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気候変動適応用語集

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RCP(代表的濃度経路) Representative concentration pathways

土地利用/土地被覆とともに、温室効果ガス、エーロゾル、化学的活性ガスの一式について、排出量と濃度の時系列データを含むシナリオ(Moss et al.,2008)。「代表的」という語は、それぞれのRCPシナリオが、特定の放射強制力の特徴をもたらす多くのシナリオのうちのほんの一つを提供している、ということを意味している。「経路」という語は、長期的な濃度レベルばかりでなく、それをもたらすまでの時間の経過をも興味の対象としていることを強調している。RCPシナリオは、通常、対応する排出シナリオに基づいて統合評価モデルによってつくられた濃度経路の2100年までの部分を指す。
※「RCP2.6シナリオ」、「RCP4.5及び6.0シナリオ」、「RCP8.5シナリオ」もご参照ください。

RCP2.6 シナリオ RCP2.6 scenario

2100年以前に放射強制力がおよそ3Wm−2でピークに達し、その後減少する一つの濃度経路(対応するECPシナリオでは、2100年以降に排出量が一定になると仮定している)。
※「RCP(代表的濃度経路)」、「RCP4.5及び6.0シナリオ」、「RCP8.5シナリオ」もご参照ください。

RCP4.5及びRCP6.0シナリオ RCP4.5、RCP6.0 scenario

2100年以降に射強制力がそれぞれおよそ4.5Wm−2、6.0Wm−2で安定化する、二つの中程度のレベルへの安定化濃度経路(対応するECPシナリオでは、2150年以降に濃度が一定になると仮定している)。
※「RCP(代表的濃度経路)」、「RCP2.6シナリオ」、「RCP8.5シナリオ」もご参照ください。

RCP8.5シナリオ RCP8.5 scenario

放射強制力が2100年までに8.5Wm−2以上に達する、一つの高いレベルへの濃度経路で、その後もある程度の期間上昇を続ける(対応するECPシナリオでは、2100年以降は排出量が一定となり、2250年以降は濃度が一定となると仮定している)。
※「RCP(代表的濃度経路)」、「RCP2.6シナリオ」、「RCP4.5及び6.0シナリオ」もご参照ください。

アラゴナイトあるいはあられ石 Aragonite

サンゴ(暖水性と冷水性)、いくつかの大型藻類、翼足類(海洋浮遊性巻貝)、および二枚貝(アサリやカキなど)や頭足類(イカ、タコなど)のような翼足類以外の軟体動物など、石灰化生物が殻あるいは骨格を形成するのに使われる炭酸カルシウム(石灰石)鉱物。アラゴナイトは、多くの海洋生物によって同じように使われるカルサイトに比べて海洋酸性化により敏感である。カルサイトおよび海洋酸性化を参照のこと。

アルベド Albedo

太陽放射が地表あるいは物体によって反射される率であり、普通はパーセントで表現される。雪で覆われた地表は高いアルベドを示す;土壌のアルベドは高いものから低いものまで幅広い;植生に覆われた地表と海洋は低いアルベドを示す。地球のアルベドは、主として雲量、雪、氷、葉面積、土地被覆状況の変動で変化する。

アンサンブル Ensemble

気候の将来予測のために、並行して走らせたモデルシミュレーションのグループ。アンサンブルメンバー間における結果のばらつきは、不確実性の推定を与える。同じモデルだが初期条件が違うアンサンブルは、モデル内部の気候変動性に関連した不確実性の特性のみを示す。一方、複数のモデルによるシミュレーションを含むマルチモデルアンサンブルは、モデルの違いの影響をも含んでいる。

移動者が影響を及ぼす生態システム Population system

いくつかの生態学的群集やバイオーム全体でさえも、たいていの場合に横断してしまうような、特定の移動性の種の動態によって決まる生態システム(生態系ではない)。季節によっては森林に住むが、草地にも住むし、渡りの経路上の湿地にもやって来る渡り鳥は一つの例である。

エアロゾル Aerosols

大気中に固体あるいは液体の微粒子として存在するものの総称で、典型的には0.01から10ミクロン(μm)の粒径で、大気中に少なくとも数時間は滞留するものをいう。エアロゾルには自然起源と人為起源がある。エアロゾルは次の二つの効果で気候に影響を及ぼす:放射光を散乱および吸収して、直接的に影響する。雲の凝縮核として働き、雲の光学特性や寿命を変化させて、間接的に影響する。

