シナリオ分析の実践

お知らせ

TCFD は事業者がシナリオ分析を進める上での参考として、下記プロセスを示しています。

図 TCFD が示す気候関連リスク及び機会にシナリオ分析を適用するためのプロセス
(TCFD(2017)「Technical Supplement: The Use of Scenario Analysis in Disclosure of Climate-Related Risks and Opportunities」及び環境省 (2020) 「TCFDを活用した経営戦略立案のススメ~気候関連リスク・機会を織り込むシナリオ分析実践ガイドVer2.0~」をもとに国立環境研究所で作成。)

1. ガバナンス整備

戦略策定やリスク管理プロセスにシナリオ分析を組み込みます。また、関連する取締役会等による監視体制を整えます。巻き込むべき内外のステークホルダーと巻き込み方を特定します。

2. リスク重要度の評価

「移行リスク」と「物理的リスク」から受けうる影響の大きさを評価します。現在および将来に想定される、自社が直面する気候変動リスクと機会は何か、それらは将来に重要となる可能性があるか、組織のステークホルダーは関心を抱いているか、等を検討します。

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「業種別気候変動影響&適応」では、業種別の気候変動影響(物理的リスクと機会)や適応策に関する情報を紹介しています。

3. シナリオ群の定義

関連する移行リスク・物理的リスクを包含した複数の将来シナリオを設定します。いかなるシナリオ(と物語)が自社にとって適切か、入力変数、仮定、分析手法を検討します。また、参照するシナリオを特定します。

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将来予測 WebGIS」では、物理的リスクに関する将来予測データを確認できます。

4. 事業インパクトの評価

それぞれのシナリオにおいて、自社の戦略的・財務的ポジションに生じうる影響を評価します。事業へのインパクトは「 投入コスト」「 事業コスト」「 収益」「 サプライチェーン」「 営業停止」「 タイミング」等があります。また、感度分析を行います。

5. 対応策の定義

特定されたリスクと機会を管理するために、適用可能で現実的な選択肢を特定します。対応策としては「ビジネスモデル変革」「ポートフォリオ変革」「能力や技術への投資」等があります。戦略的・財務的な計画にいかなる修正が求められるか検討します。

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対応策を検討する上で、企業による実際の気候リスク管理の事例機会(適応ビジネス)の事例をチェックしてみましょう。

6. 文書化と情報開示

プロセスを文書化します。関連組織とコミュニケーションをとります。主要な入力変数、仮定事項、分析手法、分析結果、とりうる経営上の選択肢について、情報開示する準備を整えます。

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