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IPCC 第2作業部会 第6次評価報告書 特集ページ

「気候変動に関する政府間パネル(IPCC: Intergovernmental Panel on Climate Change)」の第6次評価報告書第2作業部会総会が2月14日から2月27日にオンライン開催され、その報告書と政策決定者向け要約(SPM)が2月28日に公表されました。このページでは、報告書の見どころを4つのポイントで紹介していきます。

IPCC WGII AR6 見どころ

AR6はAR5よりも気候、生態系・生物多様性、人間社会の相互依存性に注目し、自然科学のみならず人文・社会科学の知見まで幅広く引用されています。127の主要な気候変動リスクを特定しました。適応の推進には、科学的知識だけでなく、多様な形態の知識に価値があるとしています。AR6では、変革的な適応に焦点を当てており、緩和と適応をともに実施するプロセスの重要性を強調しています。

  • 気候変動の悪影響は既に広範囲に渡る。
  • 短期的には、生態系及び人間に対して複数のリスクをもたらし、地球温暖化を1.5℃付近に抑えたとしても、気候変動に関連する損失と損害を大幅に低減させるが、それら全てを無くすることはできない。
  • 気候変動リスクを低減させる実現可能な適応の選択肢は存在するが限界もあり、すでに失敗している例もある。政策、制度、知識、財政など、包括的な取り組みが必要である。
  • 気候にレジリエントな開発が求められているが、次の10年間における社会の選択及び実施される行動が鍵となるが、温室効果ガス排出量の急速な削減がなければその実現可能性は限定的となる。

ここではIPCC WGII AR6の政策決定者向け要約(SPM:Summary for Policy Maker)をもとに、以下4つの見どころを紹介します。

出典:環境省 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書第2作業部会報告書の公表について

Point1:観測された影響

【IPCC WGII AR6(第六次評価報告書)で明らかになったこと】

  • 人為起源の気候変動は、極端現象の頻度と強度の増加を伴い、自然と人間に対して、広範囲にわたる悪影響と、それに関連した損失と損害を、自然の気候変動の範囲を超えて引き起こしている。開発と適応の努力の中には、脆弱性を低減させるものもある。複数の部門や地域にわたり、最も脆弱な人々とシステムが不均衡に影響を受けていると見受けられる。気象と気候の極端現象の増加により、自然と人間のシステムはそれらの適応能力を超える圧力を受け、それに伴い幾つかの不可逆的な影響をもたらしている(確信度が高い)。
  • 自然生態系と人間の脆弱性と暴露
    気候変動に対する生態系及び人間の脆弱性は、地域間及び地域内で大幅に異なる(確信度が非常に高い)。これは、互いに交わる社会経済的開発の形態、持続可能ではない海洋及び土地の利用、不衡平、周縁化、植民地化等の歴史的及び現在進行中の不衡平の形態、並びにガバナンスによって引き起こされる(確信度が高い)。
    • 約33〜36億人が気候変動に対して非常に脆弱な状況下で生活している(確信度が高い)。
    • 種の大部分が気候変動に対して脆弱である(確信度が高い)。
    • 人間及び生態系の脆弱性は相互に依存する(確信度が高い)。
    • 現在の持続可能ではない開発の形態によって、生態系及び人々の気候ハザードに対する曝露が増大している(確信度が高い)。

出典:環境省 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書第2作業部会報告書の公表について

気候変動の影響は日本でも既に現れ始めており、今後様々な分野で拡大すると見られています。農業、森林・林業、水産業に及ぼす影響は、気温上昇による作物の品質低下、栽培適地の変化等が懸念されている一方で、新たな作物の導入に取り組む動きも見られます。水稲については既に全国で気温の上昇による品質の低下が確認され、一部の地域や極端な高温年には収量の減少も見られ、野菜や果樹、畜産等に関しても各地で被害が報告されています。水環境・水資源に及ぼす影響として、気温上昇を一因とする公共用水域の水温の上昇、渇水による上水道の減断水等が確認されています。近年、短時間強雨や大雨が発生する一方、年間の降水日数は逆に減少しており、毎年のように取水が制限される渇水が生じています。自然生態系に及ぼす影響では、植生や野生生物の分布の変化等が既に確認されています。最近の新たな知見として、風等の大気条件の変化が渡り鳥の飛来経路に与える影響や、里山を代表する竹林の分布の拡大、河川の水温の変化がアユの遡上に与える影響等が報告されています。また、沿岸域の藻場への影響、さらにはこうした変化による生態系サービスの低下が人間生活に与える影響等についても報告されています。

