Staff interview #06
豊村 紳一郎(TOYOMURA Shinichiro)

気候変動適応センターの設立(2018年7月〜)からのオリジナルメンバー。
現在は環境省 大臣官房環境影響評価課環境影響審査室室長補佐(併任 大臣官房秘書課)。6歳、8歳の2児の父。趣味は旅行。

「環境」に関する仕事や環境省への入省のきっかけは何でしたか?

わたしは2005年に環境省に採用されキャリアをスタートしました。学生の頃は工学を専攻していましたが、当時は地球温暖化防止のための「京都議定書」や大規模不法投棄といった話題がニュースを賑わせていて、「環境」という分野は社会にとってより大切になっていくと感じ、この分野で世の中に貢献ができたらいいなという気持ちがありました。また、趣味が旅行なのですが、学生の頃にバックパックを担いで放浪しているときに、各地の多様な景観だけではなく、汚れた川、ゴミの山といったものを目の当たりにして、「環境問題」に体感を通して興味を抱くようになったことも思い出します。

また、公務員として「人の役に立ちたい」という意識もありました。入省してから、環境問題の解決とは言っても一筋縄にはいかないことも多く、当初の想いとのギャップを感じたこともありましたが・・・、現在は“環境だけでなく社会や経済を含め俯瞰してみること”、“トータルで考えること”を意識して仕事をしています。

気候変動適応センター(CCCA)の前は、どのような仕事をしていましたか?

環境省関東地方環境事務所の放射性物質汚染対策課長として、名前の通り福島の原発事故をきっかけに放射性物質に汚染された土壌の除染に関する仕事を担当していました。地域における除染の推進には自治体を含む地域との連携が不可欠であり、CCCAがある茨城県にも赴き自治体の方と相談を重ねたこともありました。地域の方々との連携という点ではCCCAと共通する部分もあったと思います。

共通する部分があるとは言っても、分野も方向性も大きく異なるため、国立環境研究所への異動の話しを聞いたときは、気候変動に関する業務経験の乏しい自分でいいのか?というのが正直な感想でした。このように、新たなチャレンジに不安もありましたが、気候変動適応は今後重要な分野となることは想像できていましたので、いざ着任するとなった際は、今後のキャリアにもプラスになるだろうと考え前向きに受け止めました。

気候変動適応センター(CCCA)の前は、どのような仕事をしていましたか?

2018年7月に着任し、当初はセンターの立ち上げが最大のミッションでした。前例がなく、不慣れな業務に奔走していたので、今振り返ってみるとあっという間に感じます。
「適応」という概念やセンターの機能を知っていただくために、試行錯誤の日々でした。
現在は自治体において地域適応計画の策定が進み、また、地域気候変動適応センターが次々とできるなど、少しずつ気候変動適応への理解も深まってきていると感じています。「適応」という言葉自体も世の中に浸透してきたなと感じます。そのきっかけづくりに携われたことは非常にありがたかったなと思います。

気候変動適応センター(CCCA)での仕事を振り返ってみていかがですか?

時間が許せば、多くの自治体にお伺いし膝をつき合わせ、各地域における気候変動適応の推進に向けたご相談をしていきたかったです。このコロナ禍の状況下もあり、ますます難しくなってしまったのは非常に心残りです・・・。

研究者の方々と仕事ができた点も貴重な経験でした。行政官として、これまで専門家の方々にご意見やご助言を伺うことはあっても、同じミッションの下、一緒に仕事をする機会は殆どありませんでした。仕事の進め方や文化の違いに戸惑いはありましたが、フレキシブルに物事を捉え、アイディアを実現していく行動力、対応の速さは圧巻でした!見習うべき点がたくさんあり、今後の業務に活かすことができればと思っています。

現在の業務内容や今後の展望があれば教えてください。

現在は環境省で環境アセスメントに関する業務を担当しています。2050年の脱炭素社会に向けて、風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギーが主力電源を担うのではと期待されていますが、いざ開発となると、地域住民の方々が地域環境に関する不安をもたれることもあると思います。環境アセスメントは事業に公衆が関与する制度でもあり、このような施設が、地域に好循環をもたらす形で導入が進むよう貢献できたらと考えています。
また、新卒採用の業務も担当しています。現在はコロナ禍の中、ウェブ面接を試行錯誤しながら進めているところです。業務説明だけではなく育児休暇の経験やテレワークの活用など、「ワークライフバランス」について話をする機会もあります。もちろんCCCAでの経験を学生さんにお話しする機会もあり、これまでの経験を少しでも役立てればと思います。

7月に気候変動適応センターでの職務を終えた豊村 紳一郎さんに入省のきっかけやCCCAでの職務を振り返っていただきました。新しい部署でのご活躍もセンタースタッフ一同応援しております。ありがとうございました!
取材日:2020年8月27日

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