水災害を想定したBCPを支援するトータルエンジニアリングサービス

鹿島建設株式会社

業種:建設業

掲載日 2023年11月15日
適応分野 自然災害・沿岸域 / 産業・経済活動

会社概要

鹿島建設株式会社は、鉄道やダムをはじめとする社会資本の整備や、オフィス、商業施設、住宅など人々の生活や活動の場を創造し、建設事業を通じて安全・安心で快適な社会の構築に貢献し続けている。180年余の歴史のなかで培ってきた高度な施工技術力をはじめ、建設バリューチェーンの上流にあたる企画・開発力、設計・エンジニアリング力、そして下流にあたる維持・管理力を駆使し、国内外の社会や顧客に対し、最高水準の都市空間、建築空間、インフラ構造物を提供している。

気候変動による影響

近年、世界的な気候変動に伴い、日本国内でも毎年のように大規模な水災害が発生している。今後も、雨量の増加や海面水位上昇などにより、さらに水災害が頻発化・激甚化することが予想される。日本の建築物には、地震や風、火災に対しては建築基準法により安全基準が定められているが、水災害に対しては基準が定められておらず、企業においては自治体が定めるハザードマップを参考に、周辺状況や建物用途を考慮した上で、自主的に水災害対策を検討する必要がある。

適応に関する取り組み

当社グループでは水害対策に関して、リスク評価から対策立案、対策工事、運用支援に至るトータルなエンジニアリングサービス(図1)を用意している。主なサービスは以下の通りである。

①リスク評価

  • 敷地のハザードや微地形(注1)、建物の止水性、保有資産の状況など立地特性の調査
  • 公開情報に加え、想定した降雨量時の河川や下水道などの氾濫を解析(図2)し、浸水深・被害額を評価

②対策立案

  • 優先的に守るべきものをお客様とともに設定し、洪水による浸水を防ぐ止水ライン(図3)を設定、止水板や防水扉、下水管からの逆流を防止するためのバルブなどの設備の適切な選定
  • 水災害発生時の防災対策や災害後の設置設備撤去までを時系列にプロットし、配置できる人員を勘案した行動タイムラインの検討(図4)
  • 策定した対応策について、保護できる範囲、選定した止水方法の信頼性・操作性、意匠性、工事期間・費用等に加えて運用時の保守性などを評価し、計画選定を支援(図5)
  • 近隣へ圧迫感を与えないガラス製止水壁や、浸水時に自動開錠され近隣住民も敷地内外を往来できる避難口システム(特許出願中)など、近隣住民感情へ配慮した施策の提案(図6)

③対策工事

  • 敷地の測量、排水設備などの詳細な現地調査を行った上で、工期やコストに配慮した実施設計と最適な施工計画を立案
  • 工事は安全に、騒音を低減させて行うなど、近隣に最大限配慮

④運用支援

  • タイムラインを毎年の防災訓練や災害発生後も見直し、スパイラルアップ(図7)
  • 水防設備のメンテナンス

効果/期待される効果等

敷地や建物の「リスク評価」から対策後の「運用支援」までお客様の実情に応じたサポートを一気通貫で行なうトータルエンジニアリングにより、実効性の高い災害対策を構築できる。加えて、広域なスマートシティの計画にも適用可能である。また、本サービスとともに従来から定評のある地震対策など様々な災害対策を適用することで、マルチハザードにも備えることができる。

図1 鹿島グループの水災害対策トータルエンジニアリングサービス
図2 洪水による浸水深の解析例
図3 重要度に応じた止水ラインの検討:3つの止水ライン
図4 台風襲来時タイムライン
図5 対策案の評価
図6 ガラススクリーン止水壁による圧迫感の軽減、浸水時に自動開錠する避難口システム
図7 タイムラインのスパイラルアップ

脚注
(注1)5万分の1~2.5万分の1の地形図には表現されないような地表面の微細な凹凸。
(注2)外水氾濫は、河川の水が堤防から溢れたり、堤防の決壊箇所から流出したりすることで生じる。内水氾濫は、河川水位の上昇や急激な降雨により河川外に降った雨を排水出来ないことで生じる。

出典・関連情報

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