Point2:予測されるリスク

【IPCC WGII AR6(第六次評価報告書)で明らかになったこと】

  • 短期的なリスク (2021-2040)
    地球温暖化は、短期のうちに1.5℃に達しつつあり、複数の気候ハザードの不可避な増加を引き起こし、生態系及び人間に対して複数のリスクをもたらす(確信度が非常に高い)。リスクの水準は、脆弱性、曝露、社会経済的開発の水準及び適応に関する、同時に進行する短期的な傾向に左右される(確信度が高い)。地球温暖化を1.5℃付近に抑えるような短期的な対策は、より高い水準の温暖化に比べて、人間システム及び生態系において予測される、気候変動に関連する損失と損害を大幅に低減させるだろうが、それら全てを無くすることはできない(確信度が非常に高い)。
  • 中長期的なリスク (2041–2100)
    2040年より先、地球温暖化の水準に依存して、気候変動は自然と人間のシステムに対して数多くのリスクをもたらす(確信度が高い)。127の主要なリスクが特定されており、それらについて評価された中期的及び長期的な影響は、現在観測されている影響の数倍までの大きさになる(確信度が高い)。気候変動の規模と速度、及び関連するリスクは、短期的な緩和や適応の行動に強く依存し、予測される悪影響と関連する損失と損害は、地球温暖化が進むたびに拡大していく(確信度が非常に高い)。
  • 複雑な、複合的、連鎖的リスク
    気候変動の影響とリスクはますます複雑化しており、管理が更に困難になっている。複数の気候ハザードが同時に発生し、複数の気候リスク及び非気候リスクが相互に作用するようになり、その結果、全体のリスクを結び付け、異なる部門や地域にわたってリスクが連鎖的に生じる。気候変動に対する対応のなかには、新たな影響とリスクをもたらすものもある(確信度が高い)。
  • 一時的なオーバーシュートの影響
    地球温暖化が、次の数十年間又はそれ以降に、一時的に1.5℃を超える場合(オーバーシュート)、1.5℃以下に留まる場合と比べて、多くの人間と自然のシステムが深刻なリスクに追加的に直面する(確信度が高い)。オーバーシュートの規模及び期間に応じて、一部の影響は更なる温室効果ガスの排出を引き起こし(確信度が中程度)、一部の影響は地球温暖化が低減されたとしても不可逆的となる(確信度が高い)。

出典:環境省 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書第2作業部会報告書の公表について

Point3:適応策とそれを可能にする条件

【IPCC WGII AR6(第六次評価報告書)で明らかになったこと】

  • 現状の適応とその便益
    適応の計画及び実施の進捗は、全ての部門及び地域にわたって観察され、複数の便益を生み出している(確信度が非常に高い)。しかし、適応の進捗は不均衡に分布しているとともに、適応ギャップが観察されている(確信度が高い)。多くのイニシアチブは、即時的かつ短期的な気候リスクの低減を優先しており、その結果、変革的な適応の機会を減らしている(確信度が高い)。
  • 将来の適応策とその実現可能性
    人々及び自然に対するリスクを低減しうる、実現可能で効果的な適応の選択肢が存在する。適応の選択肢の実施の短期的な実現可能性は、部門及び地域にわたって差異がある(確信度が非常に高い)。適応策が気候リスクを低減する有効性は、特定の文脈、部門及び地域について文献に記載されており(確信度が高い)、温暖化が進むと効果が低下する(確信度が高い)。社会的不衡平に対処し、気候リスクに基づいて対応を差異化し、複数のシステムを横断するような、統合的な多部門型の解決策は、複数の部門において適応の実現可能性と有効性を向上させる(確信度が高い)。
  • 適応の限界
    人間の適応にはソフトな(適応の)限界に達しているものもあるが、様々な制約、主として財政面、ガナバンス、制度面及び政策面の制約に対処することによって克服しうる(確信度が高い)。一部の生態系はハードな(適応の)限界に達している(確信度が高い)。地球温暖化の進行に伴い、損失と損害が増加し、更に多くの人間と自然のシステムが適応の限界に達するだろう(確信度が高い)。
  • 適応の失敗
    第5次評価報告書(AR5)以降、多くの部門及び地域にわたり、適応の失敗の証拠が増えている。気候変動に対する適応の失敗につながる対応は、変更が困難かつ高コストで、既存の不平等を増幅させるような、脆弱性、曝露及びリスクの固定化(ロックイン)を生じさせうる。適応の失敗は、多くの部門及びシステムに対して便益を伴う適応策を、柔軟に、部門横断的に、包摂的に、長期的に計画及び実施することによって回避できる(確信度が高い)。
  • 可能にする条件
    可能にする条件は、人間システム及び生態系における適応を実施し、加速し、継続するために重要である。これらには、政治的コミットメントとその遂行、制度的枠組み、明確な目標と優先事項を掲げた政策と手段、影響と解決策に関する強化された知識、十分な財政的資源の動員とそれへのアクセス、モニタリングと評価、包摂的なガバナンスのプロセスが含まれる(確信度が高い)。