エルニーニョ南方振動(ENSO) El Niño-Southern Oscillation (ENSO)

エルニーニョの元来の意味は、エクアドルとペルー沿岸で定期的に起こり、現地の漁業に被害をもたらす暖水流のことである。この海洋現象は、南方振動とよばれるインド洋と太平洋の赤道域で起こる海面気圧分布パターンと海水循環の揺動に伴って発生する。この大気-海洋の連動現象は合わせてエルニーニョ南方振動として知られている。エルニーニョ現象時には、普段は卓越する貿易風が弱まり、反赤道海流が強まり、インドネシア海域の表面暖水塊が東に進出して、冷たいペルー海流を覆う。この現象は、熱帯太平洋地域の風、海面水温、降水パターンに大きな影響を及ぼす。これは、太平洋地域全体のみならず、世界各地の気候にも影響を及ぼす。エルニーニョと反対の現象は、ラニーニャとよばれる。

塩水浸入あるいは海水(の)浸入 Salt-water intrusion / encroachment

密度が大きいことによって塩水が浸入し、淡水の地表水あるいは地下水が置き換えられてしまうこと。これは、地上由来の影響力の減退(例えば、流出量とそれに関わる地下水涵養の減少か、帯水層からの過剰な取水かのどちらかによる)、もしくは海洋由来の影響力の増大(例えば、相対的な海面上昇による)が原因で、通常は沿岸地域や河口地域で起こる。

オゾン Ozone

気体大気成分である、酸素の三原子分子体(O3)。対流圏では、自然にも生成されるし、人間活動を原因とするガスが関与する光化学反応によっても生成される(光化学スモッグ)。高濃度では、対流圏オゾンは多くの生物体に対して有害である。対流圏オゾンは、温室効果ガスとして作用する。成層圏においては、オゾンは太陽光の紫外線放射と分子状酸素(O2)の相互作用で生成される。成層圏オゾンの減少は、気候変動で増強されうる化学反応が原因であって、地表で紫外線(UV)B波放射束の増加を引き起こす。

温室効果 Greenhouse effect

大気による赤外放射の吸収が地球を温めるプロセス。一般的な用法において、「温室効果」という用語は、自然に存在している温室効果ガスがもたらす自然の温室効果、あるいは、人間の活動が原因で放出されたガスによる強められた(人為起源の)温室効果のどちらにも使われるようである。

温室効果ガス Greenhouse gas

温室効果ガスは大気を構成する気体成分で、自然起源と人為起源があってその両方とも、地球表面、大気層、雲が放射する赤外放射スペクトルの特定波長領域の光を吸収し再放射する。この性質が温室効果をもたらす。水蒸気(H2O)、二酸化炭素(CO2)、一酸化二窒素(N2O)、メタン(CH4)、オゾン(O3)が地球大気における主要な温室効果ガスである。CO2、N2O、CH4とともに、京都議定書では六フッ化硫黄(SF6)、ハイドロフロロカーボン類(HFCs)、パーフロロカーボン類(PFCs)を温室効果ガスとして扱っている。

海面上昇 Sea-level rise

海洋の平均水位の上昇。海水の熱膨張による海面上昇は、世界の海洋の体積増加によって引き起こされる全球平均海面水位の変化である。相対的海面上昇は、地方的に海水面が陸に対して上昇しているところで起こり、これは海洋の上昇および/または陸面の沈降に起因するであろう。急速な陸面隆起の影響を受ける地域では、相対的な海面水位は下がりうる。

カルサイトあるいは方解石 Calcite

有孔虫、いくつかの大型藻類、ロブスター(あるいはイセエビ)、カニ、ウニ、ヒトデなど、石灰化生物が殻あるいは骨格を形成するのに使われる炭酸カルシウム(石灰石)鉱物。カルサイトは、多くの海洋生物によって同じように使われるアラゴナイトに比べて海洋酸性化に敏感ではない。アラゴナイトおよび海洋酸性化を参照のこと。

