適応ファイナンスとは

適応ファイナンスの基本的な考え方や適応ファイナンスのイメージはどういうものかを示します。

適応ファイナンスとは

  • 適応ファイナンスには、さまざまなタイプがありますが、可視化された気候リスクに対して、これに対応するための取組に資金を充当する、あるいはリスクをヘッジすることにより、事業や地域・社会における不確実性を抑制しつつ、長期的かつ安定的なリターン獲得の確度を高めるのものがあります。
  • 予め評価された気候変動による物理リスク・財務影響を軽減・回避するための取組(事業会社の取組に限らず、地方自治体などが実施する公共インフラ事業も含まれます)、またはビジネス機会を獲得するための取組に対する投融資、保険などが該当します。
  • 従来の損害保険やCATボンド※に限らず、さまざまなファイナンス手法があり得ます。また、適応を目的とした特定のプロジェクトに使途を限定して資金を充当する手法もあれば、適応に取り組む企業や地方自治体などに対して使途を限定せずに資金を充当する手法もあります。
  • 金融機関1社ではファイナンスが困難でも、例えば銀行と保険会社が連携するなど、複数の金融機関が互いに強みを持ち寄ることによってファイナンス手法を開発し、実行できるケースも多くなっています。

民間事業者が適応に取り組む意義

今後、気候変動影響がますます拡大すると予測されるなか、民間事業者が適応に取り組むことは、事業の持続可能性を高める上で必要不可欠であるとともに、顧客や投資家などから信頼を得る、新たなビジネス機会を獲得するなど、競争力を高める観点からもきわめて重要です。国際的にも「異常気象」や「気候変動対策の失敗」が最も重要なグローバルリスクと認識されており、これらに対応することが社会経済全体のメガトレンドになっています。
こうした中で、民間事業者等の適応取組促進の手段の1つとして適応とファイナンスを統合した「適応ファイナンス」が注目されつつあります。適応ファイナンスを活用することで適応への取組の早期着手、中・長期的な継続実施が期待できます。

適応ファイナンスのイメージ

出典:環境省「金融機関向け適応ファイナンスのための手引き」

※CATボンド:企業が発行する社債の1つ。普通社債よりも高い利率が支払われる代わりに、自然災害(地震、台風など)が発生した場合には、予め定められた金額が投資家の償還元本から減少する債権のこと。「大災害ボンド」とも言われます。資金使途に制限がないため、受け取った企業は災害復旧のための幅広い対応が可能になること等のメリットがあります。

(最終更新日:2022.1.20)

ページトップへ