2015年9月、誰一人取り残さない世界を実現するため、「国連持続可能な開発サミット(国連サミット)」において持続可能な開発目標(SDGs)が定められました。同年のCOP21では、産業革命前からの地球の気温上昇を2℃未満に保ち1.5℃に抑える努力をする「パリ協定」を発効しました。温室効果ガスの排出を直ちにゼロにしても、気候変動の影響はしばらく続くと予想されており、今後その影響による被害の悪化が懸念されていることから、パリ協定では緩和と共に適応にも取り組むことで合意しました。気候変動が私たちの社会に及ぼす影響はとても大きく、適応の取組みはそれぞれの国や地域、国際協定の中で重要な位置を占めています。

最新報告書をもっと知りたい!Q&A

Q適応策の限界って具体的に何が起きているの?

A第5次評価報告書が出てから、世界中で多くの適応策が講じられてきています。しかし、資金・技術・人材の不足や情報格差、そして温暖化や異常気象の進行などといった様々な理由から、こうした努力の中には上手くいっていないケースも多くみられます。

  • 事例1:オーストラリアのボイグ島では、海面上昇や海岸浸食などの気候変動に 適応するために、既存の防潮堤や排水設備では高潮時の洪水を防ぐことができ ないため、住民は被害を防ぐために家を高くした。しかし、洪水後に海水が 長時間滞留することで、インフラの浸食、土壌の塩分濃度の上昇、公衆衛生上の 懸念などから、現状の適応策では解決が難しい。また、高台の土地、資金、 人的リソースなどの不足が、問題の解決を妨げている(出典:Box 16.1: Linking Adaptation Constraints, Soft and Hard Limits)。
  • 事例2:サモアでは、海岸浸食を最小限に抑えるために防波堤が設置されているが、 高いうねり、熱帯サイクロン、絶え間ない波浪により、これらの防衛はその有効性 が損なわれるため、定期的なアップグレードと交換が必要である。このようなイン フラの設置、アップグレード、拡大には高いコストがかかるため、護岸工事は特定 の場所でしか使われず、これらの対策の範囲を超えたコミュニティは浸水と浸食に さらされることになる。在来樹木の植え替えも行われているが、大きなうねりに よって植え替えの失敗率が高く、沿岸の洪水と浸食は続いている(出典:16.4.2.1)。

他にも…
【緑地化】土壌侵食軽減のために植えられたユーカリの木は水需要が多い(パキスタン)
【水不足解消のための家庭での水の貯蔵】衛生面での問題(ジンバブエ)や、干ばつによる水の採取と貯蔵の変化による蚊の繁殖場所の増加(オーストラリア)
など、実際にやってみて分かった問題点も、今回のレポートで報告されています(出典:Table 16.2)。

Q適応を失敗しないためにはどうしたらいいの?

A最新のIPCC WGII AR6(第六次評価報告書)は、水、食料、インフラ、生物多様性、健康など、様々な分野において、多くの研究者によるレビューに基づき評価がなされており、各章によって様々なケーススタディやそれに基づいたステートメントがあります。例えば今回の報告書の中で、適応策を成功させるために必要なこととして、以下の条件が挙げられている箇所があります。

  1. 複数の種類の情報(モニタリング、モデル、 気候サービス、地元民・先住民の知識や経験)が利用できること(出典:3.6.5)。
  2. 複数の低リスクの選択肢の実施(出典:3.6.5)。
  3. より大規模な適応策への投資。もしくは、コストの正確な評価(出典:3.6.5)。
  4. 文脈と地域の条件に従って、慎重に対象を絞ること(出典:2.6)。
  5. 公平、正義、有効性を念頭に置いた目標や行動の枠組みの策定(出典:1.4.1.)。