感染症あるいは感染性疾患 Infectious disease

一人の人から他の人へ、あるいは動物から人へ伝染する能力のある微生物病原体によって引き起こされるすべての疾患。直接の身体的接触によって、感染性生物の付着した物の取り扱いによって、保菌者や汚染された水をとおして、あるいは、咳き込みや吐息による感染性飛沫の拡散によって起こりうる。

感度 Sensitivity

感度は、システムが気候変動性や変化によって、不利益または有益いずれかの方向に影響を受ける程度である。影響には、直接的なもの(例えば、気温の平均、範囲あるいは変動性の変化に応答する作物収量の変化)、あるいは間接的なもの(例えば、海面上昇により沿岸域の洪水頻度が増加することで引き起こされる被害)がありうる。

気候 Climate

気候とは、狭義には「平均的な気象」として通常定義されるが、より厳密には、当該量の数か月から数千年ないし数百万年にわたる平均と変動性の統計的な表現である。これらの量は、気温、降水量、風などの地表面における変動量である。気候とは広義には気候システムの状態のことを指し、それを統計的に表すことを含む。伝統的に用いられている期間の長さは、世界気象機関(WMO)により定義された30年間である。

気候閾値 Climate threshold

温室効果ガスの大気濃度増加のような気候システムの外部強制力が、広域のサンゴの白化や海洋循環システムの崩壊など、普通には変化しないものであって、非常に長い時間スケールでようやく回復可能になると考えられるような、気候あるいは環境の顕著な事象を引き起こす限界点。

気候システム Climate system

気候システムは、力学と5つの主な構成要素である大気圏、水圏、雪氷圏、地表面、生物圏の相互作用により定義される。気候システム力学は次のような内部と外部の強制力により駆動される。それらは、火山の噴火、太陽活動の変動、惑星としての地球の放射収支の人間による改変、例えば、温室効果ガスの人為起源の排出および/または土地利用の変化である。

気候(変動)シナリオ Climate (change) scenario

もっともらしく見えるがしばしば単純化された将来気候の表現であり、気候の関係式と放射強制力想定の、自己相反しない組合せに基づく。主として、気候変動影響モデルへの入力として説明的に使用するために作成される。「気候変動シナリオ」は、気候シナリオと現在気候との差に相当する。

気候に対してレジリエント(強靭)な開発経路 Climate-resilient development pathways

野心的な緩和、適応及び気候に対するレジリエンス(強靭さ)を通じて気候変動の脅威を低減しながら、社会及びシステムの衡平な移行及び変革によって、複数の異なる規模での持続可能な開発及び貧困撲滅のための取組を強化する道筋。

気候の将来予測あるいは気候予測 Climate projection

温室効果ガスとエアロゾルの排出量または濃度のシナリオ、あるいは放射強制力のシナリオに対する、計算で求めた気候システムの応答であり、多くの場合は気候モデルによるシミュレーションを基にしている。気候の将来予測は、気候予測と次のように区別される。気候の将来予測は、用いる温室効果ガス排出量/その濃度/放射強制力のシナリオに決定的に依存し、それゆえに、将来の社会経済と技術発展の想定における大きな不確実性に依存することになる。

気候変動 Climate Change

気候変動とは、その特性の平均かつ/又は変動性の変化によって(例えば、統計的検定を用いて)特定されうる気候の状態の変化のことであり、その変化は長期間、通常は数十年かそれ以上持続する。気候変動は、自然起源の内部過程あるいは太陽活動周期の変調、火山噴火そして大気組成や土地利用における絶え間のない人為起源の変化といった外部強制力に起因している可能性がある。国連気候変動枠組条約(UNFCCC)は、その第1条において、気候変動を「地球大気の組成を変化させる人間活動に直接又は間接に起因する気候の変化であって、比較可能な期間において観測される気候の自然な変動に対して追加的に生ずるものをいう。」と定義している。このように、UNFCCCは大気組成を変化させる人間活動に起因する気候変動と自然要因に起因する気候の変動性を区別している。

気候変動に関する国際連合枠組条約あるいは国連気候変動枠組み条約(UNFCCC) United Nations Framework Convention on Climate Change (UNFCCC)

