。みんなでワイワイ遊びながら防災力を身につけることができます。(随時更新)
港湾利用に配慮した気候変動適応策に関する基本的検討:嵩上げと防潮壁設置を中心に(国総研資料第1264号) 平均海面水位上昇等への対策としての嵩上げや防潮壁設置の事例を調査し、気候変動適応のための港湾利用計画のマスタープラン検討・策定等における配慮事項等について整理しました。(2024年2月9日)
3大湾内の港湾における高潮・波浪への気候変動の影響評価(国総研資料第1266号) 将来の3大湾(東京湾・伊勢湾・大阪湾)内における高潮偏差および高波について、再現期間に応じた将来変化比を算出しました。将来の港湾施設設計への貢献が期待されます。(2024年2月9日)
将来気候における高潮・高波の不確実性の評価 将来の高潮及び高波についての2つの不確実性評価に基づき、気候変動を考慮した港湾施設設計への活用に資することを目的に、不確実性を考慮した将来の潮位偏差及び波高の推定手法を提案しました。(2023年9月5日)
港湾における気候変動対策の新たな可能性の提案~浚渫土砂の有効活用による炭素貯留とブルーカーボン生態系の創出の有効性~ カーボンニュートラルポート政策のより確実な推進を目的として、浚渫土砂の有効活用を通じた安定的な封じ込めによる有機炭素の貯留効果を、港湾における新たな気候変動対策として提案しました。(2023年9月5日)
降雨量トレンド検定結果データベースを公開~地方公共団体における気候変動の影響を踏まえた下水道の計画降雨検討を支援~ 気象庁が所管する全国の観測地点を対象として、検討に必要な降水量データ(年最大10分降水量及び年最大60分降水量)のトレンドについて検定を行い、その結果を「降雨量トレンド検定結果データベース」として公開しました。(2023年8月4日)
道路をよりよくするための技術研究を新規に4件採択します ~「道路政策の質の向上に資する技術研究開発」募集の審査結果について~ AIを活用した道路交通マネジメント、局地的大雨に対応した事前通行規制判断の高度化など、気候変動による気象災害対策に直接・間接的に資する研究が採択されています。(2023年3月10日)
国総研のVR(仮想現実)河川水位予測技術が「ベスト産業実用化賞」を受賞しました。~SAT テクノロジーショーケース 2023~ 災害の切迫感・臨場感をより分かりやすく住民に伝えて逃げ遅れを回避することを目的に、(仮想現実)技術を活用した河川水位予測情報の 3 次元表示技術」を開発しました。(2023年2月10日)
民間企業の気候関連情報開示におけるリスク評価をサポート~TCFD等の物理的リスク評価の手引き作成に向け、第2回懇談会を開催~ 民間企業の気候関連情報開示における物理的リスクのうち、特に洪水に関するリスク評価のあり方について検討、手引き作成に向けた議論が行われています。資料及び議事概要は、後日国土交通省ウェブサイトに掲載される予定です。(2023年1月18日)
国総研資料1230号「緑化生態研究室報告書第37 集」を刊行しました 令和3年度に緑化生態研究室の調査・研究の成果と、研究室スタッフによる発表論文がとりまとめられています。道路・のり面緑化、流域治水に資する緑地データ、グリーンインフラとしての緑などに関する研究報告が掲載されています。(2023年1月16日)
河川氾濫による浸水の頻度を見える化(国管理河川)~水害リスクマップ(浸水頻度図)のポータルサイトを開設~ 水害リスクマップ(浸水頻度図)は、多段階の浸水想定図(発生頻度は小さいものの浸水範囲が広い大規模な洪水や、浸水範囲は狭いものの発生頻度が高い小規模な洪水など、様々な規模の洪水の浸水想定図)を重ね合わせたものです。(2022年12月14日)
仮想空間に流域防災技術のためのデジタルツイン実験場を創ります~流域治水デジタルテストベッド共創web セミナーの開催~ 水災害の激甚化・頻発化に伴い、多様な関係者が協働し流域全体で水災害を軽減させる「流域治水」が進められています。民間企業等にも開放しオープンイノベーションで洪水予測、流域治水立案技術を開発することを想定しています。(2022年12月7日)
民間企業の気候関連情報開示におけるリスク評価をサポート~TCFD 等の物理的リスク評価の手引き作成に向け、懇談会を開催~ 民間企業の気候関連情報開示における物理的リスクのうち、特に洪水に関するリスク評価のあり方について検討し、手引きを作成するため「気候関連情報開示における物理的リスク評価に関する懇談会」を開催します。(2022年11月29日)
オフィスビル等の省エネ性能に関する最新調査結果を公表~建築物の脱炭素化に関する施策検討を支援~ 本調査結果は、国や自治体が建築物の省エネ施策を検討するうえでの重要な根拠データとなります。また、今後の規制強化に向けて設計実務においてどのように設計仕様を変更していくかを検討する際の有力な情報源となります。(2022年11月1日)