実際に成功した適応策が、上記の条件をどのように満たしているのかみてみましょう。

【ケーススタディ:海洋エコツーリズム】(出典:3.6.3.1.3)
海洋エコツーリズムの導入によって、一部の地域では、大きな経済的利益を得ると同時に、海洋保全と気候変動適応の両方をサポートできる生計手段を確立させています。
例えば、メキシコのカボ・プルモのコミュニティは、自ら海洋保護区を設定し、漁業を海洋エコツーリズムに変更しました。その結果、現在では年間数百万ドルの収益を上げ、地元の雇用を創出・維持し、一部の魚の生息数を10倍に増やすことができました。
この適応策の策定・実施は、その地域に詳しい地元民らの知見を含めた複数の種類の情報に基づいて進められており、適応策を成功に地域住民の協力が欠かせないことがわかります。海岸侵食への適応策として護岸の設置などがよく挙げられますが、こうした建造物の設置には膨大なコストがかかってしまいます。そこで、コストを正確に評価し、海洋エコツーリズムを視野に入れた上で、海岸養浜、潜水式防波堤や防波堤など、そのコミュニティにとって低リスクの複数の選択肢を選ぶと、適応策が近年増加しています。もちろんこうした持続可能な海洋エコツーリズムを成功させるためには、ツーリズムと環境保全を両立させる適切な管理も大切です。

Q日本も気候変動の影響を受けているの?日本で行われている適応策って?

A日本でも、すでに深刻な気候変動の影響が生じています。今回の報告書でも、日本について言及されている箇所は多くあります。例えば、日本は気候変動影響によって昆布の大量喪失が発生している国に数えられており、将来予測のシナリオによっては、最大およそ51%の日本の昆布の生息地がなくなると記されています(出典:(FAQ3.3, Table 5.11)。他にも、洪水と地滑りの損害や損失(Table 4.3)、猛暑による健康リスクの増大(7.2.4.1, Table 8.4)など様々な文脈で日本が言及されています。

このような気候変動による影響に適応するために、日本では2018年に「気候変動適応法」が施行され、各地方自治体で気候変動適応センターが設置されました。同時に、日本の各地域で、今回の報告書で取り上げられていた気候変動の影響に対する適応策が推進されています。例えば、先述の例で取り上げた昆布を含む藻類の生息地の喪失への適応策は、すでに日本の各地域でも対策が進められています。(参考情報参照)

日本の気候変動適応策について(参考情報):

