災害に備える家

大和ハウス工業株式会社

業種:建設業
更新日 2022年2月24日
掲載日 2020年10月6日
適応分野 自然災害・沿岸域 / 国民生活・都市生活

会社概要

大和ハウス工業株式会社ロゴ

大和ハウス工業は1955年創業以来、「人・街・暮らしの価値共創グループ」として、戸建住宅をはじめ賃貸住宅や分譲マンション、商業施設、物流施設、医療・介護施設、法人施設等の多様な用途の建物を建築すると共に、ホテルやホームセンター、スポーツクラブなどの運営にも取り組んでいる。また、創業100周年となる2055年を見据え、環境長期ビジョン“Challenge ZERO 2055” (注1)を策定し、環境負荷ゼロに挑戦している。さらに、建設・住宅業界では世界初となる「RE100」「EP100」「SBT」に加盟するなど、環境への取組みも加速している。

気候変動による影響

近年、日本では地震だけでなく風水害も多く発生し、「平成28年熊本地震」以降の災害のうち約9割で停電が発生している状況である。一方で、2018年に発生した災害で被災された住宅オーナー様からの申し出を分析した結果、風水害の発生時には、自宅に対する飛来物による衝突被害が多く発生していた。今後、台風を含む熱帯低気圧の勢力は気候変動の影響により更に強くなる可能性があるため、このような飛来物による被害も増大する可能性が危惧される。

適応に関する取り組み

当社は、地震による倒壊や風水害による破損・水没等の直接的な一次災害だけでなく、停電等の被災後の暮らしに支障をきたす二次災害にも備えるため、停電対策・地震対策・台風対策を施した防災配慮住宅「災害に備える家」の発売を2019年4月より開始した。

「災害に備える家」に採用した「全天候型3電池連携システム」(図1)は、太陽光発電システムとエネファーム、家庭用リチウムイオン蓄電池を、新たに開発した「切換盤」で連携させたシステムである。この新開発した「切換盤」を用いることで、日本で初めて、停電時にエネファームの発電電力を家庭用リチウムイオン蓄電池に蓄えるほか、家庭内で使うことができるようになっている。一次災害に伴う停電時には、家庭用リチウムイオン蓄電池が非常用電源として生活に必要な電力を供給する。停電が長期に亘る場合、雨天でも約10日間の電力と暖房・給湯を確保することができる。※照明・冷蔵庫・テレビ・スマホ2台充電使用の場合(特定回路2kWまで)

また、台風など暴風時の飛来物による衝撃を吸収することで破損を防ぐ防災瓦「ROOGA(ルーガ)」を採用。さらに、合わせガラスの中間膜の厚みを「防犯合わせガラス」の2倍に強化した「防災防犯ガラス」を採用したことで、飛来物の貫通を防いでいる。あわせて、破片による怪我や割れ落ちたガラスによる居住困難などの二次災害を防ぐものとなっている。

さらに、当社がこれまでの災害対応で培ったノウハウを活かし、災害時のストレスを軽減させる防災配慮型の間取りの提案も行っている(図2)。これには、夜間の停電時も安全に家族が集まれるように、リビング等の主たる居室への電力・暖房の供給や、テレビで災害情報を得ながら家族が寄り添って就寝できる「musubiコーナー」の提案、避難時の動線への「保安灯」の設置による避難経路の明かり確保等がある。

効果/期待される効果等

太陽光発電システムとエネファーム、家庭用リチウムイオン蓄電池を連携させて効率的に電力を貯めて供給し続ける「全天候型3電池連携システム」により、テレビで災害情報を得られる、被災時も温かいシャワーが使える、冷蔵庫などの消費電力の高い家電も利用できる、といった停電時でも「電気がずっと使える」という安心を得ることができる。また、瓦やガラスの強化によって、飛来物による被害が少なくなることも期待される。

全天候型3電池連携システムの図

図1 全天候型3電池連携システム

防災配慮型間取りのプラン例の図

図2 防災配慮型間取りのプラン例

脚注
(注1)「気候変動の緩和と適応」に関する目標は2050年をゴールとして設定。

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