開催現地レポート |
 COP29 気候変動適応特集!

COP29閉幕:先進国と途上国の対立、資金目標の新たな一歩

11月11日、アゼルバイジャン共和国の首都バクーで、COP29が開幕しました。A-PLATのCOP29特集では、会議の様子を3回にわたりご報告しています。

夕暮れのCOP会場
夕暮れのCOP会場。この夕暮れが見られる時間に会場を出ることができる日は、実際にはほとんどありません。

11月24日未明の朝5時半ごろ、夜通しの閉会プレナリーをおいて決定を採択し、会期を延長しつつも、無事COP29が閉幕しました。採択された決定のうち、適応を含む中核的な決定はBaku Climate Unity Pactと名付けられました。

「資金COP」と呼ばれるCOP29の最重要議題とされていた、2025年以降の世界全体の新しい資金目標(New Collective Quantifiable Goal)に関する議題も、無事に「バクー資金目標(Baku Finance Goal)」と呼称される決定を得ました。それは、途上国への気候資金支援を2035年までに従来の目標の3倍である3000億ドル(凡そ46兆円)にするという内容です。

その採択の際、EUが野心的かつ現実的な目標への合意だったとして前向きに評価した一方、インドを初めとする幾つかの国やオブザーバー機関等が極めて不十分な決定であるとして痛烈な批判を行うなど、必ずしも円満な合意とは言えないものでした。今後の気候行動の加速において、この先進国・途上国間の意識のギャップをどのように考えるかはひとつの課題となりそうです。今回の記事では、最終盤に至る交渉の様子を主に紹介していきます。適応に関する主な決定の詳細については、後日公開する記事にてご紹介します。

交渉は、技術的な事項を中心に可能な限り決定に含まれるべき内容を詰めていく初週のプロセスと、政治的な事項の解決を主眼に決定の最終化を行っていく2週目に大きくわかれます。この政治的プロセスの一環として、2週目の終盤に差し掛かるころ、上述した世界全体の新しい資金目標(New Collective Quantifiable Goal)を中心としつつ、適応を含め、まだ各国の見解の収斂がみられていない各議題について、各国や交渉グループの閣僚級が一同に会し見解を述べる会合が開かれました。アゼルバイジャンの伝統的な会合の名称から"Qurultay"と名付けられたこの会合では、野心的な決定の採択に向け各国が力強い主張を行いました。適応についても、資金や技術移転、能力強化の支援に関係する指標を設定すべきか否かを中心に、各国がそれぞれの見解を述べました。

Qurultayにおける、日本の浅尾環境大臣によるご発言の様子
Qurultayにおける、日本の浅尾環境大臣によるご発言の様子。テーマごとの発言内容もさることながら、資金、緩和、適応と数多く議題がある中で、どの議題にどの程度の時間を掛けているかも、各国がどの議題をより重要と考えているかを推し量る重要な情報でした。

適応については、パリ協定7条の規定する適応に関する世界目標(Global Goal on Adaptation, GGA)及びそのUAEフレームワークに関する議題を中心に活発な協議が行なわれました。議論の中心は、UAEフレームワークを巡るもので、COP26より始まったGGAの具体化の作業が引き続き前に進められました。

その他に適応に関する事柄としては、条約・パリ協定下の適応の取り組みの取りまとめ機関である適応委員会に関する議題や、適応に関する各国の計画である国別適応計画(National Adaptation Plan)についての議題などがありました。これらの議題も活発な議論が行なわれ、各国やグループが妥協点を模索しました。

COP29交渉の様子
交渉の目まぐるしい展開によって、急いで交渉上の立場の調整を行う必要がでる場合があります。そうした場合は会合を一時中断し、この写真のような立ち話での相談(ハドルと呼ばれます)が行なわれます。

しかし、適応の主流化や民間セクターの役割、ジェンダーなど、制度的な点について主に議論したいとする先進国と、「資金COP」であることから資金支援について野心的な内容を盛り込みたいとする途上国の基本的な立場の違いが大きく、これらの議題については実質的な決定を得ることができませんでした。交渉では、こうした場合には、次回の会議(6月のボンにおける補助機関会合)に審議を延期するということになります。その際も、単に延長を決定するのではなく、交渉途中で作成した決定文の原案がどちらに有利になっているかなどの慎重なアセスメントが行なわれ、不利だと判断した国はそのテキストの影響力を弱める努力をするなど、最後まで気が抜けない交渉が続きました。

交渉の結果として、適応については、まず、GGAの進捗を測定するための指標に関するUAEベレン作業計画について、CMA7における本作業の完了に向け、本作業に関与する専門家に対する追加的な指針等が決定されました。さらに、適応については、ハイレベル対話開催を含む、GGAに向けた行動を促進するためのバクー適応ロードマップの立ち上げも決定しました。これらの決定の詳細について、後日公開する記事にて紹介していきます。

現地派遣の公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)適応と水環境領域 岡野 直幸研究員による報告

※掲載写真は全て公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)適応と水環境領域 松尾 茜研究員撮影

(掲載日:2024年11月28日)