この条約は1992年5月9日にニューヨークにおいて採択され、リオデジャネイロで行なわれた1992年の地球サミットにおいて、150以上の国々と欧州共同体の署名を得た。その究極の目標は、「大気中の温室効果ガス濃度を、気候システムに対する危険な人為的干渉がもたらされない水準に安定化させる」ことにある。同条約には、すべての締約国に対するコミットメントが定められている。附属文書Iに記載されている締約国は、モントリオール議定書によって規制されない温室効果ガスの排出を、2000年までに1990年の水準に回帰させることを目標としている。同条約は、1994年3月に発効した。京都議定書も参照のこと。

気候モデル Climate model

その要素の物理的・化学的・生物的な特性、それらの相互作用とフィードバック過程、およびそのすべてもしくは一部の既知の特性の考慮に基づいて気候システムを数値的に表現したもの。気候システムは、さまざまな複雑性(すなわち、一つの要素であるか、いくつかの要素の組合せであるか)のモデルによって表現することができる。空間の次元数、物理的・化学的・生物的過程が明瞭に表現される度合いや、経験的パラメタリゼーションがどのように組み込まれているかというような点で異なってはいても、モデルには階層構造を認めることができる。大気/海洋/海氷結合大循環モデルは、気候システムを包括的に表現してくれる。さらに複雑なモデルは、進行中の化学や生物学<の過程>を含んでいる。気候モデルは、気候を研究し、シミュレートするための研究ツールとして用いられるが、月・季節・年々の気候予測を行うような現業的な目的にも用いられる。

気象の極端現象 Extreme weather event

特定の地点と時期においてまれにしか起こらない極端な気象の現象。「まれ」の定義は様々であるが、通常観測結果から求められる確率密度関数の10パーセンタイル以下あるいは90パーセンタイル以上の少ない頻度である。定義によれば、極端な気象と呼ばれる現象の特徴は、絶対的な感覚では場所によって異なるかもしれない。極端な気象の状況がある期間(例えば季節)にわたって持続した場合、特に平均や合計した結果が極端である場合(例えば、季節にわたる干ばつや大雨)、気候の極端現象と分類する場合がある。

既定の気候変化 Climate change commitment

海洋の熱慣性と、生物圏、雪氷圏、地表圏の遅いプロセスが原因となって、たとえ大気組成が今日の値に固定されたとしても、気候は変化し続ける。過去の大気組成変化は、放射の非平衡が継続する限り、また気候システムの全構成要素が新たな状態に調整されるまで、「既定」の気候変化をもたらす。大気組成が一定に保たれた後にさらに起こる気温変化のことを、既定の温暖化という。既定の気候変化は、例えば、水循環、極端現象、海面上昇などにおける将来変化を含む。

京都議定書 Kyoto Protocol

京都議定書は、日本の京都市において1997年に開催された気候変動に関する国連枠組条約(UNFCCC)第3回締約国会議(COP)で採択された。UNFCCCに既に含まれているものに加えて、議定書は法的拘束力があるコミットメントを含む。議定書附属書Bに包括された国(経済協力開発機構(OECD)加盟国の大部分と、市場経済移行国のいくつか)は、2008から2012年の約束期間に、これらの国々<全体>の人為起源の温室効果ガス(CO2、CH4、N2O、HFC、PFC、SF6)排出量を、1990年レベルから少なくとも5%削減することに同意した。京都議定書は、2005年2月16日に発効した。

極端な気象現象 Extreme weather event

特定の地域における統計的標準値分布の中で稀な現象。「稀」という定義はさまざまであるが、極端な気象現象とは、通常の場合10パーセンタイルまたは90パーセンタイルより稀なことをいうと思われる。定義により「極端な気象」とよばれるものの特性は、ところによって異なるかもしれない。極端な気象現象は、一般的に洪水や干ばつを含む。

検知と原因特定 Detection and attribution

(自然あるいは人間)システムの変化を検知するということは、変化の理由を示すことはなくとも、システムが変化したということを、定義された統計学的な意味において証明する過程である。システムで観測されたそのような変化を人為的気候変動に原因特定することは、通常二段階のプロセスを経る。一段階目として、システムにおいて観測される変化が、観測される地域的な気候変動にある度合いの確信度で関連づけられることが証明されなくてはならない。二段階目として、観測される地域的な気候変動のなんらかの測定可能な部分が、あるいはシステムにおいて観測される関連した変化が、同じような度合いの確信度をもって人為的気候強制力が原因であると特定される必要がある。このような合同原因特定の記述における確信度は、二つの独立した統計学的評価の組合せであるので、個々の原因特定段階のどちらの確信度よりも必ず低くなる。