スマートシティ全国76の最新事例をまとめて紹介~スマートシティ事例集【導入編】の公開~ スマートシティのテーマは、かつての省エネルギーから、交通、生活支援、防災、防犯、観光等に多分野化するとともに、技術革新により活用が期待される新技術も多様化しています。(2022年10月21日)
国総研資料第1222号『土砂災害分野におけるL積率法を用いた解析雨量プロダクトの確率化手法』を刊行します! 土砂災害分野において土砂災害警戒情報を中心に用いられている国土交通省解析雨量プロダクトに対して L 積率法を適用し、 適合度の高い確率分布を得ました。(2022年9月28日)
社会の「これから」をつくる研究所”『国総研』「国総研レポート 2022」を国総研 HP に公開します 国総研の研究活動の理念、2021 年に進めてきた研究活動や成果および今後本格化しようとする取り組みを幅広く紹介しています。気候変動適応に大きく資する取組が多数掲載されています。(2022年6月3日)
“社会の「これから」をつくる研究所”『国総研』令和4年度の取組み内容が決定しました!!~3つのメインテーマと主な取組み事例~ 取組み事例のひとつとして、河川水位予測や左右岸別の洪水危険度を表示するシステム(水害リスクライン)を更に改良し、予測の長時間化や精度向上を図ることで迅速な住民避難や防災体制構築に貢献することが挙げられています。(2022年5月24日)
VR(仮想現実)技術を用いた河川水位予測情報の3次元表示に関する技術開発 災害の切迫感・臨場感を市町村の防災担当者や住民に分かりやすく伝え、円滑な避難行動につなげることを目的に、VR(仮想現実)技術を用いて数時間先の河川の予測水位を3次元画像で見える化する技術開発を行っています。(2022年5月20日)
小規模処理場にもメタン発酵システムを導入し低コスト・省エネルギーを実現! 「小規模下水処理場を対象とした低コスト・省エネルギー型高濃度メタン発酵技術」の導入ガイドライン(案)を策定し、公開しました。(2022年4月26日)
AI を活用した送風機運転の最適化によりエネルギー消費を削減! 「単槽型硝化脱窒プロセスのICT・AI制御による高度処理技術」の導入ガイドライン(案)を策定し、公開しました。(2022年4月26日)
国総研資料第 1080号 気候変動下の都市における戦略的水害リスク低減手法の開発 気候変動、人口減少、高齢化、巨大災害の切迫等に対処するため、 「地域の水害リスクを主軸に据えて防災減災施策を考える」政策体系の具体化に向けた、リスク評価手法および対策の具体的展開手順を提示しています。(2019年7月)

土木研究所

ICHARMとベトナム天然資源・環境省気象水文総局(VNMHA)が水レジリエンスと災害に関する覚書に署名 ICHARMとベトナム天然資源・環境省気象水文総局(VNMHA)は、水レジリエンスと災害に関する覚書を締結しました。今後、両機関が協力し研究や人材育成活動などが実施される予定です。(2023年11月28日)
土木研究所資料「第9回洪水管理国際会議(ICFM9)実施報告書」を掲載【PDF】 2023年2月19日~22日につくば国際会議場にて開催された第9回洪水管理国際会議(ICFM9)の実施報告書が公開されました。(2023年9月1日)
ICHARMとIHE Delftが研究協力に関する覚書に署名 ICHARMとIHE Delft Institute for Water Education(以下IHE Delft)は研究協力に関する覚書の延長について合意し、オンラインで署名式を行いました。気候変動に関連した水災害分野での人材育成や能力開発にかかる協力などが期待されています。(2023年7月18日)
統合的気候モデル高度化研究プログラム-ICHARMによる研究成果- 水災害・リスクマネジメント国際センター(ICHARM)が参画した文部科学省研究プログラム「統合的気候モデル高度化研究プログラム」(令和3年度終了)での研究成果を掲載しました。(2023年6月2日)
インドネシアにおけるeラーニング・ワークショップを開催 2021年10月5日~11月5日、インドネシアの行政担当者を対象としたワークショップ「気候変動下における水災害レジリエンスと持続可能な開発」が主催されました。(2021年11月17日)
洪水 DX 防災学習・イン・スクール つくば市近郊の中学校および高校にて、国土交通省が進めている「マイ・タイムライン」およびICHARMが開発を進めている「疑似洪水体験システム」を用いた、「洪水防災学習」を実施します。(2023年2月3日)
第5回国連水と災害に関する特別テーマ会合で科学技術パネルを主催 2021年6月25日、第5回国連水と災害に関する特別テーマ会合(STSWD5)がオンラインで開催され、本会議に先立ち、科学技術パネル(S&T Panel)がICHARMによって主催されました。(2021年6月30日)
