気候変動の影響による感染症増加を防ぐ
住友化学株式会社
気候変動による気温上昇等が、感染症媒介生物や宿主生物の分布域、生息域を変化・拡大させ、従来発生がなかった地域での感染症が拡大するなどにより、患者数が増加する懸念がある。住友化学は、マラリア撲滅に貢献するために、マラリア防除用蚊帳「オリセットRネット」を開発。2001年には世界保健機関(WHO)から世界で初めて長期残効型防虫蚊帳としての効果が認められた。気候変動の影響による感染症増加を予防すること等が保健・衛生分野の適応策となる。
掲載日 | 2017年3月13日 |
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適応分野 | 健康 |
会社概要
1913年、愛媛県新居浜市の別子銅山で銅の製錬の際に生じる排ガス煙害を解決するため、その原因である亜硫酸ガスから肥料を製造することを目的に設立された。現在、100を超えるグループ会社とともに、石油化学、エネルギー・機能材料、情報電子化学、健康・農業関連事業、医薬の5分野にわたり、幅広い産業や人々の暮らしを支える製品をグローバルに供給している。
適応に関する取り組み
気候変動の影響による感染症増加を防ぐ
【製品・技術】
もともとは工場の虫除けの網戸として使われていた技術を、マラリアに苦しむ人々のために役立てられないかと考え、研究開発を積み重ねた結果、ポリエチレン樹脂に防虫剤を練りこみ、薬剤を徐々に表面に染み出させることで繰り返し洗濯をしても防虫効果が長期間持続する蚊帳「オリセット®ネット」を開発。
【活動内容】
気候変動の影響により蚊の繁殖エリアが拡大し、蚊が媒体する感染症の増加が懸念される地域において、「オリセット®ネット」を販売。タンザニアのA to Z社に製造技術を無償供与し、2003年9月には現地生産を開始した。さらに拡大する需要に対応するため、A to Z社とJVで「オリセット®ネット」生産会社を設立。この事業を通じて最大7000人の現地雇用を生み出すなど、地域経済の発展にも貢献している。2010年には、アジアの生産拠点と合わせて年間最大6000万張の生産体制を構築。現在、世界基金(The Global Fund)、国連児童基金(UNICEF)などの国際機関を通じて80か国以上の国々に提供されている。さらに、2011年以降はケニアやアジア諸国のスーパーマーケットを通じて、一般消費者向けの販売を開始し、多様な販売チャネルの開拓にも注力している。
『経済産業省「平成28年度途上国における適応分野の我が国企業の貢献可視化事業」より作成』