感染症対策となるバイオ医薬品製造に向けた
動物細胞大量培養技術/バーサスリアクター®

日揮株式会社

業種:建設業
掲載日 2018年5月9日
適応分野 健康

会社概要

日揮株式会社ロゴ

日揮 (英名:JGC CORPORATION) は、1928年の設立以来、世界各地で石油、天然ガス、石油化学、LNGプラントなどのオイル&ガス分野を中心に、発電プラント、非鉄金属プラントなどのエネルギーインフラ分野、産業インフラ分野や、医薬品工場、病院、環境施設などの社会インフラ分野に至る幅広い分野でプラント・施設を建設。世界でも屈指のエンジニアリングコントラクターとして評価されている。

適応に関する取り組み

気候変動による気温の上昇や降水の時空間分布の変化は、感染症を媒介する生物の生息可能域の分布を変化させ、新たな地域への感染症の拡大により患者数が増加する懸念がある。温暖化によって拡大する可能性があるマラリア・日本脳炎・デング熱等に対する感染症予防ワクチンの安定製造や迅速な供給体制の構築が実効的な適応策となる。

バイオ医薬品である感染症予防ワクチンは、弱毒化もしくは不活化された病原体(抗原) を体内に接種して、人の持つ免疫機能を利用して予め体内に抗体を作らせることで、真の病原体からの感染を受けても、それに打ち勝つ免疫を獲得させるものである。その製造方法は発育鶏卵を用いた鶏卵法やマウス等の動物を用いた動物接種による培養が主流であった。一方、細胞培養法によるワクチン製造は、発育鶏卵や動物による抗原の増殖を培養細胞による増殖に置き換えたものであり、人為的なコントロールが可能な培養細胞により安定した製造が実現することで、有効性のあるワクチンの製造期間短縮が可能となり、タイムリーなワクチン供給に寄与する。蚊が媒介するため気候変動によって増加する予測もある日本脳炎やデング熱などの感染症用ワクチンは、この細胞培養法により製造が行われている。

日揮は1991年に技術研究所内に動物細胞培養設備を設置以降、動物細胞培養における様々な要素技術の開発、培養槽設計情報の収集を行っており、それらの知見をもとにスケールアップ技術、コンピュータシミュレーション技術を駆使して動物細胞大量培養装置の最適設計・製作を行う体制を整えている。更に、この長年の技術蓄積をもとに、新型の動物細胞培養用バイオリアクターである「バーサスリアクター®」(*1)を佐竹化学機械工業株式会社殿との共同開発で完成させた。こうした実績から、気候変動の影響により新たに感染症対策が必要となる地域へ、バイオ医薬品の早期・安定製造や製造プロセスの改善を通じて、感染症増加の予防に貢献することができる。

(*1)バーサスリアクター®
当社と宮崎県工業技術センター殿で共同開発したマイクロバブルの均一分散による高効率酸素供給を可能とする「シラスポーラスガラスフィルター (SPG膜) スパージャー」と、佐竹化学機械工業株式会社殿が開発した低せん断/高効率均一混合ができる上下動攪拌機「ブイムーブミキサー®」の技術融合により構成されたバイオリアクター。繊細な動物細胞にダメージを与えず、生産性の向上を追求できる。
(左)従来型バイオリアクター、(右)バーサスリアクター®
バーサスリアクター®の概念図
150Lスケールバーサスリアクター設置風景
150Lスケールバーサスリアクター®

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