合同原因特定 Joint attribution

観測された変化を地域の気候変動が原因であると特定するとともに、地域の気候変動あるいは関連してシステムで観測された変化のどちらかについてその測定可能な部分を、自然の変動性を超えた人為的原因によるものと特定することを意味する。このプロセスは、気候モデルによる気候変動のシミュレーションを、自然システムまたは人為システムで観測された応答に統計学的に関連づけすることを意味する。二つの別々な統計学的評価を組み合わせているために、合同原因特定記述の確信度は、どちらの個別の原因特定段階のみにおける確信度よりも必ず低くなる。

再植林あるいは森林再生 Reforestation

以前に森林を含んでいたがほかの用途に転用された土地に森林を植えること。森林という用語や、植林、再植林、および森林破壊のような関連する用語の議論については、「土地利用、土地利用変化、および林業に関するIPCC特別報告書(IPCC,2000)」を参照のこと。

砂漠化 Desertification

気候変動や人間活動などを含むさまざま要因による乾燥地域、半乾燥地域、乾燥半湿潤地域における土地の劣化。加えていえば、国連砂漠化対処条約では、土地の劣化を、乾燥地域、半乾燥地域、乾燥半湿潤地域において、土地利用、または人間活動および居住パターンに起因するものを含む、次に示すような過程もしくはその組合せによって、天水農地、灌漑農地、放牧地、牧草地、森林および林地の生物的または経済的な生産性および複雑性が減少しまたは失われることと定義している:(i)風および/または水による土壌の侵食;(ii)土壌の物理的、化学的、生物的または経済的特質の劣化;(iii)自然植生の長期的な損失。

産業革命 Industrial revolution

広範囲の社会経済的な影響を伴って急速に工業が成長した時期。18世紀後半に英国で始まり、まず欧州にその後米国を含むその他の国々へと拡大した。産業革命は、化石燃料燃焼とそれによる二酸化炭素排出の大幅な増加が始まった時期である。AR4では、「産業化以前」という用語は、多少の任意性はあるが、1750年以前の時代を指す。

GMST Global mean surface temperature

陸域及び海氷の表面付近の気温と、海氷のない海域の海面水温による世界全体の推定平均値。通常は、特定の基準期間の値からの偏差で表現された変化で推定される。GMSTの変化を推定する場合には、陸域及び海域の両方で表面付近の気温が用いられることもある。

閾値 Threshold

あるシステムのプロセスにおいて、それを越えると突然にあるいは急激に変化が生じる水準。生態学的、経済学的、あるいはその他のシステムにおいて、新しい特性が出現して、それまでの低い水準では適用できた数学的関係に基づく推測が意味をなさなくなる点または水準。

シナリオ Scenario

駆動力と<それらの>主要な関係についての首尾一貫して内的に矛盾しない一連の想定に基づいた、将来がどのように展開していくであろうかについてのもっともらしいがたいていは簡略化した記述。シナリオは、将来予測から導き出されてもよいのだが、ほかの情報源からの補足情報に基づくことが多く、ときには「物語風の筋書き」と組み合わされる。気候(変動)シナリオ、排出シナリオ、SRESも参照のこと。

集計的な総影響 Aggregate impacts

分野と地域を、あるいは、分野または地域をとおして積算した影響の総計。影響の総計を求めるにはさまざまな分野と地域に対する影響の相対的重要度に関する知識(あるいは想定)が必要である。集計的な総影響の評価は、例えば、影響を受ける人の総数や経済コストの合計を含む。

春化 Vernalisation

冬作穀物のような特定の作物において、開花や種子の結実のために、出芽前や初期の成長段階にかなり低温の時期を必要とする生物学的要求条件。また、その延長として、成長期間の短縮を誘発できるよう種子、球根、苗を低温で処理することにより、植物の開花や結実を早める行為またはプロセスのこと。

食料安全保障 Food security

正常な成長や発育および活動的で健康な生活のために必要とされる十分な量の安全で栄養のある食料へ、人々のアクセスが確保されている状況。食料不安は、食料の入手が不可能であること、十分な購買力を持たないこと、分配が不適切であること、あるいは世帯レベルでの不適当な食料利用によって引き起こされるであろう。