Point4:気候にレジリエントな開発

【IPCC WGII AR6(第六次評価報告書)で明らかになったこと】

  • 気候にレジリエントな開発における条件
    観測された影響、予測されるリスク、脆弱性のレベル及び動向並びに適応の限界の証拠から、世界中で気候にレジリエントな開発のための行動をとることについて、第5次評価報告書(AR5)における以前の評価に比べて更に緊急性が高まっていることを示す。包括的で、効果的かつ革新的な対応によって、持続可能な開発を進めるために、適応と緩和の相乗効果を活かし、トレードオフを低減することができる(確信度が非常に高い)。
  • 気候にレジリエントな開発の実現
    気候にレジリエントな開発は、政府、市民社会及び民間部門が、リスクの低減、衡平性及び正義を優先する包摂的な開発を選択するとき、そして意思決定プロセス、ファイナンス及び対策が複数のガバナンスのレベルにわたって統合されるときに可能となる(確信度が非常に高い)。気候にレジリエントな開発は、国際協力によって、そして全てのレベルの行政がコミュニティ、市民社会、教育機関、科学機関及びその他の研究機関、報道機関、投資家、並びに企業と協働することによって促進されるとともに、女性、若者、先住民、地域コミュニティ及び少数民族を含む伝統的に周縁化されている集団とパートナーシップを醸成することによって促進される(確信度が高い)。これらのパートナーシップは、それを可能にする政治的な指導力、制度、並びにファイナンスを含む資源、気候サービス、情報及び意思決定支援ツールによって支援されるときに最も効果的である(確信度が高い)。
  • 自然生態系と人間システムにおける気候レジリエントな開発
    変化する都市形態と曝露及び脆弱性の相互作用によって、気候変動に起因するリスク及び損失が、都市及び居住地に生じうる。しかし、世界的な都市化の傾向は、短期的には、気候にレジリエントな開発を進める上で重要な機会も与える(確信度が高い)。社会的、生態学的及びグレー/物理的なインフラを含む、都市インフラに関する日常的な意思決定に対する統合的で包摂的な計画及び投資は、都市域及び農村域の居住地の適応能力を大幅に高めうる。衡平な結果は、先住民や周縁化された脆弱なコミュニティを含め、健康と幸福そして生態系サービスにとっての複数の便益に貢献する(確信度が高い)。都市域における気候にレジリエントな開発は、都市部周辺地域の製品及びサービスのサプライチェーンや資金の流れを維持することによって、都市化がそれほど進んでいない地域における適応能力をも支える(確信度が中程度)。沿岸域の都市及び居住地は、気候にレジリエントな開発を進める上で特に重要な役割を果たす(確信度が高い)。
  • 生物多様性及び生態系の保護は、気候変動がそれらにもたらす脅威や、適応と緩和におけるそれらの役割に鑑み、気候にレジリエントな開発に必須である(確信度が非常に高い)。幅広い証拠から導き出された最近の分析は、地球規模での生物多様性及び生態系サービスのレジリエンスの維持は、現在自然に近い状態にある生態系を含む、地球の陸域、淡水及び海洋の約30%〜50%の効果的かつ衡平な保全に依存すると示唆している(確信度が高い)。
  • 気候にレジリエントな開発の実現
    気候変動が既に人間と自然のシステムを破壊していることは疑う余地がない。過去及び現在の開発動向(過去の排出、開発及び気候変動)は、世界的な気候にレジリエントな開発を進めてこなかった(確信度が非常に高い)。次の10年間における社会の選択及び実施される行動によって、中期的及び長期的な経路によって実現される気候にレジリエントな開発が、どの程度強まるかあるいは弱まるかが決まる(確信度が高い)。重要なのは、現在の温室効果ガス排出量が急速に減少しなければ、特に短期のうちに地球温暖化が1.5℃を超えた場合には、気候にレジリエントな開発の見込みがますます限定的となることである(確信度が高い)。これらの見込みは、過去の開発、排出量及び気候変動によって制約され、包括的なガバナンス、十分かつ適切な人的及び技術的資源、情報、能力及び資金によって可能となる(確信度が高い)。

気候変動の時代にある現代では、気候や生態系、社会のシステムの複雑な相関関係を考慮した持続可能な開発の取組みが求められています。SDGsの目標を実現するためにも、緩和と緩和を組み合わせによる気候に対して強じんな社会を構築していかなくてはなりません。
気候に対して強じんな社会の構築には、持続可能な開発に影響を与える気候やその他のさまざまな変化に継続して対応した発展を目指し、これには緩和と適応を効果的に実施しながら柔軟で革新的な方法を取り入れた全員参加型の問題解決が求められます。

IPCCとは

1979年、世界気象機関(WMO)が温室効果ガス(GHG)濃度の上昇による気候変動とその影響が社会経済活動に与える影響について懸念を表明しました。これを受け、1988年に地球規模の環境課題のための国際機関である国連環境計画(UNEP)とWMOが、地球温暖化防止政策に必要な科学的根拠となる気候変動に関する自然科学的および社会科学的な最新の科学的知見を、発表された研究結果をもとに評価して報告する機関としてIPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)を設立しました。2007年には人為的な気候変動に関する知見をまとめそれを世界に知らしめた功績と気候変動への対策に必要な取組みの基盤を築いたことに対して、ノーベル平和賞を受賞しています。IPCCは3つの作業部会(Working Group:WG)に分かれており、第1作業部会(WGI)は気候システムや気候変動に関する科学的根拠、第2作業部会(WGII)は自然生態系、社会経済などに及ぶ気候変動の影響・適応・脆弱性、第3作業部会(WGIII)は気候変動の緩和策についてそれぞれの報告書を作成し、最終的にこの3つの報告書をまとめた統合報告書とあわせて4つの報告書を発行しています。

第二作業部会(WGII)は、気候変動に対する社会経済及び自然システムの脆弱性、気候変化がもたらす好影響・悪影響、並びに気候変化への適応のオプションについての評価を行います。

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(最終更新日:2022年5月10日)

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