あ
RCP(代表的濃度経路) Representative concentration pathways
土地利用/土地被覆とともに、温室効果ガス、エーロゾル、化学的活性ガスの一式について、排出量と濃度の時系列データを含むシナリオ(Moss et al.,2008)。「代表的」という語は、それぞれのRCPシナリオが、特定の放射強制力の特徴をもたらす多くのシナリオのうちのほんの一つを提供している、ということを意味している。「経路」という語は、長期的な濃度レベルばかりでなく、それをもたらすまでの時間の経過をも興味の対象としていることを強調している。RCPシナリオは、通常、対応する排出シナリオに基づいて統合評価モデルによってつくられた濃度経路の2100年までの部分を指す。
※「RCP2.6シナリオ」、「RCP4.5及び6.0シナリオ」、「RCP8.5シナリオ」もご参照ください。
気候変動に関する政府間パネルの第5次評価報告書第1作業部会報告書政策決定者向け要約(気象庁による確定訳)
RCP2.6 シナリオ RCP2.6 scenario
2100年以前に放射強制力がおよそ3Wm−2 でピークに達し、その後減少する一つの濃度経路(対応するECPシナリオでは、2100年以降に排出量が一定になると仮定している)。
※「RCP(代表的濃度経路)」、「RCP4.5及び6.0シナリオ」、「RCP8.5シナリオ」もご参照ください。
気候変動に関する政府間パネルの第5次評価報告書第1作業部会報告書政策決定者向け要約(気象庁による確定訳)
RCP4.5及びRCP6.0シナリオ RCP4.5、RCP6.0 scenario
2100年以降に射強制力がそれぞれおよそ4.5Wm−2 、6.0Wm−2 で安定化する、二つの中程度のレベルへの安定化濃度経路(対応するECPシナリオでは、2150年以降に濃度が一定になると仮定している)。
※「RCP(代表的濃度経路)」、「RCP2.6シナリオ」、「RCP8.5シナリオ」もご参照ください。
気候変動に関する政府間パネルの第5次評価報告書第1作業部会報告書政策決定者向け要約(気象庁による確定訳)
RCP8.5シナリオ RCP8.5 scenario
放射強制力が2100年までに8.5Wm−2 以上に達する、一つの高いレベルへの濃度経路で、その後もある程度の期間上昇を続ける(対応するECPシナリオでは、2100年以降は排出量が一定となり、2250年以降は濃度が一定となると仮定している)。
※「RCP(代表的濃度経路)」、「RCP2.6シナリオ」、「RCP4.5及び6.0シナリオ」もご参照ください。
気候変動に関する政府間パネルの第5次評価報告書第1作業部会報告書政策決定者向け要約(気象庁による確定訳)
亜高山帯の あるいは 亜高山帯 Sub-alpine
樹木限界より下で低山帯より上の生物地理学的区分で、針葉樹林や樹木の存在によって特徴づけられる。
気候変動に関する政府間パネルの第4次評価報告書に対する第2作業部会の報告(日本語版)
アラゴナイトあるいはあられ石 Aragonite
サンゴ(暖水性と冷水性)、いくつかの大型藻類、翼足類(海洋浮遊性巻貝)、および二枚貝(アサリやカキなど)や頭足類(イカ、タコなど)のような翼足類以外の軟体動物など、石灰化生物が殻あるいは骨格を形成するのに使われる炭酸カルシウム(石灰石)鉱物。アラゴナイトは、多くの海洋生物によって同じように使われるカルサイトに比べて海洋酸性化により敏感である。カルサイトおよび海洋酸性化を参照のこと。
気候変動に関する政府間パネルの第4次評価報告書に対する第2作業部会の報告(日本語版)
アルベド Albedo
太陽放射が地表あるいは物体によって反射される率であり、普通はパーセントで表現される。雪で覆われた地表は高いアルベドを示す;土壌のアルベドは高いものから低いものまで幅広い;植生に覆われた地表と海洋は低いアルベドを示す。地球のアルベドは、主として雲量、雪、氷、葉面積、土地被覆状況の変動で変化する。
気候変動に関する政府間パネルの第4次評価報告書に対する第2作業部会の報告(日本語版)
アルボウイルス Arbovirus
吸血節足動物(例えば、カ、ダニなど)によって伝染するさまざまなウイルスのいずれをも指し、デング熱、黄熱病、および脳炎の原因病原体を含む。
気候変動に関する政府間パネルの第4次評価報告書に対する第2作業部会の報告(日本語版)
アンサンブル Ensemble
