脚注
(注1)曝気:液体と空気を接触させて、液体に空気中の成分(酸素等)を吹き込むこと。(出典:環境省浄化槽サイト)
高濃度酸素水供給による湖浄化
大栄THA株式会社
掲載日 | 2021年7月1日 |
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適応分野 | 水環境・水資源 |
会社概要

曝気方式とは異なる逆転の発想から生まれた高濃度気体溶解装置「酸素ファイター」を中心とする環境装置メーカーであり、国内外問わず、河川湖沼浄化、農業、水産業、畜産排水・産業排水処理、など様々な分野を手がけ、環境と共生するエンジニアとして水環境問題に取り組んでいる。
気候変動による影響
貧酸素化が進む河川湖沼等の水質の悪化が水環境の生態系に悪影響を及ぼし、また悪臭による健康被害などの影響がある。気候変動の影響によって水温が上昇すると、酸素溶解量が下がるため、更なる水質悪化が懸念される。
適応に関する取り組み
高濃度気体溶解装置『酸素ファイター』は、水中へ大量の気体を溶解することができるため、水の浄化を促進する。これは、従来の曝気(注1)方式とは異なる逆転の発想から生まれた気体を水に溶かす装置である(図1)。酸素の場合は、曝気と比較して4.8倍の溶解効率を実現する(図2)。無気泡で溶存させる為、ロスが無く水底部まで溶存酸素を行き渡らせることが可能である。汚濁の堆積する河川湖沼では水底部の溶解酸素濃度を高めて好気性微生物群の活性を図ることで食物連鎖による浄化を促進する。
■ベトナムにおける事例
経済産業省の新興国市場開拓事業としてベトナムハイフォン市内のティンガ湖の浄化試験を行なった(図3・4)。湖に隣接する住宅や商業施設からの排水が大量に流れ込みアオコの発生、腐敗臭の発生、貧酸素化による嫌気底泥の発生が問題となり、近隣住民から行政に対して苦情が出るほど水環境は悪化している。そこで弊社の装置「酸素ファイター」で水質改善の実証試験を行なった。その結果、無気泡高濃度酸素水が安定して水底部に供給されることで溶存酸素濃度(Dissolved Oxygen: DO)の上昇が確認され、好気的微生物活性が起き、水の透明度が良くなるとともに、悪臭の改善が見られた。
効果/期待される効果等
本装置を導入することにより、持続的に安定した酸素供給下による微生物活性が本来の自然の持つ食物連鎖(生態系)を回復させ、健全な水環境が整うことで、浄化を促進する効果が期待される。



