ものづくり産業と連携した石川型低コスト高収益農業モデルの開発

東レ株式会社/石川県・公益財団法人いしかわ農業総合支援機構

業種:その他/製造業
掲載日 2019年12月20日
適応分野 農業・林業・水産業

会社概要

東レロゴ

東レ株式会社:1926年創業の化学メーカー。ナイロン、ポリエステル、アクリル等の繊維を始め、プラスチック・ケミカルや情報通信材料等、日用雑貨から産業用途の化学製品を幅広く展開。グループが目指す企業イメージの一つに「グリーンイノベーションの東レ」を掲げ、地球温暖化防止や資源の有効活用につながる画期的な技術や製品の開発に取り組んでいる。

石川県・公益財団法人いしかわ農業総合支援機構:石川県では「ものづくり産業と連携した石川型低コスト高収益農業モデルの開発」というテーマを掲げ、農業に関する総合窓口として公益財団法人いしかわ農業総合支援機構を2014年に設立し、農地の確保・斡旋から人材確保、経営の支援までをワンストップで行う体制で多彩な活動に取り組んでいる。

気候変動による影響

近年の気候変動による気温上昇は、農作物の成育不良や品質低下等の生産性低下を招いており、さらには夏場のハウス内労働環境の悪化による農業従事者に対する熱中症等暑熱による影響が懸念される。東レと石川県は遮熱資材を活用した新規農業モデルの開発により、これら課題の解決に取り組んでいる。

適応に関する取り組み

気候変動による気温上昇が進む中、石川県のテーマである「ものづくり産業と連携した石川型低コスト高収益農業モデルの開発」をもとに、東レと石川県は、農業用ハウスで夏場の栽培が難しいハウストマト等の施設園芸作物の成育改善を目的とした農業用遮熱シート(図1)の検討を開始し、2018年に東レ・石川県・県内トマト農家の官民連携による農業プロジェクト「新たな遮熱資材を活用した高収益施設園芸モデル構築コンソーシアム」を発足させ、ハウストマトをターゲットに取組を進めている(農林水産省「平成30年度 農業界と経済界の連携による生産性向上モデル農業確立実証事業※」に採択)。

実用化に向けて検討を進めている、東レの農業用遮熱シートは、遮熱物質を練り込んだ糸から構成されており、トマト等の農作物の成育に必要な光を通す効果(高採光性)と、太陽光からの熱を遮断する効果(高遮熱性)を両立することを特徴とする。

図1 農業用ハウスへの遮熱シート設置状況

効果/期待される効果等

農業用ハウス内部の室温が高くなる夏場では、成育不良や品質低下により農作物の収穫量低下が著しく、特にハウストマトは着果不良や裂果などの高温障害を起こすことから品質管理が難しく、現状、収穫は春と秋に限られている。

前述状況のもと、本農業用遮熱シートをハウス外側に被覆することで、トマトの成育に必要な光をあまり遮らずにハウス内部の温度上昇が好適に抑制される(図2)。その結果、現状のハウストマトの収穫時期(春と秋)が拡大することで、農家の収益性が上がるとともに、農業従事者における熱中症等の健康リスクの回避・軽減も期待される。また、本農業用遮熱シートは、同様の課題を抱えるトマト以外の施設園芸作物への応用、展開も期待できるため、普及を目指している。

【試験方法】

【試験結果】

図2 遮熱効果検証結果(モデル試験)

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