「気候変動適応情報プラットフォーム(A-PLAT)」は、気候変動による悪影響をできるだけ抑制・回避し、また正の影響を活用した社会構築を目指す施策(気候変動適応策、以下「適応策」という)を進めるために参考となる情報を、分かりやすく発信するための情報基盤です。

6気候変動はすぐには止まらない!

【温室効果ガスを出すのをやめれば気候変動は止まる?】

この気候変動の要因とされる温室効果ガスを出さなければ、気候変動は止まるのでしょうか?
答えはNOです。仮に今この瞬間に温室効果ガスを一切出さなくなったとしても、気候変動はすぐには止まりません。

気候変動がすぐに止まらないということは、例えば、気温は上昇を続けるということです。
ならば、何もしなくてよいのかと言えば、それも違います。
今のように温室効果ガスを出し続ける生活をつづけると、21世紀末には、今よりも世界全体で約4℃平均気温が上昇するだろうと、スーパーコンピューターにより予測されています(図5の赤色グラフ)。
また、これまでみてきた気候変動による様々な影響は、気候変動が進むほどに大きくなると言われています。
そのため、気候変動の進行を遅くし、その程度を小さくすることは重要なのです。
これには、温室効果ガスを出す量を減らしたり、出さなくしたりすることが必要になります。このことを「緩和」と言います。将来的に温室効果ガスを出さないような、しっかりと緩和を行った世界では、21世紀末の世界の平均気温は今よりも1℃高い程度にとどまります。(図5の青色グラフ)

図5.今(1986-2005年平均気温)に対する世界平均地上気温の変化予測 図5.今(1986-2005年平均気温)に対する世界平均地上気温の変化予測

【気候変動への対策には緩和と適応の両方が重要】

緩和をしっかりとしても、気温の上昇の例のように、気候変動は少しは進んでしまいます。
つまり、気候変動による様々な影響は、緩和の程度によりますが、必ず生じます
では影響に無防備でいいのでしょうか?

いいえ、違います。

みなさんが、暑ければエアコンを使ったり、水分を補給するように、影響への対策、つまり「適応」を行うことが出来ます。
適応はその影響の種類と影響の大きさによって様々あります。
気候変動への対策は、気候変動を食い止めるための「緩和」と、その影響を小さくしたり活用したりする「適応」のどちらも重要なのです。

図6.緩和と適応 図6.緩和と適応