熱中症対策に用いる暑さ指数(WBGT)測定器
鶴賀電機株式会社
業種:製造業
掲載日 | 2024年12月19日 |
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適応分野 | 健康 / 国民生活・都市生活 |
会社概要
鶴賀電機株式会社は、電気計測器メーカーとしてお客様の要望にお応えできる製品を供給するとともに、新しい技術を取り入れた計測機器の開発や協業を含めた総合システム機器の製作を通じて、エネルギー・環境計測分野での環境改善や適応に寄与すべく「安全・安心でサステナブルな社会」の実現に取り組んでいる。
気候変動による影響
近年は猛暑による熱中症事故が増加しており、環境省・気象庁の提供する熱中症警戒アラートが法定化され(注1)、学校・労働現場・スポーツ施設・イベント会場などでの熱中症対策が急務となっている。熱中症は、急に暑くなる5月頃から増えはじめ、残暑の終わる10月頃まで発生している。熱中症の最初の兆候は分かりにくいと言われており、対応が遅れると命に関わるため、リアルタイムの暑さ指数(WBGT、注2)と熱中症危険度を知り、早い対応策を取る必要がある。この暑さ指数(WBGT)の測定は、正確で簡便であることが必要であり、さらに熱中症危険度の告知は判りやすく複数者が一度に認識できることが望まれる。
適応に関する取り組み
鶴賀電機は、熱中症対策を支援する暑さ指数(WBGT)測定器を製造・販売している。当社の暑さ指数(WBGT)測定器は、JIS規格(JIS B 7922:2023 CLASS1.5、注3)に準拠しており、①測る ②知らせる ③記録する ④制御するといったニーズに即した製品の組み合わせにより、さまざまな暑熱環境での暑さ指数(WBGT)の測定システム(図1)を構築し、確かな測定と簡単な取扱いで、熱中症危険度の監視に貢献している。
①測る
- 大形WBGT表示器(注4):高輝度ドットLED表示のため、直射日光下や遠方からの視認性が高く、屋外・屋内で使用できる常時監視可能なベーシックモデル。大形表示器の特性を活かし、同時に多くの人に注意喚起が可能である。出力付のため、ユーティリティソフトで測定データの監視、記録、メールにて熱中症危険度を告知することも可能となっている。
- 無線式大形WBGT表示器(注5):ワイヤレスタイプの大形WBGT表示器で、煩わしい配線作業が不要となっている。測定場所から離れた場所で測定値を表示でき、また、測定器1台で複数の表示器を同時に表示させることも可能となっている。
- 汎用大形WBGT表示器(注6):単純機能化で高いコストパフォーマンスを実現した。WBGT・周囲温度・湿度を循環表示できる。また、センサを取り外し可能で持ち運びおよび収納が容易となっている。
- 小形WBGTトランスミッタ(図2):IoT/クラウド広域通信対応用の製品でLPWA通信(注7)にて測定データを広域通信網やクラウドに送信でき、また有線通信にも対応可能である。JIS規格 JIS B 7922 :2023 CLASS1.5準拠の設置型でありながら従来機種より大幅にサイズダウンしており、屋外・屋内を問わず複数の様々な箇所に設置可能となっている。
②知らせる
- 熱中症警戒WBGT表示パネル(注8):現在のWBGTを熱中症予防指針にダイレクト表示する。リアルタイムの熱中症危険度と熱中症対応策が一目瞭然であり、測定掲示する手間がなくなっている。また測定器1台で複数の表示器へ同時に表示させることが可能である。
- 熱中症危険度 表示パネル(図2、注9):リアルタイムの暑さ指数(WBGT)と周囲温度を文字高さ100mmの高輝度LEDで大きく表示する。さらに現在の危険度を顔マークで熱中症予防指針上に表示する。リアルタイムの熱中症危険度といま取るべき熱中症対策がひと目でわかるため、学校関連、各自治体、各企業の事業所に数多く普及しつつある。
- ユーティリティソフト:WBGT表示器の測定データを基に「グラフ」表示し、熱中症予防指針と連動した「熱中症危険度」を表示する。電子メールによる「熱中症警報メール」を配信するほか、記録データを任意フォルダにCSV形式で自動保存できるようになっている。
③記録する
- WBGTデータロガー(注10):PC不要で暑熱環境を常時測定・記録できる。最大約3ケ月まで連続記録可能であり(外部電源式)、記録データの外部書き出しにはメモリーカードを使用する。電源はAC100V・DC12V・充電池も使用可能なため、電源の取れない場所でも測定・記録可能であり、オプションの外部出力で大形表示器やWBGT警告灯が使用でき、記録しながら熱中症注意喚起が可能となっている。
- ユーティリティソフト:②知らせる と同様。
④制御する
- WBGTトランスミッタ(注11):ローコストで屋外・屋内を問わず簡単に設置できる。長期設置計測に好適であり、専用ソフトとの組み合わせで簡単に熱中症の警戒と記録が可能となっている。機器制御用のセンサとしても好適である。
- 小形WBGTトランスミッタ:①測る と同様。
- WBGTディジタルメータリレー(注12):暑さ指数(WBGT)に対して最大5段階の比較出力が得られ、より体感温度に近い暑さ指数で機器の制御が実現できる。暑さ指数制御による空調機器のECO運転、効率化のセンシング機器として好適であり、ミスト噴霧の自動制御、熱中症の注意喚起を目的とした防災放送、警告灯等の動作リレーとしても使用可能となっている。
効果/期待される効果等
当社のJIS規格に適合したWBGT指数計(WBGT測定器)を労働現場・スポーツ施設・学校(図3)などに設置して用いることにより、手間をかけずに正確でタイムリーな熱中症の注意喚起が行える。さらに自動測定・自動表示・自動記録のため煩わしい巡回測定や告知作業から解放され、熱中症事故発生時の環境確認にも役立つ。また機器制御出力も可能なため、空調システム等と連動させ、安全でECOな環境改善も実現することも可能である。
脚注
(注1)令和5年の気候変動適応法(平成30年法律第50号)の改正により、「熱中症警戒アラート」が「熱中症警戒情報」として法律に位置づけられるとともに(通称:熱中症警戒アラート)、より深刻な健康被害が発生しうる場合に備え、一段上の「熱中症特別警戒情報」が創設され(通称:熱中症特別警戒アラート)、令和6年4月24日より運用を開始している。
(注2)暑さ指数(WBGT):WBGT値は熱中症に有効な指標とされ、 暑熱環境下(日常生活・スポーツ・建設現場など)の 熱中症予防対策に活用できる。WBGTの値は 乾球温度・湿球温度・黒球温度の値から算出する。
(注3)JIS規格:日本産業規格。産業標準化の促進を目的とする産業標準化法に基づき制定される任意の国家規格のこと。
(注4)型番:401A
(注5)型番:402B-12/402B-17
(注6)型番:401E
(注7)LPWA通信:LPWAは、Low Power Wide Areaの略で、低消費電力かつ広域・長距離通信を特徴とする無線通信技術のこと。小形WBGTトランスミッタでは、LoRaWAN・Sigfox(Sub-GHz帯、Ultra Narrow Band方式の無線技術で、通信速度はおよそ100bps、通信距離は最大およそ50キロメートル)に対応している。
(注8)型番:402B-23/402B-28
(注9)型番:TC-797
(注10)型番:401F
(注11)型番:401D
(注12)型番:452W
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