気候の将来予測のために、並行して走らせたモデルシミュレーションのグループ。アンサンブルメンバー間における結果のばらつきは、不確実性の推定を与える。同じモデルだが初期条件が違うアンサンブルは、モデル内部の気候変動性に関連した不確実性の特性のみを示す。一方、複数のモデルによるシミュレーションを含むマルチモデルアンサンブルは、モデルの違いの影響をも含んでいる。
気候変動に関する政府間パネルの第4次評価報告書に対する第2作業部会の報告(日本語版)
き
キーストーン種 Keystone species
ほかの多くの生物に影響を及ぼす中心的な役割を果たしているとともに、その消滅が、種の数の減少や生態系機能の大規模な変化をもたらす可能性の高い生物種。
気候変動に関する政府間パネルの第4次評価報告書に対する第2作業部会の報告(日本語版)
気温のオーバーシュート Temperature overshoot
気候変動に関する政府間パネルの特別報告書政策決定者向け要約(2019年8月環境省仮訳)
機会コスト Opportunity costs
別の活動の選択によって先送りされた経済活動のコスト。
気候変動に関する政府間パネルの第4次評価報告書に対する第2作業部会の報告(日本語版)
気候 Climate
気候とは、狭義には「平均的な気象」として通常定義されるが、より厳密には、当該量の数か月から数千年ないし数百万年にわたる平均と変動性の統計的な表現である。これらの量は、気温、降水量、風などの地表面における変動量である。気候とは広義には気候システムの状態のことを指し、それを統計的に表すことを含む。伝統的に用いられている期間の長さは、世界気象機関(WMO)により定義された30年間である。
気候変動に関する政府間パネルの第4次評価報告書に対する第2作業部会の報告(日本語版)
気候影響駆動要因(CIDs)
Climatic impact-drivers (CIDs)
社会や生態系の要素に影響する物理学的な気候システムの状態(例えば、平均、現象、極端現象)である。CIDsとその変化は、システムの許容範囲に応じて、有害にも有益にも中立にも、また相互に作用するシステムの構成要素と地域にわたり、それらが混合した状態にもなりうる。CIDは7種類(暑熱と寒冷、湿潤と乾燥、風、雪氷、沿岸、外洋、その他)に分類されている。
気候変動に関する政府間パネルの第6次評価報告書第1作業部会報告書政策決定者向け要約(気象庁による暫定訳)
気候応答
Climate response
放射強制力に対して気候システムがどのように応答するかを示す一般的な用語。
気候変動に関する政府間パネルの第6次評価報告書第1作業部会報告書政策決定者向け要約(気象庁による暫定訳)
気候感度 Climate sensitivity
工業化以前に比べてCO2 濃度が2倍になったときに起こると考えられる平衡気温の上昇。
気候変動に関する政府間パネルの第4次評価報告書に対する第2作業部会の報告(日本語版)
気候閾値 Climate threshold
温室効果ガスの大気濃度増加のような気候システムの外部強制力が、広域のサンゴの白化や海洋循環システムの崩壊など、普通には変化しないものであって、非常に長い時間スケールでようやく回復可能になると考えられるような、気候あるいは環境の顕著な事象を引き起こす限界点。
気候変動に関する政府間パネルの第4次評価報告書に対する第2作業部会の報告(日本語版)
気候システム Climate system
気候システムは、力学と5つの主な構成要素である大気圏、水圏、雪氷圏、地表面、生物圏の相互作用により定義される。気候システム力学は次のような内部と外部の強制力により駆動される。それらは、火山の噴火、太陽活動の変動、惑星としての地球の放射収支の人間による改変、例えば、温室効果ガスの人為起源の排出および/または土地利用の変化である。
気候変動に関する政府間パネルの第4次評価報告書に対する第2作業部会の報告(日本語版)
気候(変動)シナリオ Climate (change) scenario
もっともらしく見えるがしばしば単純化された将来気候の表現であり、気候の関係式と放射強制力想定の、自己相反しない組合せに基づく。主として、気候変動影響モデルへの入力として説明的に使用するために作成される。「気候変動シナリオ」は、気候シナリオと現在気候との差に相当する。
気候変動に関する政府間パネルの第4次評価報告書に対する第2作業部会の報告(日本語版)
気候に対してレジリエント(強靭)な開発経路 Climate-resilient development pathways
