「バイオサイクル」で持続可能な農業に貢献
味の素株式会社
更新日 | 2018年7月23日 |
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掲載日 | 2018年2月16日 |
適応分野 | 農業・林業・水産業 |
農業が基幹産業である多くの途上国では、気候変動の影響で耕作可能な農地が減少し、穀物生産量の減少が懸念される。
味の素グループは、資源循環型生産モデル「バイオサイクル」を運用することで、耕作可能な農地の選択肢を広げ、農産物の品質改善と農地の収穫量増加により収益性の向上を可能とし、更に、化学肥料(窒素分)利用の削減、製造部門のCO2排出量削減、また生産過程の廃棄物縮減を実現している。
会社概要

1909年創業のグローバル食品メーカー。調味料・加工食品のほか、アミノ酸を起点とし先端・バイオファイン技術を軸として、飼料・医薬・化成品に事業領域を拡大している。アジア、欧州、米州など9ヵ国18工場における発酵生産するアミノ酸の生産規模は世界最大級。1960年代より世界各地で「バイオサイクル」を導入するなど、持続可能な、自然資本の回復・増強型の生産、サプライ/バリューチェーンの構築を推進している。
2016年にエコプロダクツ大賞農林水産大臣賞を受賞。2004年より「FTSE4GOOD」、2014年より「DJサステナビリティ指数」に継続的に選定されている。
適応に関する取り組み
【製品・技術】
- バイオサイクル:
- 農作物から低資源利用発酵技術でアミノ酸を取り出した後に残る栄養豊富な副生物 (コプロ)を、肥料や飼料として地域内で99%有効利用する地域循環の仕組み。ブラジルでは、製糖工場から購入した糖蜜からアミノ酸を生産する過程で生じたコプロを有機肥料に加工してサトウキビやブドウ畑に還元、サトウキビやブドウが再び生育し資源循環のサイクルが繰り返されている。
- 低資源利用発酵技術:
- 先端バイオ技術を活用し糖等の原料の利用量や排水量を削減する低資源の循環発酵技術。
【活動内容】
味の素グループは、アミノ酸原料を地域で安定的に調達するため1960年代より「バイオサイクル」を世界各地の工場で実践、同社世界最大規模のブラジル工場においても、進出した操業開始の頃より導入した。
「バイオサイクル」は資源を循環し自然資本を回復・増強するビジネスモデルである。ブラジルでは、アミノ酸発酵工程由来の副生物(コプロ)を飼料や有機肥料として地域農家に販売し農地に還元することで99%再資源化に成功した。2012年5月には、バイオマスボイラーを導入し、搾りかす(バガス)を燃料とする「燃料のバイオサイクル」へと拡大、2014年には工場で使うエネルギーの約40%をバイオマス燃料で安定調達している。

上図は味の素グループが1年間で世界確定で生産するうま味調味料「味の素®」を50万として、その原料がすべてサトウキビと仮定して表したモデル

『経済産業省「平成29年度気候変動適応効果可視化事業(途上国における適応分野の我が国企業の貢献可視化事業)」より作成』