壁面緑化による街路空間の温度低減

清水建設株式会社

業種:建設業

掲載日 2024年02月21日
適応分野 国民生活・都市生活

会社概要

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清水建設株式会社は1804年に創業され、パイオニア として多くの「日本初」の建設の実績を積み重ね、3世紀目を迎えた現在のビジネスは世界各地に及んでいる。地球社会への貢献を第1の経営理念として掲げ、温暖化への適応において、他に水位制御等の優れた土木技術を駆使したインドネシアの泥炭地の乾燥による作物減少を改善するプロジェクトを含む多数のプロジェクトを展開している。

気候変動による影響

ヒートアイランド現象は、地表面被覆の人工化、都市形態の高密度化、人工排熱の増加により、郊外に比べて都市部に高温域が形成される現象である。近年、都市部において、気候変動による気温上昇にヒートアイランド現象が加わり、暑熱環境の悪化が都市生活に大きな影響を及ぼすことが懸念されている。街路空間において人は、日射だけでなく壁面や路面からも放射熱を受けており、これらを遮蔽・抑制する適応策を講じる必要がある。

適応に関する取り組み

当社は街路空間の温度低減を目指して、建物表面の緑化による温度抑制効果の検証を行った。例えば壁面緑化を実施した場合、コンクリート壁と比べると培土と植物の蒸散効果により、夏の昼間に40〜50℃に上がる壁面温度を30℃前後に抑制することを実証した。その結果をもとに現在、以下の壁面緑化システムをソリューションとして、オフィスビルや学校、マンション、商業・生産施設向けに提供している。

「つる自慢®」

施工コストを抑え、メンテナンスが容易な建物の壁面緑化システム(図1)。壁面緑化パネルと植栽 ユニットを外壁前に設置することで、壁をすぐに緑化できる「登ハン型緑化システム」と屋上プランターより植物を垂らして緑化する低コストで管理の容易な「下垂型緑化システム」がある。ツル伸長防止板の使用により管理手間を大幅に削減できる。

「パラビエンタ®」(壁面緑化)

ビルの壁面を緑で自由にデザインできるユニット型の壁面緑化システム(図2、図3)。熱融着培土という保水性・排水性に優れ、耐久性の高い固化培土を使用することで、多様な植物を確実かつ永続的に生育させることができる。壁面の温度低減や遮音効果にも優れ、都市環境の改善に寄与する。

効果/期待される効果等

施設の壁面緑化による植物の蒸散作用と遮熱効果 により、建物表面から建物内へ流入する熱量を削減する効果が見られた(図4)。また、建物の表面温度の低減、壁面緑化前の地表面温度の低減(図5)、壁からの熱放射量の低下によって壁の前に立つ人への影響が低減する効果(図6)も確認された。

つる自慢®:登ハン型システム(左)と下垂型システム(右)
図1 つる自慢®:登ハン型システム(左)と下垂型システム(右)
図2 パラビエンタ®(壁面緑化):ユニット構成(60cmタイプ)
図2 パラビエンタ®(壁面緑化):ユニット構成(60cmタイプ)
パラビエンタ®(壁面緑化):緑化壁面の熱画像例
図3 パラビエンタ®(壁面緑化):緑化壁面の熱画像例
図4 緑化による壁面温度の低減
壁面表面温度と地表面温度を低減
図5 壁面表面温度と地表面温度を低減
図6 壁の前に立つ人への影響も低減
出典・関連情報

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