COP29 気候変動適応特集!
適応関連の交渉結果 -1
「指標に関するUAEベレン作業計画」とGGAに関する取組の進展
COP29における適応関連議題の中で最も注目を集めていたといえるGGA(適応に関する世界全体の目標)については、「指標に関するUAEベレン作業計画」、「GGAに関する全般的な事項」、「変革的適応」の3項目に沿った議論が行われました。第1週目は交渉官レベルでの技術的内容を中心に議論が行われ、政治的に大きな争点については、第2週目に閣僚級による議論が並行して行われました。結果として、「指標に関するUAEベレン作業計画」について、COP30での作業計画の完了に向けた一定の進展がありました。また、今後のGGA関連の取組を総称する形での「バクー適応ロードマップ(Baku Adaptation Roadmap: BAR)」の立ち上げも決定しました。
まず大きな成果としては、来年のCOP30での決定を目指すUAE-ベレン作業計画の最終成果物が、100個以内の管理可能な指標セットに決まったことが挙げられます。それらの指標は、UAEフレームワークで示された各目標の達成に向けた進捗状況を評価できるように設計されます。その中には、世界的な傾向分析を目的としたグローバルに適用可能な指標と、締約国が自国の状況に照らして選択可能な指標が含まれることになりました。さらに、適用可能な場合、資金・技術支援や能力強化(Means of Implementation: MoI)の進捗度合いを測定する指標も成果物に含まれうることになりました。これは、途上国による兼ねてからの主張が反映された形となりました。
指標の作業に関与する専門家への追加的ガイダンスとしては、グローバル指標の数を絞りつつ、それらの指標は全体の傾向と共通の課題を反映したものとすることや、必要に応じて、MoIを含む、適応を可能にする要素の指標を特定または開発すること、さらに、測定可能かつ既存のデータを最大限活用すること、等が決まりました。
さらに、作業計画の完了後も見据えたGGAに関する取組を総称し、バクー適応ロードマップ(Baku Adaptation Roadmap: BAR)の立ち上げ、および、UAEフレームワークの実施促進に向けたバクー・ハイレベル対話の毎年開催も決定しました。これらは、アラブ地域の交渉グループがCOP29会期直前のサブミッションで提案したものでしたが、最終的に今回の決定に含まれることになりました。BARの具体的な進め方については、SB62以降、詳細な議論を行う予定となっています。
変革的適応については、事務局によるレポートには、UAEベレン作業計画においてどのように変革的適応の要素を考慮するか、等の提案もありましたが、レポートの公開がCOP会期直前だったこともあり、詳細の議論はSB62以降に持ち越すことになりました。
GGAに関するCOP29決定には、いわゆるMoI指標やグローバル指標が考慮されるなど、途上国側の主張が大きく反映される結果となりました。これから1年間かけて、いよいよ具体的な指標リストが完成します。今後は、指標が独り歩きをしないためにも、グローバルな適応進捗状況の把握、各国における適応MEL(モニタリング・評価・学習)の進展など、指標を用いてGGAの進捗測定を行うことよって目指すべきことを明確にし、目標達成に向けた各国の共通認識を醸成していくことが重要であるといえるでしょう。

適応に関するその他の動向
「資金COP」と呼ばれた今回のCOP29では、適応資金に関する重要な合意がありました。具体的には、途上国の気候変動対策に対し官民合わせて2035年までに1.3兆ドルの投資を目指すこと、途上国への気候資金支援を2035年までに年間3,000億ドルに増額すること、さらにその目標達成のため、適応基金等を含む条約下の資金メカニズムを通じた資金フローを2030年までに2022年比で3倍にすることが決定されました。
その他、以下の進展と課題が見られました:
1. 透明性枠組みの実施
- パリ協定に基づく初めての隔年透明性報告書(BTR)の提出が開始
- 2024年12月初旬時点で13カ国が提出、日本はアンドラ、ガイアナ、パナマに次ぐ4番目
- 適応に関する報告は任意だが、各国がガイドラインに沿って進捗を報告
2. 既存の適応枠組みに関する課題と展望
- 国別適応計画(NAP)と適応委員会(AC)についての交渉議題では、途上国と先進国の意見対立によりCOP29では合意に至らず
- 2024年11月現在、NAPを提出した途上国は59カ国。途上国はNAP策定・実施のための資金支援不足を主張。
- ACは交渉議題での進展は見られなかったものの、「適応の30年」出版など活発な活動を継続
- NAP・AC議題はCOP30以降の合意形成に期待
これらの動向は、適応分野における制度整備の進展を示す一方で、途上国と先進国の間での更なる対話や、状況に応じた強力な政治的判断の必要性を示唆しているといえます。