(新規)植林 Afforestation

少なくとも50年間は森林でなかった土地を、植林、播種および/または人為的に自然の種苗源を促進させることにより、直接的な人為的行為で森林に転用させること。再植林と森林破壊も参照のこと。森林および植林、再植林、森林破壊など関連する語の議論については、「土地利用、土地利用変化と林業に関するIPCC特別報告書(IPCC,2000)」を参照のこと。

SRES(シナリオ) SRES

排出シナリオに関する特別報告書(SRES)(Nakićenović et al.,2000)にある筋書きとそれに伴う人口、国内総生産(GDP)および排出シナリオ、加えて、結果として生じる気候変動シナリオと海面上昇シナリオのこと。4つの社会経済シナリオ(A1、A2、B1、B2)群は、二つの別個の次元を用いて、世界の異なる将来を表す:経済的関心事項重視と環境的関心事項重視の対比、世界的な開発パターンと地域的な開発パターンの対比。

生態系 Ecosystem

ある特定の領域内において、生存しているすべての生物体と非生物的(物理的および化学的)な環境とで構成される相互作用的システム。生態系は、空間スケールの階層構造をカバーし、地球全体、大陸スケールあるいは小さな池のように小さくて境界のはっきりしたシステムのバイオームを包含しうる。

生態系アプローチ Ecosystem approach

生態系アプローチは、陸地、水域、生物資源の統合的管理戦略であり、衡平な方法での保全と持続的利用を促進する。生態系アプローチは、必須な構造、プロセス、機能、および生物間とその環境の相互作用を含む生物学的組織の階層に注目した適切な科学的手法の適用に基づく。このことは、文化的多様性を持つ人間が、多くの生態系において不可欠な構成要素の一つであることを認識している。生態系アプローチは、生態系の複雑で動的な性質とその機能についての完全な知見あるいは理解が足りないことに対処するために、適応的な管理を必要とする。優先的な目標は、生態系サービスの維持を目的とする、生物多様性と生態系の構造と機能の保全である。

生態系サービス Ecosystem services

個人または社会全体にとって金銭的もしくは非金銭的価値を持つ生態学的プロセスまたは機能。それには、(i)生産性または生物多様性維持のような基盤サービス、(ii)食料、繊維、魚のような供給サービス、(iii)気候調節または炭素固定のような調節サービス、(iv)観光や精神的、美的認識のような文化的サービスがある。

生態生理学的プロセス Ecophysiological process

気候変動のような環境変動に対して、一般的には顕微鏡的スケールか器官より小さいスケールで継続的に作用する生態生理学的プロセスを通じて、個々の生物体は反応する。生態生理学的メカニズムは、個々の生物体の環境ストレスへの耐性の基礎となり、環境条件に対する個体の絶対的耐性の限界を決める多様な反応を包含する。生態生理学的反応は、種の地理的分布範囲を支配するまでに拡大するかもしれない。

先住民(族) Indigenous peoples

国際的に認められた先住民(族)の定義はない。先住民(族)を識別するために、国際法のもとで、あるいは国連機関によってしばしば適用される一般的な特徴には、次のようなことが挙げられる:地理的に明瞭な伝統的な居住環境や祖先から受け継いだ領土内での生活、およびそれらの天然資源と結び付いた生活;文化的、社会的アイデンティティの維持や、主流になっているあるいは支配的な社会や文化から離れた社会的、経済的、文化的、政治的制度;多くの場合、近代国家や領土が形成される前および現在の国境が定義される前から、その場所に存在する住民集団の子孫;および、先住民(族)独特の文化的集団に属しているという自己の帰属意識と、その文化的アイデンティティを保存したいという願望。

大規模特異事象 Large-scale singularities

駆動力の漸進的変化に応答してあるシステムの状態に起こる、唐突で劇的な変化。例えば、大気中の温室効果ガス濃度の漸進的な増加は、熱塩循環の減速や停止、あるいは西南極の氷床崩壊といった大規模特異事象をもたらすかもしれない。大規模特異事象の発生と規模およびその時期は予測困難である。

