コンポスト土壌改良材による収穫量の向上
株式会社カワシマ
掲載日 | 2018年2月16日 |
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適応分野 | 農業・林業・水産業 |
頻発する干ばつ等による水不足の深刻化により、農産物への被害が増大し、食糧自給率が低下している。また、貧困率が高く、就業人口の多くを農民が占める途上国では、干ばつ等の影響を受けやすい脆弱な環境下で、農業の生産性向上が社会政策的にも喫緊の課題となっている。コンポスト(堆肥)プラントの導入による、家庭ごみと農業廃棄物から良質の堆肥を生産して有機肥料供給体制の構築を支援する事業は、土壌を改善しながら収穫量を回復させ、食糧の供給における適応策と貧困問題の解決に貢献するものである。
会社概要
株式会社カワシマは、1987年創業、2000年にコンポストプラント「RA-X」を開発し、その製造販売を行っている。循環型社会を目指して、地球にやさしい技術をご提供することをミッションとしている。
適応に関する取り組み
【製品・技術】
- コンポストプラント「RA-X」:
- スクリュー型自動撹拌装置で、有機性廃棄物を撹拌して空気を均一に通して、持続的に高温好気性発酵させて良質のコンポスト(堆肥)を効率的に製造する。維持管理が容易で費用も安い。
- 「BX-1」:
- 米ぬかを主原料とする汚泥や糞尿を無臭堆肥化する有効微生物飼料。堆肥の発酵を促進するとともに発酵中の悪臭を抑制する。
「RA-X」と「BX-1」は ともにカワシマの独自技術であり、「RA-X」は特許(特許番号:3607252)を取得している。また、両技術を利用したプロジェクトが2011年にクリーン開発メカニズム(CDM)プロジェクトとして登録された。
【活動内容】
スリランカ国では、経済の発展、生活の多様化等により、家庭ゴミの排出量が増加している。家庭ゴミは、ゴミ処分場で、開放投棄により処理されているが、悪臭・衛生・地下水汚染の問題が発生、残余年数も少なくなっている。家庭ゴミの約55%は、有機性廃棄物である生ゴミである。生ゴミを減容化する効果的な方法は、好気性発酵させてコンポストにしてリサイクルすることである。 そこで、平成25年度に独立行政法人国際協力機構(JICA)の「中小企業海外展開支援事業―普及・実証事業」に採択され、2017年4月に竣工。その後、スリランカ政府に追加で9台納入した。
株式会社カワシマが日本で機器を製造し現地政府向けに輸出、現地の提携企業がメンテナンス、運転管理、施工監理等を行う。
【成功の要因・さらなる展開に向けた課題】
新技術の導入では必ず実績を求められることから、JICAの普及・実証事業を通した支援は必須だった。同事業で、現地政府と関係を構築し、技術的・経済的優位性を実証したことが事業化につながった。中長期的には、アジアへの事業展開を計画している。