「気候変動適応情報プラットフォーム(A-PLAT)」は、気候変動による悪影響をできるだけ抑制・回避し、また正の影響を活用した社会構築を目指す施策(気候変動適応策、以下「適応策」という)を進めるために参考となる情報を、分かりやすく発信するための情報基盤です。

オゾンを利用した水質浄化システムによる安全な水資源の確保

日揮株式会社

業種:建設業
掲載日 2018年5月9日
適応分野 水環境・水資源

会社概要

日揮株式会社ロゴ

日揮(英名:JGC CORPORATION)は、1928年の設立以来、世界各地で石油、天然ガス、石油化学、LNGプラントなどのオイル&ガス分野を中心に、発電プラント、非鉄金属プラントなどのエネルギーインフラ分野、産業インフラ分野や、医薬品工場、病院、環境施設などの社会インフラ分野に至る幅広い分野でプラント・施設を建設。世界でも屈指のエンジニアリングコントラクターとして評価されている。

適応に関する取り組み

富栄養化が進行している池や湖沼では、水面が緑の粉で覆われた状態になることがある。この現象はアオコと呼ばれ、特に水温が上昇する夏季に見られる。アオコは藍藻が大量発生したもので、周囲では異臭が発生し、この水を飲料水の原水として使用すると、ろ過装置の障害や異臭味を引き起こす原因となる。また、藍藻の中には有毒物質を生成するものがある。気候変動が進行し、湖沼の水温が上昇したり降雨のない期間が長くなったりすると、現在アオコが発生している湖沼では発生期間が長期に渡り、これまではアオコの発生が認められていなかった湖沼でも発生が懸念される。

アオコが発生した湖沼の様子
アオコが発生した湖沼

日揮は、アオコが発生した中国・太湖において、オゾンを用いた浄化装置による浄化実証プロジェクトを2008年に実施した。浄化装置で発生したオゾンにより難分解性COD(化学的酸素要求量:Chemical Oxygen Demand)を易分解性CODに分解し、さらに反応したオゾンは酸素となる。高濃度の酸素を含んだ処理水を貧酸素状態の湖沼に戻すことにより、湖沼は好気化され自然浄化能力が回復し易分解性CODは湖沼内の微生物が浄化する。また富栄養化物質を含んだアオコは浮上分離してスカムとして回収する。装置を設置してから3週間後には、飲料水源として使用できる水質まで浄化することに成功した。

3週間にわたるアオコが発生した中国・太湖での水質浄化実証プロジェクト
中国・太湖での水質浄化実証プロジェクト

日揮は、気候変動の進行に伴い長期に渡りアオコ発生のリスクがある地域に対して、オゾンを利用した浄化システムを提案し、安全な飲料水源の確保への貢献が可能である。