水害対応ヒヤリ・ハット事例集(地方自治体編及び別冊:新型コロナウィルス感染症への対応編)の作成・公開 昨今の全国的な水害の頻発を鑑み、地方自治体の防災担当部署の災害対応力の向上を目指して、「水害対応ヒヤリ・ハット事例集」を作成し、公開しています。(2020年6月25日)

建築研究所

建築研究報告 No.153 「建築物の浸水対策案の試設計に基づくその費用対効果に関する研究」を公表しました。 立地場所の浸水リスクを踏まえた浸水対策の費用対効果を算定しています。本研究報告が水害対策に関心を有する多くの方々に参照され、建築物等における浸水被害の低減への取り組みに役立てられることが期待されます。(2023年1月24日)
建築研究所の最近の研究活動等について報告しました。~建築研究所 第20回 専門紙記者懇談会の開催~ 報告資料が掲載されています。「6.都市・建築の水害リスク対策に関する研究成果について」の報告では、(1)都市の水害リスクの実態分析、(2)建築物の浸水対策の試設計と費用対効果の分析結果について掲載されています。(2022年11月25日)
令和4年度 第1回 サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)の評価結果を公表しました これにより、関係主体が事業の成果等を広く公表することで、取り組みの広がりや意識啓発に寄与することを目的としています。また、併せて住宅・建築物の市場価値を高めるとともに、居住・生産環境の向上を図るものです。(2022年9月21日)
設計用気象データ作成ツール「ArcClimate」 ArcClimate を用いると、指定した任意の緯度・経度で気象データを取得できます。これにより対象の建設地点において地域特性を活かした設計が可能となります。(2022年7月5日)

港湾空港技術研究所

UMI-POCHI(海ポチっ) 港湾と沿岸の情報拠点「UMI-POCHI」が開発されました。生物多様性保全やカーボンニュートラルに関連する環境分野のデータのほか、沿岸防災に活用できるデータ等も公開しています。(随時更新)
世界のブルーカーボン生態系の面積は 2100 年も現状維持あるいは拡大する予測-適切な管理によって気候変動緩対策としての貢献に期待- 2100年までの浅海生態系の面積変化の予測にて、海草藻場においては現状比最大 11%拡大という結果が示されました。海岸構造物や沿岸開発による影響を最小限に抑えることにより、海面上昇による浅海生態系の大幅な減少は回避できることが示唆されました。(2023年12月19日)
「物流情報標準ガイドライン」に関するHPを開設し、管理体制を決定しました~ガイドラインにより物流業界の情報標準化を推進します~ 物流業界では、書面手続や対人・対面によるプロセスが多いなどのデジタル化の遅れや、トラック積載効率の低迷による非効率な運送等が大きな課題となっています。デジタル技術の活用とデータの可視化推進のためには、情報に関する標準化が必要不可欠です。(2023年2月2日)
東京湾の底を〝見える化〟してSDGsを学ぶ! 猿島「ブルーカーボン」クエスト調査開始および取材会開催のお知らせ 地球温暖化防止の重要なカギとして注目を集めている「ブルーカーボン」に関し、東京湾・猿島(さるしま)を中心とした海域での調査を民間企業、自治体との共同で開始します。猿島周辺の藻場の保護と観光の両立を目指しています。(2022年12月8日)

国立環境研究所

気候変動適応センターwebページ 気候変動適応センターは気候変動影響・適応に関する情報の収集・整理・分析や研究を推進しています。本ページではセンターによる適応推進事業や適応研究等について紹介されています。(随時更新)
Asia-Pacific Climate Change Adaptation Platform(AP-PLAT) AP-PLAT aims to serve as the online go-to place for climate change risk information to support effective climate risk management through adaptation. The Platform is designed to be a place for sharing and collaboration among all relevant stakeholders such as national and local governments,private businesses,and individuals. AP-PLAT partners are working together to fully establish the Platform.