野心的な緩和、適応及び気候に対するレジリエンス(強靭さ)を通じて気候変動の脅威を低減しながら、社会及びシステムの衡平な移行及び変革によって、複数の異なる規模での持続可能な開発及び貧困撲滅のための取組を強化する道筋。
気候変動に関する政府間パネルの特別報告書政策決定者向け要約(2019年8月環境省仮訳)
気候にレジリエントな開発
Climate resilient development
本報告書において、全ての人々による持続可能な開発の享受を支えるために緩和と適応を共に実施するプロセスを表す。
気候変動に関する政府間パネルの第6次評価報告書第2作業部会報告書政策決定者向け要約(環境省による暫定訳)
気候の将来予測あるいは気候予測 Climate projection
温室効果ガスとエアロゾルの排出量または濃度のシナリオ、あるいは放射強制力のシナリオに対する、計算で求めた気候システムの応答であり、多くの場合は気候モデルによるシミュレーションを基にしている。気候の将来予測は、気候予測と次のように区別される。気候の将来予測は、用いる温室効果ガス排出量/その濃度/放射強制力のシナリオに決定的に依存し、それゆえに、将来の社会経済と技術発展の想定における大きな不確実性に依存することになる。
気候変動に関する政府間パネルの第4次評価報告書に対する第2作業部会の報告(日本語版)
気候変動 Climate Change
気候変動とは、その特性の平均かつ/又は変動性の変化によって(例えば、統計的検定を用いて)特定されうる気候の状態の変化のことであり、その変化は長期間、通常は数十年かそれ以上持続する。気候変動は、自然起源の内部過程あるいは太陽活動周期の変調、火山噴火そして大気組成や土地利用における絶え間のない人為起源の変化といった外部強制力に起因している可能性がある。国連気候変動枠組条約(UNFCCC)は、その第1条において、気候変動を「地球大気の組成を変化させる人間活動に直接又は間接に起因する気候の変化であって、比較可能な期間において観測される気候の自然な変動に対して追加的に生ずるものをいう。」と定義している。このように、UNFCCCは大気組成を変化させる人間活動に起因する気候変動と自然要因に起因する気候の変動性を区別している。
気候変動に関する政府間パネルの第5次評価報告書第2作業部会報告書政策決定者向け要約(環境省による確定訳)
気候変動に関する国際連合枠組条約あるいは国連気候変動枠組み条約(UNFCCC) United Nations Framework Convention on Climate Change (UNFCCC)
この条約は1992年5月9日にニューヨークにおいて採択され、リオデジャネイロで行なわれた1992年の地球サミットにおいて、150以上の国々と欧州共同体の署名を得た。その究極の目標は、「大気中の温室効果ガス濃度を、気候システムに対する危険な人為的干渉がもたらされない水準に安定化させる」ことにある。同条約には、すべての締約国に対するコミットメントが定められている。附属文書Iに記載されている締約国は、モントリオール議定書によって規制されない温室効果ガスの排出を、2000年までに1990年の水準に回帰させることを目標としている。同条約は、1994年3月に発効した。京都議定書も参照のこと。
気候変動に関する政府間パネルの第4次評価報告書に対する第2作業部会の報告(日本語版)
気候モデル Climate model
その要素の物理的・化学的・生物的な特性、それらの相互作用とフィードバック過程、およびそのすべてもしくは一部の既知の特性の考慮に基づいて気候システムを数値的に表現したもの。気候システムは、さまざまな複雑性(すなわち、一つの要素であるか、いくつかの要素の組合せであるか)のモデルによって表現することができる。空間の次元数、物理的・化学的・生物的過程が明瞭に表現される度合いや、経験的パラメタリゼーションがどのように組み込まれているかというような点で異なってはいても、モデルには階層構造を認めることができる。大気/海洋/海氷結合大循環モデルは、気候システムを包括的に表現してくれる。さらに複雑なモデルは、進行中の化学や生物学<の過程>を含んでいる。気候モデルは、気候を研究し、シミュレートするための研究ツールとして用いられるが、月・季節・年々の気候予測を行うような現業的な目的にも用いられる。
気候変動に関する政府間パネルの第4次評価報告書に対する第2作業部会の報告(日本語版)
