シートの壁で豪雨の建物浸水を抑制「デルタパネル」

太陽工業株式会社

業種:製造業 / 建設業

掲載日 2024年3月22日
適応分野 自然災害・沿岸域

会社概要

太陽工業株式会社

太陽工業株式会社は、軽くて丈夫な「膜」の特性を活かし、建築の分野はもとより土木や物流分野、さらには環境分野などで事業を展開する膜構造のリーディングカンパニーである。

気候変動による影響

近年、気候変動の影響で記録的な豪雨や台風が発生し、各地で避難勧告を伴う水害が多発している。従前から様々な対策が各自治体等で取られていたが、ここ数年の被害は想定を大きく超えることもあり、水害への対策が不足していると言わざるを得ない状況である。

適応に関する取り組み

当社は、ゲリラ豪雨などによる建物への浸水が予想される際に、建物の出入り口を膜素材で帯状にガードすることにより浸水被害を抑制する水防ツールとして「デルタパネル」を開発し、2020年8月より製造・販売している。

「デルタパネル」は、軽量で耐久性に優れた防水シートに加え、アルミフレームやパイプ、メッシュシートなどで構成され、構造的にも安定した三角の断面(特許出願中)を形成する事で、増水による水圧に対抗することが可能である(図1)。

シート製のパネルを連結し、パイプをセットするだけで完成し、パネル単体でも構造的に自立するため、壁と扉の間の距離を保つことができる(図2)。また、使用しないときはパイプを抜き取り、折りたたんで巻とることができる(図3)。

効果/期待される効果等

従来の土のうによる対策と異なり、土の袋詰めや土のうの積み上げ作業が無いため作業時間が従来の約10分の1となった(注)。また、パネル単体でも自立するため、壁や扉との間に距離を保つことができ、建物への出入りが可能となる。さらにパネルを横に連結する事で広い開口部にも対応し、高さ50cmまでの浸水被害を抑制する。

デルタパネルのメカニズム
図1 デルタパネルのメカニズム
扉を塞がず止水でき、広い間口にも対応
図2 扉を塞がず、広い間口にも対応可能
非常時以外は折り畳んで場所いらず
図3 非常時以外は折り畳んでコンパクトに収納

脚注
(注)太陽工業株式会社での実作業を基にした概算値。設置する高さ約45cm、長さ4m、作業員2名を条件とし、「土のう」の場合は土を袋に封入し、積み上げる作業にトータルで約100分を要すると見込んでいる。

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