生物季節モニタリングの調査員募集 生物季節現象を、決められた場所で継続的に観測してくださる調査員を募集しています。国立環境研究所気候変動適応センター(以下、CCCA)スタッフと連絡を取り合いながら観測し、成果を全国的に共有するとともに共著の論文としてまとめます。必要経費の負担はご相談に応じます。観測する生物季節現象は、過去に気象庁が観測してきた種目から選んでいただきます。場所は、過去に気象庁が観測してきた場所の近傍が望まれますが、継続観測がしやすい新たな場所でも可能です。(随時更新)
極端高温等が暑熱健康に及ぼす影響と適応策に関する研究 本研究では、今後我が国において極端高温がどの程度深刻化、多発化するか、極端高温が発生した際の熱中症被害はどの程度か、医療・介護供給体制のレジリエンスは十分であるか、熱中症警戒アラートの効果はどの程度か、そしてどのような対策が有効か等の問いに対する科学的回答を創出し、その知見の活用を通じて我が国の熱中症に係るレジリエンス向上に貢献することを目的としています。(随時更新)
生き物の分布推定ツール「オープンSDM」の公開—誰もが生物種分布モデルを学び使うことを支援するツール— 生物種分布モデル(SDM)の解析について学びながら実践できるツール「オープンSDM」が開発されました。初心者から専門家までの幅広いユーザーが想定された仕様で、気候変動適応策の立案などへの貢献も期待されます。(2023年10月4日)
どんぐり生産量の予測モデルの開発に成功~食料にしている野生動物の個体数予測につながる~ 森林炭素循環モデルに対し、どんぐり生産に必要となる炭水化物の蓄積量計算を追加することで、モデル開発に成功しました。数年おきの豊作などのイベントの正確な予測への第一歩であるとともに、食料とするクマ・イノシシ等の動態予測への応用が期待されます。(2024年2月1日)
温暖化による生物の分布拡大が在来種に及ぼす影響を評価-トンボをモデルに温度上昇で在来種の採餌量が減少することを解明- 温度の上昇につれて分布拡大種が在来種に与える影響が大きくなることが明らかになりました。他生物種でも同様の検証を行うことで、温暖化による分布拡大種の脅威やメカニズムの解明につながることが期待されます。(2023年12月6日)
衛星が観測した植生クロロフィル蛍光データによる植生への干ばつ影響の検出—GOSAT(「いぶき」)のデータから土壌乾燥が草本植生に与える影響を観測可能に— GOSATの取得したモンゴル平原における太陽光誘起クロロフィル蛍光(SIF)データ解析により、葉が枯れなくてもSIF値が下がることが明らかになりました。植物が枯れる前に土壌乾燥が植生に与える影響をいち早く検出できる優れた指標として今後活用が期待されます。(2023年10月16日)
昆明・モントリオール生物多様性枠組の達成に向けた全球生物多様性観測システム(GBiOS)の構築 GBiOSは各国・各地域の生物多様性観測ネットワークを束ねるネットワークで、効果的な施策や、生物多様性の損失を逆転させるネイチャーポジティブへの貢献などが期待されています。(2023年9月26日)
山小屋カメラを高山植生モニタリングに活用-深層学習を用いた植生図の自動作成手法を開発- 山小屋等に設置したタイムラプスカメラにて、地理情報化された植生図を自動的に作成する手法を開発しました。広域かつ継続的な高山植生分布のモニタリングが可能となり、気候変動影響の早期発見や保全への応用が期待されます。(2023年9月26日)
価値観の危機:生物多様性・異常気象を招いた価値観の偏り『Nature』誌にIPBES研究成果論文掲載 世界各国86名専門家が参加する本プロジェクトにて、5万点超の文献レビューを経て生物多様性や気候変動をはじめとした自然の危機の構造について考察し、その根源にある「価値観の危機」について警鐘を鳴らしました。(2023年9月19日)
気候変動の総費用—生物多様性や人間健康などの非市場価値と2℃目標— 気候変動に伴う生物多様性の損失や健康被害等の非市場価値を貨幣換算たものを合算し、全世界の気候変動にかかる総費用を新たに推計しました。総費用を抑えるためには気候変動対策以外も含めた持続可能な社会を目指すことが重要です。(2023年8月1日)
