15時間先まで河川水位を予測するクラウドシステム「RiverCast」
株式会社構造計画研究所
業種:学術研究、専門・技術サービス業 / 情報通信業
更新日 | 2022年8月4日 |
---|---|
掲載日 | 2020年12月25日 |
適応分野 | 自然災害・沿岸域 |
会社概要
1956年に建物の構造設計業務からスタートした当社は、人工構築物を取り巻く自然現象(地震、津波、風など)の解析やシミュレーションを行う業務や、情報通信分野でのソフトウェア開発、製造分野へのCAD/CAEのソフトウェア販売やカスタマイズ、そして人間の意思決定支援分野でのコンサルティングなどを提供し、社会・コミュニティの抱える問題の解決を支援する。
気候変動による影響
気候変動の影響によって雨の降り方が激甚化し、洪水被害が拡大するなか、その発生を事前に予測する洪水予測システムの役割が重要になっている。しかし、従来手法は導入に多大な時間とコストを要することから、主要河川以外への普及は進んでいない。そして、気候変動の影響によって、過去未経験の洪水規模で予測が困難になる場合がある。
適応に関する取り組み
当社では、最先端の数理工学を応用し、東京大学と共同で洪水予測システム「RiverCast」を開発した。本システムは下記の特徴がある。
- 既存手法に比べ短期間かつ安価に導入でき、中小河川にも適用可能(図1)。
- 最先端の数理工学技術により、少数の学習データでも高精度に水位の予測ができ、未経験の洪水規模の予測も可能。
- 水位予測は天気予報の誤差の影響を強く受けるが、RiverCastでは雨量の誤差を考慮した確率的な水位予測を提供し、台風の予報円や降水確率のように予測の信頼区間・基準水位超過確率を表示できる。
- クラウドサービスのため、PC・スマートフォンより簡単に閲覧できるほか、24時間365日いつでも、指定のタイミング及び、水位上昇が予測されたときにメールで通知する機能を有する(図2)。
本システムは川崎市、横浜市、大阪府をはじめ全国13自治体45地点以上を対象に技術導入・実証試験を実施し、有効性を検証した。
効果/期待される効果等
本システムは、既存手法と比較しても良好な予測結果を提供し、実際の水防活動への有効性を確認した。
現在、本システムを利用した事業を展開し、多くの民間企業・自治体に導入頂いている。避難判断・水防活動のほか、河川周辺の施設管理、工事現場の安全管理にご活用いただいている。
図1 安価且つスピーディーに導入
図2 Web閲覧画面