「気候変動適応情報プラットフォーム(A-PLAT)」は、気候変動による悪影響をできるだけ抑制・回避し、また正の影響を活用した社会構築を目指す施策(気候変動適応策、以下「適応策」という)を進めるために参考となる情報を、分かりやすく発信するための情報基盤です。

遠隔監視システムを用いた分散型給水システムの導入による安全な飲料水の確保

三菱ケミカルアクア・ソリューションズ株式会社
(旧 株式会社ウェルシィ)

業種:製造業
更新日 2022年5月24日
掲載日 2018年1月19日
適応分野 水環境・水資源

会社概要

三菱ケミカルアクア・ソリューションズ株式会社ロゴ

三菱ケミカルアクア・ソリューションズ(旧 ウェルシィ)は、「地下水膜ろ過システム」を用いた地下水飲料化ビジネスのパイオニアかつリーディングカンパニーである。2021年12月現在、日本国内では病院やホテル、商業施設など1,300ヶ所以上にシステムを納入。海外では、地下水利用や膜ろ過技術に限定せず、安全な飲料水の確保に関する現地ニーズに合った最適な水処理装置を提案する。これまでに、ケニアの農村部では電気を使わずに水をろ過する緩速ろ過装置を、また電化された都市部では膜ろ過システムを導入し表流水の飲料化を行っている。同社の水処理システムには自社開発の遠隔監視システム(WeLLDAS™)が搭載されており、日本国内はもちろん、海外に納入した水処理システムの稼働状況の確認、水質変動への対応や蓄積データの活用による維持管理業務の最適化に寄与している。

気候変動による影響

近年、気候変動の影響等により東南アジアやアフリカ諸国では表流水の水質変動等の事例が散見される。雨季になると降雨の影響で河川水の濁度が上昇するが、豪雨となり高濁化する頻度が増す、乾季になるとその表流水に海水が遡上し塩水化するなどである。しかし、当該諸国では、急激な人口増加に上水道整備が追い付かず十分な量の飲料水が確保出来ていないことから、こうした水源のほか未処理の井戸水など、飲料に適さない水に頼るほかない状況となっている。

適応に関する取り組み

同社の分散型給水システムは、導入する施設ごとに水処理と給水を行う小~中規模の専用水道であり、集中型浄水場の給水配管網に比べて配水に必要なエネルギーが少ない(図1)。

同社は、上記のような地域での安全な飲料水の確保を目指し、塩水化傾向にある河川水の浄化に取り組んでいる。ミャンマーでは、1年を通して安全な飲料水を供給できるよう、雨季の高濁度と乾季の塩水化の両方に対応できる水処理システムを導入した(図2)。システムにはWeLLDAS™を搭載し、ミャンマー、日本の両国からシステムの稼働状況や水質をモニタリングする体制を構築している。

効果/期待される効果等

上記の取組により、飲料に適する水を供給できていなかった地域に基準を満たす水を供給することが可能となった。

分散型給水システムの概要図
図1 分散型給水システムのイメージ図
ミャンマーに導入した水処理システム
図2 ミャンマーに導入した水処理システム