気候変動対策が引き起こす新たな問題:貧困増加の可能性 貧困増加の原因として①気候変動対策によるマクロ経済的な損失が所得を減少させる「所得効果」、②炭素税導入等による食料価格上昇が家計に影響を及ぼす「価格効果」(特にアジア、アフリカ)の2点が考えられます。(2023年7月14日)
気候変動下での数十年にわたる長期的な暑熱適応を考慮した熱中症搬送数の予測手法の開発 本手法を用いて熱中症搬送数の47都道府県の将来予測を実施したところ、長期的な暑熱適応(行動変容、対策技術・規制の導入など)によって熱中症搬送率の低減が予測されました。(2023年7月5日)
【環境展望台】熱中症発生状況(~2022年)をWebマップとグラフで可視化! 日本全国の「熱中症発生数」を都道府県別・年度別にまとめたデータです。消防庁による当該年度の速報値に基づき更新されています。(2023年6月7日)
気候予測データを機械学習により詳細化する技術の開発に成功 地球規模の解像度の粗い予測情報から、50倍の解像度をもつ詳細情報を得ることが可能となりました。空間的な広がりを考慮した気候変動の影響評価への活用が期待されます。(2023年4月27日)
2021年度(令和3年度)の温室効果ガス排出・吸収量(確報値)について 我が国の温室効果ガス排出量・吸収量(確報値)を取りまとめました。4年ぶりの吸収量の増加については、森林整備の着実な実施や木材利用の推進等が主な要因と考えられています。(2023年4月21日)
頻発する猛暑が湖底の貧酸素化を引き起こす可能性 霞ヶ浦をモデルとした数値シミュレーションモデルを用いた解析にて、水温上昇等により貧酸素化が加速していたことが明らかになりました。猛暑で浅い湖沼での貧酸素化が起きるリスクが高くなる可能性を示しています。(2023年4月17日)
アジア太平洋気候変動適応情報プラットフォーム(AP-PLAT)の枠組文書の策定について 環境省では、今後、枠組文書で示した活動方針に沿って、AP-PLATの賛同機関・能力強化パートナー機関とともに、気候変動適応の重点課題にかかる様々な取組を推進していきます。(2023年3月23日)
自動撮影によって赤とんぼの定量的調査に成功—福島県の営農再開水田等で実証— 近年、農薬や耕作放棄、温暖化によるその生息数への影響も懸念されています。本成果は里地里山再生の評価の効率化に寄与するともに、生物多様性モニタリング技術発展の礎となることが期待されます。(2023年3月9日)
カーボンニュートラル社会への移行は日本の鉄鋼生産・利用をどのように変えるのか 2050年のCN社会における鉄鋼生産・利用可能量は、技術開発が計画通りに進展した場合でも、再エネ電力・水素・鉄スクラップの供給制約のために、現在の半分程度となる可能性が示唆されました。(2023年1月20日)
ミニチュア大洋「日本海」が発する警告 海洋環境への地球温暖化の影響 国立環境研究所『環境儀』第86号の刊行について 近年、地球温暖化の影響で日本海北西部表層の海水が冬期に十分に冷やされず、その循環が減速していることにともない、深層への酸素の供給も減少していることが、観測データから明らかになりました。(2022年12月27日)
気候変動による経済影響評価の不確実性を低減することに成功 気候変動予測の分野で開発された最新の不確実性低減手法を経済影響評価の分野に世界で初めて応用した研究成果であり、今後、気候変動の予測と影響評価の分野をまたいだ総合的な知見を得るために必要な道筋を示すものです。(2022年12月16日)
パリ協定の目標を達成する際に重要となる温室効果ガス排出源(地域・セクターなど)を特定 放射強制力の地域・セクター・気候強制因子別の寄与度に関する研究の中で、これまでで最も包括的な評価と言ってよいと考えられます。其々の寄与の相対的な重要性を政策立案者が理解する助けになると考えられます。(2022年12月15日)
お米に生物多様性の価値を!ラベル認証で保全を促進認証と保全象徴種の明示で生物多様性保全米の差別化の可能性 本研究は農地の生物多様性の価値を顕在化し、保全を促進するマーケティング手法の構築に有益な知見を提供するものです。(2022年12月14日)