地球温暖化 Global warming

30年の期間または特定の年もしくは10年を中心とした30年を平均して推定されたGMST(Global Mean Surface Temperature)の上昇で、別に定めのない限り工業化以前の水準と比較する。過去及び将来にわたる30年の期間については、現在の数十年間の昇温傾向が継続すると想定される。

適応 Adaptation

現実の又は予想される気候及びその影響に対する調整の過程。人間システムにおいて、適応は危害を和らげ又は回避し、もしくは有益な機会を活かそうとする。一部の自然システムにおいては、人間の介入は予想される気候やその影響に対する調整を促進する可能性がある。

統合水資源管理(IWRM) Integrated water resources management(IWRM)

あいまいさのない定義ではないが、水管理の一般的概念である。統合水資源管理は、1992年にダブリンで開催された水と環境に関する国際会議において策定された四つの原則に基づく:(1)淡水は有限で脆弱な資源であるが、生命、開発、および環境の持続に不可欠である;(2)水の開発と管理は、すべてのレベルの利用者、立案者、政策決定者を含む参加型の手法に基づくべきである;(3)女性は水の供給、管理、保護における中心的な役割を果たす;(4)水にはすべての競合的用途において経済価値があり、経済財として認識すべきである。

二酸化炭素(CO2 Carbon dioxide(CO2

光合成により生物体に固定される自然界に存在するガス。化石燃料燃焼やバイオマス燃焼の副産物であり、土地利用変化やその他の工業プロセスからも発生する。地球の放射バランスに影響を及ぼす主たる人為起源の温室効果ガスである。その他の温室効果ガスを評価する場合の基準ガスであるので、温暖化係数は1である。

熱塩循環(THC) Thermohaline circulation (THC)

水温と塩分の違いに起因する密度差によって駆動される海洋の大循環。北大西洋では、熱塩循環は、北に向かって流れる温かい表層水と南に向かって流れる冷たい深層水からなり、その結果、極方向への正味の熱の輸送が生じる。表層水は、高緯度の極めて限定された地域で沈降する。子午面循環(MOC)ともいう。

排出経路 Emission pathways

排出経路は21世紀にわたる気温の道筋によって分類される。現在の知見に基づき、少なくとも50%の確率で地球温暖化を1.5℃より低く抑えることができる経路は「オーバーシュートなし」と分類され、昇温を1.6℃より低く抑えて2100年までに1.5℃に戻る経路は「限られたオーバーシュートの1.5℃」と分類され、1.6℃を超えるものの2100年までに1.5℃に戻る経路は「高いオーバーシュート」と分類される。

排出シナリオ Emissions scenario

放射活性を持ちうる物質(例えば、温室効果ガスやエアロゾルの排出の将来推移をもっともらしく表現したもので、駆動力(人口統計学、社会経済開発、技術の変化など)とそれらの主要な関係についての首尾一貫して自己相反しない一連の想定に基づく。1992年に、IPCCは一群の排出シナリオを示し、第2次評価報告書の気候の将来予測の根拠として用いられた。これらの排出シナリオがIS92シナリオである。新しい排出シナリオ群-いわゆるSRESシナリオ-は、排出シナリオに関するIPCC特別報告書(Nakićenović et al.,2000)として出版された。

ハザード(災害外力) Hazard

人命の損失、負傷、その他の健康影響に加え、財産、インフラ(社会基盤施設)、生計、サービス提供、生態系及び環境資源の損害や損失をもたらしうる、自然又は人間によって引き起こされる物理的事象又は傾向が発生する可能性、あるいは物理的影響。

ハンタウイルス Hantavirus

Bunyaviridae(ブニヤウイルス科)のウイルスで、出血熱の一種を引き起こす。主に感染したげっ歯動物から人に病気が伝染するものと考えられている。伝染は、これらの動物との直接の接触、あるいは、乾いた尿やその他の分泌物からエアロゾル化したウイルス粒子を含むダストを吸入または摂取することによって起こる。

氷湖(ポリニヤ) Polynya

普段は海氷で覆われている海洋で、暖かな海水の局所的な流れの結果生じた<半>永久的に凍らないで水面が開いている区域のこと。クジラやアザラシなどの海洋性ほ乳類や魚を捕食する鳥類にとっては呼吸する穴あるいは避難場所として機能しているため、生物学的ホットスポットである。

