Staff interview #29
プルパダン ユヌス アリ(PULPADAN, Yunus Ali)

気候変動適応センター(CCCA)気候変動適応戦略研究室 特別研究員。
インドのケララ出身。インド、東京、中国等にて勉学・研究後、2020年3月国立環境研究所入所。趣味はバトミントン、サイクリング

はじめに、日本に進学したきっかけを教えてください。

インドで勉強した後に、日本政府の奨学金に申し込みました。それに合格し日本に進学できました。ラッキーなことに東京大学で勉強するチャンスを得ました。キャンパスは柏の葉だったので、国環研があるつくば市とも近いですよね!地形学を2011年から2014年の3年半学びました。2014年から2015年は、東京大学で研究を継続しました。とても良い環境で、指導して下さった先生にも恵まれて、ドイツやイギリスに短期プログラムで行く機会も与えていただきました。

日本に進学後、国環研に来るまではどのようなキャリアだったのでしょう?

2015年から2019年はインドに一旦戻りました。その後は中国の四川にいました。中国では、私の研究課題の一つである洪水や降雨に関する研究に取り組んでいました。その後、ご縁があって国立環境研究所に入所しました。2020年の3月に入所したのですが、ちょうどコロナウィルスの流行はじめでした・・・。それでも運よく、日本に来られました!

学生の頃から海外(日本)での勉学や研究を目指していたのでしょうか?

もともと旅行が好きですし、色々な場所を探索することが好きな性格でした。地理学が専攻ですしね!(笑)。日本の「地震」や「津波」の事象にも関心がありました。そういえば、奨学金の面接のときも質問されましたね・・・「なぜ日本なのか?」って。全く同じことを答えました。初めて日本に来たのが2011年だったのですが、東日本大震災の直後でした。当時も余震が続いていたことを思い出します・・・。今は慣れましたが、インドにいた頃は地震を経験したことがなかったので、揺れる度に怖かったです。

CCCAではどんな研究をされているのですか?コロナ禍での入所でしたが、困難はありますか?

それまでは、主に大学での勉強や研究だったので、「研究所」という異なった組織で働くことは初めてでした。国環研はオフィスも快適ですし、同僚に恵まれ楽しくやっています。コロナ禍ですが、シフト勤務で週に数日はオフィスに出ます。仲間たちと頻繁に顔を合わせることは難しいですが、オンライン会議でコミュニケーションをとっています。

私の研究は、主に水質について衛星を使って調べているのですが、現在は世界的な基準がないので、データを集めている最中です。日本は水質が良いので、インドを対象に調べています。コロナ禍で、空輸の頻度が減り大気が良くなったという話は、耳にしたことある方もいると思いますが、実は水質も良くなっているんです。大気のことは取り上げられていましたが、水のことは誰も話題にしていなかったので、調べました!私はインド南部のケララ州が地元なのですが、ケララの湖を調べたところ、16%も水質が良くなっていたのですよ。

「気候変動」や「気候変動適応」についてインドでの取り組みを教えて下さい。また、インドのご家族やご友人は「適応」をどのように考えていますか?

「適応」については答えるのは難しいですね。いわゆる発展途上国とそうではないところで、状況が異なりますしね。インドでも緩和対策は良く見受けられますが、「適応」にはまだ十分に対応できていないと思います。イギリスや日本といった研究が進んでいる国では適応策も活発ですよね。家族や周りの人に「適応」を伝えるときに、災害に備えることと伝えることもできますが、災害は地域によってそれぞれ異なりますからね。また起こっていない未来のことを具体的に伝えるのも難しいと思うので、伝え方は模索中です。学校教育として取り組んでいけるといいと考えています。私が幼い時は少なかったのですが、インドでも学校の教科書に、気候変動のページがあります。営利企業単位ではまだですが、政府や自治体が中心となって、気候変動に対応する動きは地元のケララでも見受けられるようになりました。

今後の課題や目標について教えてください。

今研究している分野に世界的な基準がないので、認めてもらえるように基準を作りたいです。社会を支えられる研究に、今も将来も携わっていたいですね。個人的な目標は、家族にも恵まれているので特になく、大変満足しています!

インタビュー時は、インド帰省中で地元のケララから参加してくれました。束の間の休暇をお子様と過ごし、充実しているようでした。つくばにいる時は、家族と離れて一人なので、バドミントンやサイクリングをして過ごすそうです。研究も含め、つくばでの生活が充実しますように。ユヌスさんありがとうございました
取材日:2021年12月3日

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