高山植物のお花畑、消失の危機~大雪山国立公園における気候変動影響予測~ 本研究は、国内の草原性の高山植生の気候変動下における面積変化を定量的に予測した初めての研究です。最も排出量を削減するRCP2.6シナリオでも高山植生の適地は大きく減少する予測となりました。(2022年12月13日)
水位操作による富栄養化症状の緩和~湖沼における水質管理手法の新しい選択肢~ 気候変動による水温上昇や栄養塩流入の増大等によって、貧酸素状態やアオコ発生の頻度が今後増加することが報告されていることから、本成果は気候変動に対する適応策の議論にも重要な示唆を与えると考えられます。(2022年11月28日)
「Global Carbon Budget 2022」(世界のCO2収支2022年版)発表のお知らせ 第17版となる「Global Carbon Budget 2022」作成には世界各地の80の研究機関や大学より106名の研究者が参加しており、この中には、日本の研究機関等に所属する9名も含まれています。(2022年11月11日)
高温耐性を持った水稲品種の開発・導入基準を解明—温暖化による水稲品質低下を防ぐ— 2040年代までにコシヒカリに対して1度から2度の高温耐性を持った品種を開発・導入、今後10年ごとにおおよそ0.5度ずつ高い高温耐性を持った品種を開発・導入していく必要があることを初めて明らかにしました。(2022年10月27日)
日本近海で増える極端昇温への地球温暖化の影響が明らかに~「1.5℃目標」達成で過去最高水温の常態化を回避~ 工業化以降の人間活動は地球温暖化をもたらしてきましたが、その熱の9割以上が海洋に蓄積されており、世界中の海で「海洋熱波」のような異常高温が発生しています。(2022年10月7日)
個人のカーボンフットプリントを可視化し脱炭素ライフスタイルの選択肢を提案するプラットフォームを共同開発 自らの生活スタイルとカーボンフットプリント(モノやサービスの消費によって直接・間接的に生じる温室効果ガス排出量)との関係を知り、具体的な脱炭素アクションを選ぶことができます。Webアプリ「じぶんごとプラネット」も同時リリースされます。(2022年8月31日)
中国のカーボンニュートラル実現に向けた運輸部門の脱炭素化への道筋の策定 現実には、交通計画と気候変動の研究の間に距離があるため、カーボンニュートラルを実現するには、交通計画の政策決定者、エネルギー計画の政策立案者、および気候変動の専門家の間で緊密な協力が必要とされます。(2022年8月23日)
サステナクラフト、国立環境研究所、一橋大学が質の高い森林由来のカーボンクレジット創出に向けた共同研究を開始〜NEDOの研究開発型スタートアップ支援事業に採択〜 今回のプロジェクトを契機として、実社会・学術両面における継続的な共同研究体制を築くことを目指しています。(2022年8月10日)
日本の永久凍土分布を気温条件から推定:将来大幅に消失することを予測 永久凍土の融解は、山岳地帯で斜面を不安定化し、また現在の生態系に大きな影響を及ぼすと懸念されています。(2022年8月2日)
セメント・コンクリート部門のカーボンニュートラル達成方法を解明~供給側と需要側の一体的対策が必要~ 供給側の対策のほか、需要側でも素材を過剰に使用する設計の回避や、建設物の長期利用、共有化、都市機能の集約化、解体部品の再利用等の対策が重要であることが示唆されました。(2022年8月2日)
日射量の増加による植物プランクトンの光合成速度への影響を明らかにしました 霞ヶ浦における1992年から2019年までのデータ解析の結果、日射量増加及び水温上昇によって、約13%の光合成速度の増加が見込まれましたが、それ以上に水質がより大きな影響を与えていることが明らかになりました。(2022年7月19日)
近い将来に世界複数の地域で過去最大を超える干ばつが常態化することを予測 脱炭素社会の実現に向けた緩和策推進の重要性とともに、特定の地域では今後数十年程度の間に適応策を効率的かつ迅速に進める必要があることを示しています。(2022年6月28日)
産学連携の共同研究成果を発表、国際学術誌に掲載—多様な虫の鳴き声がリラックス効果をもたらすことを確認— 今回の知見をもとに、公園や緑地造成などのグリーンインフラの整備において、多様な鳴く虫が生息できる自然環境を保全・創出する生物多様性の観点を織り込むことで、人々の暮らしに豊かさをもたらすことが期待されます。(2022年6月17日)
