地震、津波、洪水等の災害に粘り強く耐える「インプラント堤防

株式会社技研製作所

業種:製造業/建設業
掲載日 2021年5月28日
適応分野 自然災害・沿岸域

会社概要

株式会社技研製作所ロゴ

無振動・無騒音の杭圧入引抜機「サイレントパイラー」を発明し、「圧入原理」を世界で初めて実用化。1967年の創業から現在に至るまで、環境負荷を最小限に抑えた機械・新工法の開発・普及を行っている。
近年は、サイレントパイラーにより地中深く打ち込んだ杭で粘り強いインプラント構造物を構築する「インプラント工法」を積極的に展開。杭が地盤に支えられることで高い耐性を発揮するインプラント構造物は、防災・減災インフラとして堤防や擁壁、橋梁基礎等に適用され、災害から人命と財産を守ることに貢献している。

気候変動による影響

台風や集中豪雨による高潮や洪水、地震による津波など、甚大な人的・経済的被害を伴う自然災害が世界中で多発している。堤防は災害から人命や財産を守る重要な役割を担うものの、大きな外力を受けると横滑りしたり転倒したりする構造の堤防が多い。また豪雨災害等で土をベースとした脆弱な「土堤」が決壊するケースも相次いでいる。

適応に関する取り組み

インプラント工法で堤防内に鋼矢板や鋼管杭の連続壁を設置し補強する「インプラント堤防」は、地中深くに貫入された杭が地盤に支えられることで、高潮や洪水、地震や津波等の大きな外力に対して高い抵抗力を保持する(図1)。液状化や地盤沈降による堤防決壊も防ぎ、部分被災しても堤防機能を維持する(図2)。また、圧入の機械装置は全て既設杭上で稼働するため、仮設工事が不要で、省スペースかつ迅速な施工が可能である(図3)。

導入例:オランダ・アムステルダムの運河(図4)
世界遺産「アムステルダムの運河」では、木杭の腐食や浸食で護岸の崩落が相次ぐ一方、改修工事による周辺環境や交通、景観への影響が懸念されている。これに対し、既存護岸に杭を直接貫入できる「ジャイロプレス工法」や既設杭上を機械が自走する「GRBシステム」を活用すれば、仮設護岸や仮設桟橋は不要となる。工事の影響を最小限に抑えて景観を損なわない点が評価され、護岸改修を急ぐアムステルダム市と連携協定を結んだ。

効果/期待される効果等

高潮や洪水、津波、等の被害が想定される海岸や河川に「インプラント堤防」を構築(または既存堤防を補強)することで、被災時の堤体損壊を防ぎ、災害から人命と財産を守ることに大きく貢献する。発災時には、耐え残った杭に覆工板を仮設することで緊急輸送路やポンプ車による排水作業基地としても活用でき、被災地の早期復旧にも役立つ。また、仮設工事が不要な省スペース・急速施工が可能なため、仮設工事を伴う工法に比べて、二酸化炭素(CO2)の排出量が少ない。

図1 インプラント堤防(イメージ)
図2 インプラント構造と従来型(フーチング)構造の比較
図3 採用事例:仁ノ海岸堤防改良工事(高知市)
図4 オランダ・アムステルダム運河の改修工事イメージ図

ページトップへ