自然災害に対する「国土強靱化」ソリューション

日本製鉄株式会社

業種:製造業

掲載日 2024年8月19日
適応分野 自然災害・沿岸域

会社概要

日本製鉄グループは日本製鉄株式会社を中核とした、国内第1位、世界第4位の生産量を誇る鉄鋼メーカーグループである。当グループは製鉄事業を中核事業として、鉄づくりを通じて培った技術をもとに、エンジニアリング、ケミカル&マテリアル、システムソリューションの4つの分野で事業を推進している。

気候変動による影響

気候変動により海面水位の上昇や、極端な気象事象の発生頻度や強度の増加、強い台風の増加が生じている。その結果、河川の洪水や内水、土砂災害の発生頻度が増加し、また高潮・高波の頻発化や激甚化が発生している。

適応に関する取り組み

気候変動への適応は当社グループにとってのビジネスチャンスととらえ、異常気象等の自然災害に対するインフラの強靭化に貢献している。以下に製品例を紹介する。

●堤防機能を保持する鋼矢板(注1)

ハット形鋼矢板(河川堤防の液状化対策・基盤漏水対策や、海岸堤防の津波対策等で幅広く「国土強靱化(注2)」に貢献)(図1、図2)、直線形鋼矢板(継手部の引っ張り強度が高く、円形構造物であるセル形岸壁、砂防ダム、締切工事等に適し、豪雨や台風に対抗するための砂防・地滑り対策に貢献)、またこれら鋼矢板を活用した沈下対策鋼矢板工法等、幅広い土木分野の製品と製品活用技術を開発し、提供している。

●土石流災害を防ぐスリットダム

「鋼製スリットダムB型」は、渓流や谷の出口に設置し、土石流発生時に巨礫や流木を捕捉して下流域における人命・財産・インフラなどを守る(図3、図4)。川の流れを遮蔽せず、平常時は細かい砂などを下流に流すことで、自然の地形や流域の生態系を保全でき、環境面にも強みを発揮する。 2018年に国土交通省と林野庁が警戒避難対策とあわせ、土石流・流木対策に透過型堰堤(スリットダム)を積極的に採用する基本方針を打ち出したことから、今まさに出番を迎えている。

上記の製品をはじめ、当社グループは「国土強靱化」に資する技術・製品メニューの拡充を図るとともに、施主(国、地方公共団体等)や設計コンサル等に対する提案活動を実施しており、当社グループの技術・製品の採用が進んでいる。

効果/期待される効果等

当社の製品は堤防等の公共インフラ等の素材として長期にわたり使用され、集中豪雨や台風等に伴う洪水や高潮、土石流災害から街を守る等、「国土強靱化」ソリューションの提供に貢献している。

図1 ハット形鋼矢板
図2 液状化や津波・洪水による堤防崩壊を防ぐ鋼矢板二重壁工法のメカニズム
図3 鋼製スリットダムB型
図4 土石流中の巨礫・流木捕捉

脚注
(注1) 鋼矢板とは、土木建設の工事現場で土留めの仮設工事用囲いなどに使用する形鋼の一種。工事予定地盤に打ち込み壁を構築することで、水圧や土圧を防御し、土砂や地下水、海水などの流出入や漏洩を防止する。
(注2) 国土強靭化とは、大規模災害時に、人命を守り、経済社会への被害が致命的にならず、迅速に回復する「強さとしなやかさ」を備えた国土、経済社会システムを平時から構築していくこと。

出典・関連情報

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