気候変動による大気温度上昇を考慮した貯蔵設備からのVOC発生量予測 / 動解析シミュレーターVOCSIM®
日揮株式会社
掲載日 | 2018年5月9日 |
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適応分野 | 産業・経済活動 |
会社概要
日揮 (英名:JGC CORPORATION) は、1928年の設立以来、世界各地で石油、天然ガス、石油化学プラントなどのオイル&ガス分野を中心に、発電プラント、非鉄金属プラントなどのエネルギーインフラ分野、産業インフラ分野や、医薬品工場、病院、環境施設などの社会インフラ分野に至る幅広い分野でプラント・施設を建設。世界でも屈指のエンジニアリングコントラクターとして評価されている。
適応に関する取り組み
気候変動による平均気温上昇および日射量や気温の日変化(最高気温の上昇)は、石油製品やケミカル製品を貯蔵しているタンク等の貯蔵設備から発生する大気汚染物質 (主にVOC、Volatile Organic Compounds) を含むガス排出量を増やす要因となる。
日揮が開発した動解析シミュレーターVOCSIM® (*1) は、将来の気候変動による大気温度上昇と日射量変動の予測を踏まえVOCガス排出量を推測できる。この技術により将来の大気温度上昇や日射量変動によるVOC排出量増加分を考慮したVOC回収設備の設計を可能としている。
(*1)動解析シミュレーターVOCSIM®の概要
近年国内外において環境規制が強化され、石油製品などの貯蔵設備から排出される揮発性有機化合物(VOC)の排出量削減が義務付けられるようになった。VOC排出量削減対策の一つにVOC回収設備の設置があり、プラントオーナーの自主規制も含めてVOC回収設備の設置要求が多くなっている。
VOC回収設備を設計するためには貯蔵設備からどれだけのガスが排出されるのか、特に外気からの入熱による温度上昇由来のガス排出量を推測する必要がある。日揮は、貯蔵設備所在地の緯度、経度、日周変動、日照時間等に加え、気候変動による大気温度上昇を考慮した動解析手法を確立し、これまで困難とされていたVOCガス排出量の推測を可能とした。
本技術により、将来起こる地球温暖化の影響をVOC回収設備の設計に反映できることから、気候が変化した際の適切な設備の適応が可能となる。
VOCを含んだガス層が温度上昇による膨張で排気される。 動解析シミュレーター解析結果:ガソリンタンクから発生するVOC
- (左)温度分布、(右)流速分布 ※中央部赤線は液面位置
- ガソリンタンクから発生するVOC 発生量予測