氷床 Ice sheet

下にある基盤地形の大部分を覆うくらい十分な深さがある陸上の氷塊。氷床は、なだらかで小さな表面勾配をもって、中央部の高い台地から外に向けて流れる。緣辺は勾配がきつく、氷は速い氷流としてあるいは出口氷河を通って、ある場合には海へ、あるいは海に浮かぶ棚氷へと流出する。現代では大きな氷床は世界に二つしかなく、それらはグリーンランドと南極にあって、南極の氷床は南極横断山脈によって東と西に分断されている;氷河期にはほかにも<大きな氷床が>あった。

不確実性 Uncertainty

ある値(例えば、気候システムの将来の状態)が未知である度合いの表現。不確実性は、情報の不足や、何が分かっているのか、あるいは何が分かりうるかについての不一致によってもたらされうる。そこには、データにおける定量化できる誤差から、あいまいに定義された概念や用語法、あるいは人間行動の不確実な将来予測まで、さまざまな発生源がある。そのために、不確実性は、定量的な尺度(例えば、さまざまなモデルによって計算された値の幅)、あるいは定性的な記述(例えば、専門家集団による判断の反映)で表現されうる。確信度、起こる可能性も参照のこと。

ベースライン/比較対照 Baseline/reference

ベースライン(あるいは比較対照)は、それに対して変化が計測される状態である。観測することができる現時点の状態を表す「現在ベースライン」もあれば、関心の対象となる駆動要因を排除した予測された将来における一連の状態である「将来ベースライン」もあるだろう。比較対照状態の異なる解釈が複数のベースラインを生じさせうる。

北方林あるいは亜寒帯林 Boreal forest

カナダの東海岸から西へアラスカまで、引き続いてシベリアから西へロシア全域を横断しヨーロッパ平原に広がるマツ、トウヒ、モミ、カラマツの森林。気候は大陸性であり、長く非常に寒い冬(平均気温が氷点下の月が最長6か月)と短く涼しい夏(50日から100日の無霜期間)を伴う。夏季に降水が増加するが、年降水量はそれでも少ない。蒸発量が少ないことがこの地域を湿潤な気候にする。タイガを参照のこと。

水ストレス Water stress

もし取水量に対する可能淡水供給量が開発における重要な制約として働いているならば、その国は水ストレスを受けている。再生可能水供給量の20%を越える取水量が水ストレスの指標として使われてきた。もし可能蒸発散要求量に比べて有効土壌水分量すなわち実蒸発散量が少ない場合、その作物は水ストレスを受けている。

ミレニアム開発目標(MDGs) Millennium Development Goals (MDGs)

2000年に国連総会によって、すなわち191か国によって採択された、極度の貧困と飢餓の撲滅、妊産婦の健康の改善、および環境の持続可能性の確保を含む10の目標のリスト。MDGsは、国際社会に対して開発の拡大されたビジョンを公約し、また開発の進展を測る枠組として広く受け入れられてきている。

リザーバー、貯蔵庫あるいは貯水池 Reservoir

問題の物質(例えば、炭素または温室効果ガス)を貯留、蓄積、あるいは放出する能力を持つ大気以外の気候システムの構成要素。海洋、土壌、森林は炭素リザーバーの例である。この用語は、灌漑や水供給などの目的のために取水しうる湖、ため池または帯水層のような、人工的または自然の貯水場所のことも意味する。

リスク Risk

気候に関連するハザードが人間及び自然システムに対して悪い結果をもたらす潜在的可能性であり、そのハザードと、影響を受けるシステムの脆弱性、及び曝露との間の相互作用の結果として生じる。リスクは、適応または緩和の対応によって悪い結果がもたらされる、潜在的可能性をも意味しうる。

罹病率または罹患率 Morbidity

年齢に特異的な罹患率を考慮に入れた、ある人口群における疾患もしくはその他の健康障害の発生率。罹病率の指標には、慢性疾患の発病率/有病率、入院・初期治療のための診察・就労不能日(すなわち、仕事を休んだ日)の割合、および症状の有症率などがある。

Reidのパラドックス Reid’s paradox

これは、古気候の記録(特に最終氷期以降)に示唆されているような植物移動速度は高いという推論と、例えば風洞実験など、関連する植物についての種子飛散研究から推測される<植物の>潜在的移動速度が低いという推論との間の見かけの矛盾を指す。

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