気候予測あるいは気候推測 Climate prediction
気候予測または気候予報は、将来の気候の進展について、例えば、季節、年々、長期の時間スケールに関して、推定することを試みた結果である。気候の将来予測と気候(変動)シナリオを参照のこと。
気候変動に関する政府間パネルの第4次評価報告書に対する第2作業部会の報告(日本語版)
気候リテラシー
Climate literacy
気候変動やそれがもたらす人為的な原因及び影響を認識していることを含む。
気候変動に関する政府間パネルの第6次評価報告書第2作業部会報告書政策決定者向け要約(環境省による暫定訳)
気象の極端現象 Extreme weather event
特定の地点と時期においてまれにしか起こらない極端な気象の現象。「まれ」の定義は様々であるが、通常観測結果から求められる確率密度関数の10パーセンタイル以下あるいは90パーセンタイル以上の少ない頻度である。定義によれば、極端な気象と呼ばれる現象の特徴は、絶対的な感覚では場所によって異なるかもしれない。極端な気象の状況がある期間(例えば季節)にわたって持続した場合、特に平均や合計した結果が極端である場合(例えば、季節にわたる干ばつや大雨)、気候の極端現象と分類する場合がある。
気候変動に関する政府間パネルの第5次評価報告書第1作業部会報告書政策決定者向け要約(気象庁による確定訳)
北大西洋振動(NAO) North Atlantic Oscillation (NAO)
北大西洋振動(NAO)はアイスランド付近とアゾレス海付近の気圧が反対方向に変動することからもたらされる。北大西洋地域の冬の気候変動性において優勢なモードである。
気候変動に関する政府間パネルの第4次評価報告書に対する第2作業部会の報告(日本語版)
既定の気候変化 Climate change commitment
海洋の熱慣性と、生物圏、雪氷圏、地表圏の遅いプロセスが原因となって、たとえ大気組成が今日の値に固定されたとしても、気候は変化し続ける。過去の大気組成変化は、放射の非平衡が継続する限り、また気候システムの全構成要素が新たな状態に調整されるまで、「既定」の気候変化をもたらす。大気組成が一定に保たれた後にさらに起こる気温変化のことを、既定の温暖化という。既定の気候変化は、例えば、水循環、極端現象、海面上昇などにおける将来変化を含む。
気候変動に関する政府間パネルの第4次評価報告書に対する第2作業部会の報告(日本語版)
機能的絶滅 Functional extinction
この用語は、個体数が最低限のサイズを下回るまでに減少したために、維持および回復する能力を失った種を定義する。「絶滅が避けられない」を参照のこと。
気候変動に関する政府間パネルの第4次評価報告書に対する第2作業部会の報告(日本語版)
吸収源 Sink
大気中から温室効果ガス、エアロゾル、あるいは温室効果ガスやエアロゾルの前駆体を除去する、あらゆるプロセス、活動、またはメカニズム。
気候変動に関する政府間パネルの第4次評価報告書に対する第2作業部会の報告(日本語版)
京都議定書 Kyoto Protocol
京都議定書は、日本の京都市において1997年に開催された気候変動に関する国連枠組条約(UNFCCC)第3回締約国会議(COP)で採択された。UNFCCCに既に含まれているものに加えて、議定書は法的拘束力があるコミットメントを含む。議定書附属書Bに包括された国(経済協力開発機構(OECD)加盟国の大部分と、市場経済移行国のいくつか)は、2008から2012年の約束期間に、これらの国々<全体>の人為起源の温室効果ガス(CO2 、CH4、N2O、HFC、PFC、SF6)排出量を、1990年レベルから少なくとも5%削減することに同意した。京都議定書は、2005年2月16日に発効した。
気候変動に関する政府間パネルの第4次評価報告書に対する第2作業部会の報告(日本語版)
極端な気象現象 Extreme weather event
特定の地域における統計的標準値分布の中で稀な現象。「稀」という定義はさまざまであるが、極端な気象現象とは、通常の場合10パーセンタイルまたは90パーセンタイルより稀なことをいうと思われる。定義により「極端な気象」とよばれるものの特性は、ところによって異なるかもしれない。極端な気象現象は、一般的に洪水や干ばつを含む。
気候変動に関する政府間パネルの第4次評価報告書に対する第2作業部会の報告(日本語版)