2020年度(令和2年度)の温室効果ガス排出量(確報値)について 我が国の温室効果ガス排出量(確報値)を取りまとめました。新型コロナウイルス感染拡大に起因する製造業の生産量、旅客及び貨物輸送量の減少等に伴うエネルギー消費量の減少等が前年度からの減少要因として挙げられます。(2020年4月15日)
日本域力学的ダウンスケーリングのバイアス補正気候シナリオ SOUSEIプログラムで計算された力学的ダウンスケーリングNHRCM02の結果をバイアス補正した日本域3次メッシュ(1kmメッシュ)の日別値データを公開しています。(2022年4月15日)
夏季五輪マラソンへの気候変動による暑熱の影響と複数の適応策がもたらす効果を明らかにしました 夏季五輪マラソン選手が気候変動下で曝される暑熱環境、既存提案適応策の効果を定量的に検討し、現状のホスト都市候補のうち最大27%の都市が危険な暑熱環境となること、適応策として10月開催や国内複数都市開催の効果が大きいことが分かりました。(2022年4月7日)
温暖化による稚樹の分布変化を検出~森林タイプによる変化の違いが明らかに~ 国立環境研究所気候変動適応センターの小出大研究員らは、国内の森林樹木において稚樹の分布が全体に寒い場所にずれている現象を明らかにしました。(2021年12月9日)
最新の予測では世界の穀物収量に対する気候変動影響の将来見通しが顕著に悪化~気候変動適応の正念場、従来の想定より早い時期に~ 8ヵ国20の研究機関からなる国際研究チームが行った、将来の気候変動が世界の穀物収量に及ぼす影響について最新の予測が公表されました。(2021年11月1日)
AIと天気情報等の活用による熱中症発症数の高精度予測- 熱中症発症数AI予測モデル開発の成功 人工知能(AI)技術の機械学習を用いて気象データ等から熱中症発症数を高精度に予測するAIモデルを世界で初めて作成し、Nature Communications誌に2021年7月28日付で掲載されました。(2021年7月27日)
気候変動適応情報スマートフォンアプリ「みんなの適応 A-PLAT+」公開のお知らせ 気候変動適応に関する解説記事、A-PLAT新着情報の配信、熱中症対策に役立つ暑さ指数配信の3つのコンテンツで構成され、利用者の気候変動適応実践を支援します。(2021年7月8日)
生物季節モニタリング 植物の開花、紅葉、鳥や虫の初鳴きなど、生物の様々な現象には季節性があります。これらの生物活動のタイミング(生物季節現象)は、農業、自然生態系、観光産業、文化など、さまざまな側面に影響します。国立環境研究所気候変動適応センターでは、市民・研究機関・公園等の管理者・博物館施設と連携した生物季節観測を進めています。なおこの調査は、気象庁・環境省と連携した2021年度からの試行的調査の一環として位置付けられます。(2021年3月30日)
太陽光発電施設による土地改変-8725施設の範囲を地図化、設置場所の特徴を明らかに- これまで太陽光発電施設と自然環境の関係について、広域的な解析は行われていませんでした。日本では、二次林や植林地、草原、農地など、里山の自然に該当する場所で建設が多いことがわかりました。(2021年3月29日)
環境保全にもお金を! クラウドファンディングを成功に導く 約500件の環境保全に関するクラウドファンディングプロジェクトを分析し、資金調達の成功要因を明らかにしました。ビジネス・マーケティングの知見を通じた環境保全・管理の構築に広く貢献することが期待されます。(2021年3月23日)
「生態系を活用した適応策のための気候リスクアセスメントガイドブック」を発刊 自治体レベルで、気候変動への(適応)対策をワークショップ形式で考えていく際のガイドブック(無料配布)と問合せ先が紹介されています。実際に行われた手法や具体例、応用例を交えて解説されています。(2020年6月4日)
(最終更新日:2024年2月28日)

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