気候変動リスクによる財務インパクト算定

東京海上日動火災保険株式会社

業種:金融業、保険業

掲載日2024年9月9日
適応分野産業・経済活動

会社概要

東京海上日動火災保険株式会社は、東京海上ホールディングスの中核事業である国内損害保険事業を担う会社である。

気候変動による影響

気候変動は、お客様や社会の安心と安全に脅威をもたらすグローバルで人類史的な課題であり、自然災害の激甚化は、企業の経営に大きな影響を及ぼす。そのため、企業はTCFD(注1)提言に基づく情報開示等を通じて、将来の気候変動が自社のビジネスに与える影響を適切に理解し、ステークホルダーとのコミュニケーションに織り込むことが求められている。

適応に関する取り組み

東京海上ホールディングスは、TCFDの創設メンバーとして、投資判断に資する情報開示を行うと共に、気候関連の情報開示の普及・促進にも貢献している。さらに、企業に対してTCFD 提言に対応した情報開示のコンサルティングを幅広く提供している。

当社は、これまで培った知見・ノウハウを結集し、気候変動による財務インパクトが算定できるシステムを開発し、「TCFD情報開示支援システムサービス」を提供している(図1、図2)。本システムは、お客様自身でシステムを利用する形態となっており、企業のGX(注2)戦略の起点となるだけでなく、TCFD提言やIFRS S2に基づく情報開示に活用できる。本システムに各拠点の住所情報や建物情報を入力するだけで、複数シナリオ下での将来年度における拠点ごとのハザードレベル、気候変動による影響額を算出できる。グローバル拠点に対してはWRI Aqueduct(注3)、国内拠点には国土交通省の浸水深データを活用したモデルを使用している。

効果/期待される効果等

本システムサービスを利用することによって、TCFD情報開示で特に重要である気候変動リスクを把握・定量評価し、将来の財務インパクトを可視化できる。また、お客様自身でシステムの試算条件等を柔軟に変更できるため、TCFD情報開示の対応のみならず気候変動に対する自社の中長期的な事業戦略の策定やリスクマネジメントの検討にも活用できる。

システムサービスの概要
図1 システムサービスの概要
システムサービスの特徴
図2 システムサービスの特徴

脚注
(注1)気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)。TCFDは、2017年6月に公表した最終報告書において、企業などに対して気候変動関連リスクと機会に関する開示を推奨している。
(注2)グリーン・トランスフォーメーション。経済成長と環境保護を両立させ、カーボンニュートラルの実現、脱炭素社会へ早期に移行するために必要な変革。
(注3)世界資源研究所(WRI: World Resource Institute)が提供する水リスクの特定・評価ツール。

自社関連サイト

ページトップへ