気象データを活用した広告サービスの提供
株式会社ルグラン
業種:情報通信業、学術研究、専門・技術サービス業
掲載日 | 2024年5月10日 |
適応分野 | 産業・経済活動 / 国民生活・都市生活 |
会社概要

株式会社ルグランは、運用型広告のパイオニア「オーバーチュア」の立ち上げメンバーにより設立されたデジタルエージェンシーである。デジタルマーケティング領域において18年の経験・実績を持つルグランは、データドリブンなUXデザインをテーマに、国内外の企業のDX推進やマーケティング戦略の立案・実施を支援している。2017年には気象データを活用したサービス「TNQL(テンキュール)」を開発し、これまでに約26万人のユーザーをもつ一方、2022年には気象連動型広告配信ツール weathermarketing.net (特許取得済)を開発し、ポストクッキー時代に対応した新たな広告体験の創造に取り組んでいる。
気候変動による影響
近年の気候変動によって変化する「気象」は、消費者の行動にも大きな影響を及ぼしている。消費者の購買意欲や気分も天気によって変わり、世の中にある製品やサービスの約30%は気象によって売上が変わると言われている。
適応に関する取り組み
当社は、気象データを活用した1人ひとりのTPOや好みにあわせた商品やサービスを推奨する気象連動型広告配信ツール「weathermarketing.net®」を開発し、2021年7月より提供している(注1、図1)。
weathermarketing.net®には、3つの特徴がある。
- 天気に合わせた広告の配信(図2)
1時間毎に更新される日本全国約37万地点の気象データにもとづき、ユーザーの所在地や店舗・施設の天気に合わせて、配信する広告の出し分けや、オン・オフを自動で管理できる。
- メジャーな媒体との連携
weathermarketing.net®を使えばGoogleやYouTube, Yahoo! Facebook・Instagram, GeoLogicなど、メジャーな広告媒体で気象に連動した広告の配信が可能である。
- 様々なパターンの天気に対応
24時間前から48時間先までの気温・降水量・湿度・風速、前日との気温差、7日先までのまとめ天気・最高/最低気温・降水確率、花粉など、様々な気象パターンに応じた広告配信条件を設定できる。
2024年4月からは、weathermarketing.net®とスマートフォン位置情報広告を提供する株式会社ジオロジックの「GeoLogic Ad」と連携させた天気連動型広告の提供を開始している。例としては、店舗や施設の周辺で雨が降っているタイミングで雨の日クーポンの広告クリエイティブへ自動的に切り替えて、店舗周辺にいる人々の来店を促すことを可能にするものである。
また当社は、気象ビッグデータを分析し、天気や気温の変化に合わせてユーザーの好みに合ったコーディネートを提案するファッションテックサ―ビス「TNQL(テンキュール)」を2017年より提供しているが、さらにウェブサイトやアプリに実装できる「TNQL API」を開発し、2020年より提供を開始した。
TNQL APIは、商品の売上高・来店数やユーザーの閲覧・購買履歴と気象データの相関関係をAIが学習し、天候とユーザーの行動履歴に応じた商品やサービス、お薦めの情報などを企業サイトやアプリ上で表示するAPI(注2)である(図3)。TNQL APIには、無料版と有料版の2種類があり、天候ドリブンマーケティングを実現させている。
無料版 | 有料版 | |
---|---|---|
位置情報 | 日本国内の都道府県県庁所在地や主要空港など、予め指定された約300箇所の地点 | GPSから取得するユーザーの位置情報や、施設・店舗など日本および世界の「任意」の地点 |
サービス内容 | ・最新の天気予報と、天気にマッチしたコーディネートをお勧め ・自社のウェブサイトやアプリ上で、気象データの活用方法や効果などを気軽に検証することが可能 |
・最新の天気予報と、天気にマッチしたコーディネートをお勧め ・天気に合わせて、自社の商品やコンテンツをお勧めしたい場合は、別途カスタマイズ版APIを提供 |
当社は、これらのサービスの他にも、屋外広告を専門に取り扱う株式会社ヒットと、ヒットが共有するデジタルボードに、リアルタイムの天気に合わせて広告を配信する新たな仕組み「HITウェザー」を開発し、サービスを提供している。
効果/期待される効果等
weathermarketing.net®の活用により、天候に応じた消費者のニーズへタイムリーかつ関連性の広告を配信することで、マーケティング効果の最大化が期待される。例えば、雨が予報された日には、傘やレインコート、室内で楽しめるサービスの広告を強化し、暑い日には、冷たい飲料やエアコン、夏のレジャー用品の広告が効果的となる。 TNQL APIによる最新の天気予報やコーディネート提案は、メディアやアプリのユーザー数・Webページの閲覧数の増加が期待され、様々なビジネスチャンスを創出する。TNQL APIを導入した大手格安航空会社では、航空券の予約に加え、旅先の天気予報やコーディネート案をチェックしながら、旅行の計画を立てることが可能となり、ユーザーの利便性も向上している。



脚注
(注1)2022年3月特許取得(第7032719号)
(注2)API:Application Programming Interfaceの略称で、あるソフトウェアの機能を別のソフトウェアから呼び出す仕組みのこと。
自社関連サイト