災害対策に使用可能な通信規格「ELTRES IoTネットワークサービス」の提供

ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社

業種:情報通信業

掲載日 2023年8月4日
適応分野 自然災害・沿岸域

会社概要

ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社は、ソニーグループの関連会社として1995年に設立し、通信事業、IoT事業、AI事業、ソリューションサービス事業の事業を展開している。

気候変動による影響

気候変動により、日本では全国的に大雨や短時間強雨の発生頻度は増加している。自治体においては、災害対策は日頃から行われているが、近年は予測を遙かに超える災害が度々起こっている。土砂災害や河川の氾濫、農地の冠水など、水災害による被害が増加する可能性があり、対策がより困難になっている。災害発生時の対策のためには、従来は職員の目による被害状況確認が必要で、これはリスクを伴い、かつ時間と手間がかかるという課題がある。

適応に関する取り組み

当社は、IoT(注1)ネットワークサービスの提供と、認証プログラムの運用を通して、気候変動対策としてのIoT技術を利用した災害(防災)対策への活用を提案している。

●通信サービス

当社ではソニー独自の無線通信規格「ELTRESTM」を用いたIoTネットワークサービス「ELTRES IoTネットワークサービス」を提供している。当サービスは、以下の特徴により、様々なセンサー情報を広範囲に効率よく収集することができる。

  • ノイズの多い都市部でも安定した通信を実現
  • 100km以上離れた場所でもデータ伝送可能
  • コイン型のリチウムイオン電池1つで稼働するほどの省電力設計
  • GNSS(Global Navigation Satellite System)により山間部等の場所でも位置情報取得が可能

●認証プログラム

当社は自社でセンサーを製造・販売するだけでなく、パートナープログラムに登録した企業の製造する製品に対する「ELTRES端末認証登録プログラム」を実施している。ELTRESの技術やサービスを利用する製品はすべて、端末登録の必要がある。このプログラムにより、様々なメーカーから各種センサーや測定器が製造・販売され、災害対策をはじめとする幅広い分野で活用されている。

●災害対策としての活用事例

当社は、IoT技術を活用したシステム構築において多くのパートナー企業と協業しており、災害対策のためのソリューションを提案可能である。以下に事例を示す。

  • ため池の水位観測(兵庫県)

日本で最も多くのため池がある兵庫県では、ELTRESを用いた、ため池の水位監視が行われた(図)。近年、集中豪雨によりため池の水量が危険水域にまで達するようになった。ため池の推移を把握するのが難しく、近隣住民に避難勧告を出すのが困難な状態となっている。そのため、通信が安定し、省電力で稼働するELTRESを活用した監視システムで、水位を遠隔地からも確認できるか実験された。現在は、当社の共同事業パートナーであるNECネッツエスアイ株式会社による「ため池遠隔監視システム」として提供されている(注2)。

  • キロポストで災害を「見える化」

国道沿いなどに設置されているキロポストに水位センサー、温湿度計、加速度センサーを搭載し、水位や気温、震度データの取得が可能である。キロポストにELTRESを導入することで災害を「見える化」し、非常時には即座に状況を把握、災害への対応ができる。バッテリーは年に一度交換するだけ、表面は陶磁器なためメンテナンスが楽なのも特徴である。ELTRES対応のキロポストは当社パートナー企業であるIoT mobile株式会社により製造されている(注3)。

効果/期待される効果等

当サービスを災害対策に取り入れることで、自治体職員の安全を確保した上での状況把握や地域住民への情報共有の高速化など、さまざまな効果が期待できる。

脚注
(注1) IoT(Internet of Things)とは、冷蔵庫や電子レンジ、車など、さまざまなものをインターネットに接続する技術で「モノのインターネット」とも呼ばれる。
(注2) NECネッツエスアイ株式会社「IoTセレクトパック」
https://symphonict.nesic.co.jp/iot-selectpack/
(注3) IoT mobile株式会社「有田焼のキロポストで「水害」「気温」「震度」を見える化」
https://iotmobile.jp/intro-23/

出典・関連情報