命をつなぐ塗料

関西ペイント株式会社

業種:製造業
掲載日 2021年4月26日
適応分野 健康

会社概要

関西ペイント株式会社ロゴ

各種塗料を製造・販売。塗料全体では世界8位、自動車塗料では世界トップ5の一角を占める。この建築塗料についてアジア・中東・アフリカを中心とする新興国を中心にグローバル展開をしており、アフリカではトップシェアを有する。「塗料事業で培った技術と人財を最大限に活かした製品・サービスを通じて、人と社会の発展を支える」ことを企業理念して掲げ、事業を通じ、持続的に社会に貢献し続ける企業であり続けることを目指している。

気候変動による影響

マラリアはアフリカで死亡者数の多い感染症のひとつであり、経済活動にも悪影響を及ぼしている。ザンビアでは年間約33%の人々が罹患するなど深刻な社会的問題であり、気候変動による気温上昇によるさらなる悪化が懸念されている。

適応に関する取り組み

当社は、壁や天井に留まって休む蚊の習性を利用し、防蚊塗料「カンサイ・アンチモスキート・ペイント」を開発した。塗料が含有する合成ピレストロイド系成分は蚊の神経系に作用することにより殺虫効果を持っており、防蚊成分塗膜が形成された壁面に蚊が留まるとその効果が発揮される(図1)。防蚊効果は少なくとも2年持続する。人間を含むほとんどの哺乳類はその成分を分解、排出することができるため、安全性について問題はなく、住宅や公共施設、商業施設など幅広い場所で使用が可能である。

デング熱が社会問題化していたマレーシアやインドネシアでは、それぞれ2014年及び2015年に販売が始まった。また、2017年に独立行政法人国際協力機構(JICA)の「開発途上国の社会・経済開発のための民間技術普及促進事業」において、本製品のザンビアでの実証研究が開始された。2018年9月にはマラリア撲滅の目標を掲げるザンビア政府の認証を受け、10月より同国でアフリカ初となる販売を開始した。また既にウガンダでも認証を取得しており、2019年1月から販売を開始した。今後、ケニア、タンザニアなどでも販売を開始する予定で、グローバルベースでの成長を見据えている(図2・3)。

効果/期待される効果等

当社が開発した防蚊塗料「カンサイ・アンチモスキート・ペイント」は、効果的なベクター・コントロール(感染症を媒介する害虫の駆除)の手段として、マラリア予防の効果が期待される。気候変動の影響で増加する感染症予防に貢献することは保健・衛生分野の適応策となり、人々の暮らしを守り、社会の安心・安全を向上させ、健全な経済創造に寄与する。

図1 防蚊塗料「カンサイ・アンチモスキート・ペイント」の仕組み
図2 ワークショップの様子
図3 職人のトレーニングの様子

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