共存し豊かな社会を実現する水プロジェクト

株式会社クボタ

業種:製造業
掲載日 2021年5月31日
適応分野 水環境・水資源

会社概要

株式会社クボタロゴ

1890年創業の日本最大の農業機械メーカーであり、小型建設機械、産業用小型エンジン、パイプ関連製品、環境関連プラントなど世界120か国で事業を手掛けるグローバル機械メーカー。「For Earth, For Life」のブランドステートメントのもと、「食料・水・環境」の各分野における社会課題の解決を経営理念とし、SDGsを経営の羅針盤として豊かな暮らしと社会の発展を支えることを目指している。

気候変動による影響

気候変動による洪水・干ばつの頻発化及び水質悪化は、気候変動への脆弱性が高い途上国の社会経済に深刻な影響を及ぼしている。

適応に関する取り組み

当社は、国内で磨かれたパイプ、ポンプ、水処理等の技術を途上国の課題解決のために展開している。例えば、以下のような国際機関や途上国政府のプロジェクトにおいて、設計施工、機器納入を行っている。

プロジェクト例① アブダビ:過酷な状況で安心・安全な水を届ける鉄管
国土の70%が砂漠のアラブ諸国では、生活、工業、農業用水の大半を海水淡水化に依存しているが、耐久性に優れたダクタイル鉄管を整備し、その貴重な淡水を安心・安全に供給している(図1)。

プロジェクト例② バングラデシュ:洪水にも干ばつにも対応するポンプ
河川面積が国土の約10%、国土のほぼ全域が海抜9m以下のバングラデシュでは、雨期の洪水、乾季の干ばつが大きな問題となっていた。この問題に対処するためのプロジェクト(一定エリアを堤防で囲み、雨期には排水し、乾季には近くの河川から引水)において、排水と引水を行うポンプ基地にポンプを納入した(図2)。

プロジェクト例③ タイ:洪水から産業とコミュニティを守った排水ポンプ
2011年、タイのチャオプラヤ川流域で発生した大洪水において、独立行政法人国際協力機構(JICA)による国際緊急援助隊が編成された。現地に緊急派遣されたクボタの排水ポンプ車は、25mプールを10分で空にできる性能を持ち、従来品に比べて95%以上の軽量化を実現しており、現地では、クボタの運転指導員も協力し、タイ各地での排水活動に貢献した(図3)。

プロジェクト例④ ベトナム:クリーンな水を実現する浄化槽
多くの途上国では、急激な都市化に対して下水道整備が追い付かず、衛生環境の悪化が深刻な問題となっている。クボタはオンサイトで生活排水処理が可能な浄化槽の導入によりベトナム等の途上国の衛生環境向上及び都市インフラの強靭化に貢献している(図4)。

プロジェクト例⑤ ミャンマー:ミャンマー初の経済特区を水トータルソリューションで環境配慮型に
60年以上前から農業機械や灌漑ポンプを輸出してきたミャンマーにおいて、同国初となる経済特区の上下水処理や取水、給配水設備の建設を担当し、当該区を水トータルソリューションで環境配慮型にした(図5)。

上記の事例を含み、当社は水環境分野において機器・プラント機器単体からIoTによる設備診断等のシステム・アフターサービスまで含めたトータルソリューションサービスの提供を通じた課題解決を見据えている。

効果/期待される効果等

当社は、上下水道等で用いられるパイプ、排水・灌漑用ポンプ、水処理膜や浄化槽等の技術を通じてインフラの強靭化及び安全・安心な水供給に貢献しており、これらの活動は洪水や水質汚染への適応策となる。

また、プロジェクト例②のバングラデシュでは当該エリアで農産物の生産量の倍増や、プロジェクト例⑤ミャンマーでは経済特区の周辺環境との調和とミャンマーの持続可能な経済発展に大きく寄与したりと、経済的な効果もみられる。

図1 アラブ首長国連邦に整備されたダクタイル鉄管
図2 ポンプ基地
図3 タイにおける国際緊急援助隊による排水作業
図4 病院に設置された浄化槽
図5 ティラワ工業団地ゾーンAに施工した浄水場

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